武漢速報! 意外と呑気だった武漢からの最新情報〜

先日、「武漢を救え! 武漢高円寺交流会」を開催し、今の武漢のことを心配する日本人の他、台湾人や香港人なども集まり、東京・高円寺から武漢とネットで繋ぎ、いろいろ最新情報を交換しつつ交流飲み会が行われた!

武漢の人たちもヒマを持て余してたところだから大喜びで、「武漢封鎖都市新年会」などという半分ふざけた名前のイベントを勝手に立ち上げ、中国内外の各地にもネットで画面を中継して交流飲み会を決行。やっぱり〜。予想していた通り、武漢人たちは完全封鎖されて映画のような状態になっている都市の中で、心細い思いを抱きつつ生活しているに違いなく、他の地域の人たちと繋がりたがっているんだろう。

結果、武漢以外にも広州や上海、東北など中国各地を中心にアジア圏で計10カ所以上の都市・地域と繋ぎ、交流会を開催。他の各都市の人たちもやはり武漢が心配な様子。

さて、武漢現地時間の21:00(日本時間22:00)、その謎の交流会は開始。まずは乾杯〜

他の各都市の人たちは、やはりまず武漢が心配な様子。「武漢のそっちの状況はどう?」などと真面目に質問する。そう、こっちもまだ、ふざけて飲んでていいものか、どれだけ深刻そうな感じなのかとかが、いまいちよくわからない。ニュースでは大変なことになっているが、実際の雰囲気まではわからないので、そこが知りたい。

ところが、当の武漢のやつらが一番呑気な感じで楽しそう。画面がつながった瞬間に「いえ〜ぃ! 乾杯〜。おおー、久しぶりー、元気?」みたいなノリで大笑いしてる! 元気かって、それこっちが聞きたいことだよ!(笑) いやー、いきなり拍子抜けする感じだけど、いつもと変わらない様子でちょっとホッとした〜!!!

各地域のみんなは「大丈夫!?」と心配するが、当の武漢(右上)が一番ダラダラして飲んだり笑ったりしてる

まずは近況を聞くが、以前にも教えてくれた通りだけど、スーパーと薬局は基本的に開いているとのこと。ただ、バスや電車、タクシーなどの市内の交通機関が一切ないので、自転車や電動自転車でないと動けないので、近くの店にしか行きにくいとのこと。ただ、幸いにも物資は基本的には足りていて、食糧から飲料水、医薬品なども含めて生きていくための物資は問題ないとのこと。「酒も大量にあるよ〜」と喜んでた。ただ、マスクはみんな慌てて買っているので、薬局でもネット上でも買うのが大変らしく、買えなかったり、売っててもすごい値上がりしてるらしい。これは一時的なことかもしれないけど、ちょっと心配ではあるね…

また、現時点では、今回連絡している彼ら武漢の人たちの友人や家族などには感染者などは出ていないとのこと。彼らのネットワークはすごい広く、武漢にも多くのライブハウスからBAR、独立書店などいろんなスペースがあり、サブカルチャーなどの地下文化圏は大きいけど、とりあえずはそのみんなも無事でいてくれてひと安心。

そして、今は旧正月を迎えたばかりで、例年通りの休暇期間。ただ、いつもはやってる店もほとんどが閉めていて、基本的にはスーパーと薬局が開いてる感じだという。店は政府から強制的に閉められているのではなく、自主判断により閉店しているとのこと。会社もまだ正月休み期間なので基本的にはほぼやっていないので、街はひっそりしてるとのこと。

完全に正月感全開の武漢。

ちなみに、今回繋いだ武漢の彼らは、以前、「我們家wo men jia」というスペースをやってた人たちが、その後継のような新スペースを作って運営している。印刷機があり、自分たちのzineやポスター、本を作ったり、バンドの練習スタジオもあるし、お客さんを泊めるスペースもある(自分も武漢に遊びにいく時はいつもここに泊めてもらう)。いろんな面白いイベントもやってるし、すごいいい場所だ。何かと規制も多い中国でも、これだけのびのびと面白いことができるのを見ていつも勇気付けられる。みんなたくましいな〜。今回の新型肺炎発生後は、彼らはそのスペースで寝泊まりして生活し、必要な時以外は外出はしないとのこと。確かに、家で一人でいてニュースずっと見てるよりはみんなといると気持ちも安心するからね。重要、重要。

さて、その武漢の連中がまた中継で繋いでる間、他の街の人たちに比べてダントツで陽気な感じでやたら楽しそう。思わず、うっかり武漢に遊びに行こうかなって気分になっちゃうぐらい。で、武漢のみんなの方は心配はないのか聞くと、「こっちの方はまだマシだね。でも漢口の方は結構深刻だよ」という。武漢の街は大まかに漢口、武昌、漢陽という三地区に分かれており、漢口は商業的な中心地の方。例のウイルスが見つかった海鮮市場があるのも漢口地区だ。彼らのスペースがあるのは武昌地区で、それもちょっと郊外の植物園の近くにある一軒家。まあ、東京で言うと立川のはずれの辺りって感じかな。人口密集地域ではないので、ノンキなマヌケな顔をしてられるんだろう(笑)。でも、油断は禁物だから気をつけてね〜

そこでちょっと、思い出したのが福島の原発事故の時。まあ、ありえないぐらいの放射能が撒き散らされ、世界が震撼した時、海外の人は日本のことを心配して「大丈夫か!? 逃げた方がいいんじゃないか!?」と連絡をくれたが、西日本の人は「東日本はちょっとヤバそうだけど、こっちは大丈夫だ」と言い、東京の人は「福島のあたりはヤバそうだけど、こっちは大丈夫だ」、福島の人は「福島市内はまだ大丈夫だけど、浜通り(海沿い)のほうはヤバい」、浜通りの人も「うちの辺りはギリギリなんとかなってるけど、もっと北(南)のほうはヤバい」などと言っていた。言ってしまえばどこもヤバいんだろうけど、自分の生活を捨てて街を去る踏ん切りをつけるタイミングっていうのは難しい。だからみんな「まだ大丈夫」と言うんだろう。そう言いつつ自分も東京に残ったのを思い出した。

一方の武漢。こっちは完全封鎖されて都市の中に閉じ込められてるので、これはもうニッチもサッチもいかない。大丈夫だろうと大丈夫じゃなかろうと、そこで暮らすしかないのだ。でも皆さん、「武漢やベー」と思い過ぎるのは良くない。武漢は1100万人以上の巨大都市。人口規模では東京よりでかい。まだまだ感染者はごく一部中のごく一部。もちろん状況は超危険な状態ではあるけど、まだまだ武漢には安全な地域がたくさんある。武漢はまだ死んでいない! 一刻も早く収束に向かうことを祈るしかない。日本にいる我々にできることは少ないけど、何かひとつでもできることがあればやっていきたい。

「明日、武漢に来るしかない!」とか言って喜ぶ、このスペースの子杰(zi jie)氏

あと、ついでにもうひとつ面白い動きを紹介しておきたい。先述の通り、今は旧正月休み(春節)なので、現地では学校や会社は休み期間中。休み明けにみんなが出勤し始めて満員電車なんてなったら目も当てられないって言うことで、ひとまずは2月2日まで休み期間を延ばしたみたいだけど、ちょっとそこまでの収束は難しそうだ。ということで、おそらくは再延長になると思うけど、ここへ来てみんなが「休業期間もっと伸ばせ」との要求の声が多く上がってるという。そしてさらに、家もそうだし、店舗や事業所を持ってる人はなおさらだけど、家賃が心配。働かない期間が増えれば増えるほど生活の心配が出てくる。そこで、「当面の家賃をタダにしろ」という要求が起きてるという!! そりゃそうだ。自分も店やってるからわかるけど、仮に当面休業なんてことになったら家賃なんてまともに払えない。「働かない」と「家賃タダ」というのは至極真っ当で最も切実な要求だ。

かつて高円寺の駅前のイベントで「働かねえぞ!」とみんなで叫んだり、「家賃をタダにしろデモ」などというふざけたデモを開催したりもしたけど、これが既に最もストレートな要求になる時が来るとは!! でも、病気にかかわらず、天災や人為的な災害も含めて、世の中がめちゃくちゃになった時に「働かない」と「家賃払わない」は、よく考えたら当たり前の話なのだ。いや〜、さすが中国、先を行ってるな〜。中国の民衆(政府ではない)のこの超ストレートな感覚、いいね〜。大震災の翌日に這ってでも出勤する日本のサラリーマンとか見てると不安になってくる。大丈夫か、日本は!?

さあ、みんなで勇気を振り絞って、働かないぞ! 家賃払わないぞ!

最後におまけ。心配してとある武漢の友達に連絡していたところ、「結構呑気にやってるぜー」とのことで、突如送られてきた映像をまず見てもらいたい。まあ、どこで誰が撮った映像か知らないけど。字幕を翻訳すると「オマエなんでそんなもん着てんだよ」「飲みに行こうぜ」「早く早く!」。最高のバカ! 完全に遊んでる!! いや〜、こんな時に遊び心を持ってるなんて本当に頭が下がるな〜 お前ら最高だ! 俺も武漢に帰りたい!

(一応彼らの名誉のために言っておくけど、遊んでるけど普段はかなり感染防止策はちゃんとやってる様子)

と、言うわけで、先日の武漢−高円寺交流会、本当にやってよかった。直接話を聞けてこっちもとても安心した。こっちが武漢を元気づけようとしてやったのに、こっちが元気をもらうという、この謎の現象。それに、物資も割と豊富というのも安心。思うに、彼らが一番恐れているのは孤立への恐怖だろう。そう、それだったら我々にもできる事はたくさんある! いや、むしろそれしかできない! ま、ともかく、持つべきものは地下文化圏でのダイレクトな直接交流と助け合い。世間知らずのトボけたボンボンがいつまでも上にいる日本も、いつどうなるかわからないっていうことで、ちゃんとアンダーグラウンド同士の繋がりは続けていきましょう〜〜〜〜〜

<予告>

先ほど郵便局に確認したところ、100%届くか保証はできないけど、武漢宛てに荷物を発送することはできるとのこと。まずは第一弾で近日中にささやかな支援物資をイチかバチかで上に登場したアホたちに発送する予定。その後、2月15日には高円寺の「なんとかBAR」にて武漢支援BARを開催して、その後に第二便の支援物資を送る予定。

いざとなったら助け合い。2月15日はぜひ高円寺へ〜。詳細はまた後日!!!

【緊急作戦】武漢を救え! 東京−武漢交流イベント!

いま、武漢発祥の謎の新型肺炎が猛威を奮っている。ニュースなどでご存知の通り、武漢市はすでに中国政府によって完全封鎖され、空港から駅、地下鉄、バスまで全て止まり、人が集まる劇場などの施設も軒並み閉鎖。自家用車も勝手に動かしてはならず、武漢市内の全てのタクシーは急遽中国政府の管理下に置かれ、市民の物資調達などのための輸送手段として全て無料運行されるという。さらには中国国内ではすでに旅行も禁じられ、許可なく武漢市からも出られないとのこと。まさに完全封鎖で、戦時下のような状態で、家にいるしかない状態。

写真左で不敵な笑みを浮かべるイガグリ頭は子傑氏で、武漢伝説のDIYスペース「我們家wo men jia」の残党。現在も武漢でスペースを仲間と運営して様々な活動を営む。今回の中継交流会企画も彼が武漢サイドの案内役だ。

ニュースで見ていると戒厳令下の深刻すぎる状態で、みんな戦々恐々と潜んでいるような勝手なイメージが膨らむが、人間はたくましい。どんな状況下に置かれてもケロッとしてなんとかしちゃうのがすごい。それに、ニュース上では遠くの出来事だが、実は高円寺と武漢の繋がりはとても深く、友達や知り合いの店やスペースもたくさんある。

と、言うことで早速現地のいろんな人たちに連絡を取り、どんな状態かを聞いてみると、みんな「ヤベーことになってるよ〜!! 駅もバスもみんな止まった! 閉じ込められた〜」とか言ってるものの、「いや、でもみんなうまいことやって、なんとかなってるよ」と、みんなケロっとした明るさを持っている。さらには「日本のニュースで武漢市内のスーパーから食料が売り切れてるみたいなニュース見たけど、あれウソだよ。その辺のスーパーにも物は豊富だよ」とか、実情も教えてくれた。みんな封鎖されて不安な上に毎日超ヒマなもんだから、いろんな情報をチェックしまくっている。「なにか必要なものあったら送ってあげようか?」と聞くも「大丈夫大丈夫、いまのところ物資は豊富にある」とのこと。スーパーなんかは営業はしてるけどお客さんはまばらで、薬局も多くは営業してるとのこと。一部の上流階級だけじゃなく、我々と同じような末端の貧乏人階級にまで物資は届いてるようで、とりあえずはひと安心。ニュースだけだとわからないからね〜、この辺。

うーん、何かしてあげたいけど、当面は個人レベルでは大丈夫のようだ。ただ、やたらヒマそうなのが大変そうだ。「どこにも行けねえし、何もやってね〜〜」とのこと。

よし、そうなったらせっかくの武漢と東京のパイプを生かすのは、とりあえず適当に飲みつつ交流会を開催するしかない〜!! 戒厳令下にある武漢とネットで繋ぎ、現地の様子とか武漢人たちの心境などを聞いてみよう。おそらく新聞では出てないことがたくさんあるはず! それに、いろいろバカな話をするうちに、日本でできることを思いつくかもしれない。なにより、完全封鎖下の人たちはとにかく心細いと思う。ヘタしたらこのまま見殺しにされたらどうしようなどと不安に思ってるに違いない。ということで、海外と繋ぎ、日本からも連帯のメッセージを送ることは絶対安心するに違いない!!!

やろうやろう! これ逆だったら超不安なはずで、仮に東京が戒厳令下に置かれて不安な時に海外の奴らに励ましてもらったら嬉しいに違いない!! そうだ、不安な時は助け合いが大事だ!

ということで、緊急企画!!

1月27日(月)22:00~ マヌケゲストハウスにて。武漢と繋ぐ特設画面を用意するので、当日は武漢人たちと乾杯!!!

ちなみに、夜10時(中国時間9時)スタートというのは向こうでは普通。仕事が終わってちゃんと晩ご飯を食べてから準備万端で夜のイベントを全開で遊ぶのが中国では常識なので、武漢サイドの要望によりその時間設定になりました。

以下、ちょっと武漢のごく一部を紹介。いいところだよ〜。一刻も早く武漢が平常に戻って欲しい!

武漢でグラインドコアバンドをやるオジーさん。おじいさんじゃなくてOZZY。大丈夫だよ〜、なんとかなってるよと武漢情報を教えてくれた。
武漢のDIYライブハウス武漢PRISONの大ボスの咚咚(dong dong)。「ヤベー、武漢全体が本当の武漢PRISONになった!」だって
ちなみにその武漢PRISON。昨年(2019年)10月にはパンクロッカー労働組合のツアーでも訪れた
武漢でタトゥーショップを開いたLiu。大バカさ全開のwechatのQRコードの刺青を入れてくれたのもこのLiuさん
この店もいい場所。感官唱片というレコード屋。武漢を中心に中国のインディーズ音楽のレコードやCDがたくさんあり、いろいろ教えてくれる。こういう店が一つあると現地の音楽情報に強くなるのでよそ者にとっても重要スポット。コーヒーやお酒が飲めるのも最高
同じく感官唱片。いま売れ筋はカセットかレコード。CDはあまり売れないとのこと。

【忠告】中国語 ≠ 新型肺炎

昨晩、高円寺に住む台湾人たちと居酒屋に行った時のこと。テーブルに通されると隣のテーブルには先客が。いたって普通の会社員風の二人がいい感じに盛り上がって飲んでいる。ちょうど終電もなくなった時間帯で、これは朝までコースという感じ。まあ、どこにでもありがちな光景だ。

さて、こちらのテーブルは台湾人たちなので中国語。注文したあと、どうでもいい話で盛り上がっていると、さっきまで熱く語っていた隣のテーブルのお客さんが、急にテンション急落で意気消沈。そして、おもむろにマスクをし始める。ちょっと待て、居酒屋でマスクのフル装備はおかしい。飲み食いできないじゃねーか! で、もうしばらくすると、突如お会計をして帰って行った。う〜ん、どうも不自然だ。 チキショー、俺たちは肺炎じゃないぞ!

一応言っとくけど、中国本土以外にも台湾や香港、シンガポールやマレーシア、各国の華僑など中国語を話す人たちは超多い。それにもともと日本に住んでる中国人もたくさんいるし。諸君、安心せよ! 中国語=肺炎ではない!! そもそも中国人=肺炎でもない。まあもちろん、連日のニュースを見ていたらビビるのもわからないではないけどね…。

ともかく、一刻も早くこの謎の肺炎が収束して欲しいものだ。

ということで、今夜は武漢現地にネットで繋いで、身動き取れずにヒマを持て余しつつ心細い思いをしている武漢人たちとの交流企画! 今夜はマヌケゲストハウスに是非〜

詳細はこちら〜https://matsumoto-hajime.com/blog/archives/682

北中通りの風雲児、藪そばの乱が再来!!!

高円寺北中通り商店街の長老格の筆頭、藪そば店主の通称やぶじい(86)がまた炸裂!

いつも通りリサイクルショップの素人の乱5号店で店番をしていると、突如えらい剣幕でやぶじいが乗り込んできた!!! 「おまえねえ! フラッグはやるの? やらないの?」と、問い詰めてくる!! しまった、不意を突かれた!! なんのことかよくわからない! う〜ん、これはまずいパターンだ。

「なんでしたっけ」と聞くと、「ばかやろう、北中夜市だよ! 夜市のフラッグを早く作れって言ってんだよ」とのこと。立て続けに「モタモタしてんじゃねえってんだよ、まったくガキどもは」とご立腹だ。どうやら商店街の街頭についている商店街の旗を北中夜市バージョンで作ろうというやぶじいの案を強行しに入ってるようだ。で、俺にやれという。

勝手にやるわけにもいかないので「わかりました、じゃあ商店街の役員会にかけてから進めますよ」というと「バカヤロー、トロい! 俺がやれって言ってんだからサッサとやれって言ってんだよ! モタモタシテンジャネー!!!」と、怒りが増幅!! やばいやばい! とりあえず「いや〜、さすが藪さんの決断力はすごいですね! こりゃ、かなわないな〜」などと言って喜ばせて時間を稼ぐ。そう、こういう時は褒めるに限る。

う〜ん、しかし、これはやはりやばいパターンだ。会議を通してると「モタモタしてんな」とぶっ飛ばされ、会議を待たずにやると「勝手に何やってんだ」とぶっ飛ばされる。ほとんどジャイアンだ。これはまずい、とりあえずは現会長の床屋さんに相談してみるしかない!

しかし、それをも予測しているかのように、矢継ぎ早に攻撃の手は緩まない。そんな相談するなどという猶予を与えないスピード感がやぶじいの戦闘スタイルで、勝手に武勇伝を語り出し、「そういやあ◯◯のヤツどうしようもないから、どやしつけてきたところだ!」とのこと。おお、すでに他の北中の幹部を始末してきたらしい。やぶじい、拳を作って見せて「あいつ役立たずだから、胸ぐら掴んで、このやろう、ノロノロしてやがると殴るぞこのやろうって言ってやったんだよ」とのこと。おおー、さすが86歳、現代ではやっちゃいけないような禁じ手を次々と繰り出す。しかも文句言っただけかと思ったら、人の店に殴り込んで、そこの店主の胸ぐら掴んで殴る寸前に! 「ええ〜、藪さん大丈夫ですかそんなことして〜?」と聞くと、「大丈夫だよ、逃げやがった」だって。そりゃそうだ。誰だって逃げる。しかしこれはいよいよやばい、すでに1人屠ってからこっちにきてるのか! 例によって虫の居所が悪い時は、戦後の不良少年のように街を徘徊して目立ったやつを潰して回る、いつものあれだ! こりゃ、やべー!!

さらに怒りは治らず、商店街に対する論をぶちまけ始める。「まったくどいつもこいつも、テメエの店のことばかりやりやがって。ここでみんなが店をやってられるのは商店会あってのことじゃねえか。商店会がなかったら個人店なんてやってけないよ? だから商店街のために動かなきゃダメなんだよ。やらないんだった俺が店ぶっ潰してやる!」という。かなり納得できそうで、最後が強引な展開は毎度の通り。「俺が本気出したら、オメーらクソガキどもなんか生きていけないよ? 死んじゃうよ?」という! ちなみにこれ、文字で読むとものすごい感じ悪い人みたいだけど、実はそうでもない。この世代の人たちは、基本的に素でこういう悪態をつくので、慣れてるとどうってことはない。ただ、逆らったら死ぬことだけは確かだ。

「で、フラッグはやるの? やらないの?」「やります!」

やるというとすぐご機嫌になり、「そうだよ、さっさとやるんだよ。たのんだよ、まったくどいうつもこいつも…」 あぶないあぶない。殺されるところだった〜!!

しかし、やぶじいは長年にわたり商店会長を務めてきて、商店街に対する思い入れが半端じゃないんだろう。時々大騒ぎになったりはするものの、こういうとんでもない勢いの長老世代がいたからこそ古い町や商店街が残ってきたんだろう。なるほど、年老いても生涯現役という気持ちのなせる技かもしれない。やぶじいは本当にこの商店街を愛しているに違いない。なるほど、面倒なこともあるけど、こういう老人あっての商店街かもしれないな〜 などと思っていると、やぶじい帰り際に一言。

「ほら、最近かウチのかあちゃん入院したろ? することねーんだよ」

おい〜〜〜〜! コラー! カミさんが入院して一人だからすることなくなって、商店街をウロウロしてザコを倒して歩いてるだけだったのか〜〜〜

おーい、藪のおばちゃん、早く病気治して帰ってきて〜!!!

3年ぶり! 韓国との隣接都市福岡へ

名古屋でいろんな人に遭遇しつつ飲みまくったまま、そのまま夜行バスに乗り、今度は福岡へ。いや〜、夜行バス12時間は死ぬ!

なぜ福岡かというと、何を隠そう、先日も高円寺にやって来たブルースギタリストのハ・ホンジンがライブをやるとのこと。しかも、これまたちょくちょく高円寺に現れる独立系研究者(←要はひとりで勝手に考えてるだけ)の江上賢一郎氏が主催。う〜ん、韓国ソウルからはるばる日本の玄関口福岡にお出ましになるなら、これは出迎えに行くべきか!? と、一瞬悩んでいたところ、両者からは「当然、福岡来るよね?」と、矢のように挑発的な連絡が多数。くそ〜、絶対行かないと思ってやがるな。チキショー、みくびりやがって。じゃあ、行ってやる! …と、すぐ挑発に乗る性格が災いし、思わず福岡へ急行〜。どうだ、ざまーみやがれ〜!!

で、到着してみると、2人ともやたら普通。「あ、来たんだね」ぐらい。しまった、騙された!

さっそく、江上氏おすすめの商店街のおばあちゃんがやってる八百屋へ。この八百屋、奥にテーブルがあって、食事もできるという画期的な八百屋さん。うわ〜、これはいいお店! そして、メニューは焼き魚定食ととんかつ定食。野菜関係ないじゃねーか!!! でもすごい美味しかった。

初日夜はハ・ホンジンによるチヂミ! これはうまい!

ちなみに、福岡って本当に大陸に近い。いつも日本地図だけで見ちゃいがちだけど、アジア地図を逆さにするといつも急に福岡が羨ましくなる。すぐ対岸には韓国釜山があり、東シナ海の周りには台湾や上海、青島などが広がっていて、日本海側には北朝鮮(行けないけど)や、ウラジオストク。うーん、どこも近い! 日本地図や世界地図ばかり見てると気付かないけど、この中途半端な地図を見てると、本当に思ったより近い。楽しそう〜。東京なんて海しかない超ヘンピな所。クソ〜!! ちなみに、福岡から釜山までは安いフェリー探せば片道2000円ぐらいで行けるとのこと。うわ、こりゃ日本も外国もないね、もう。チキショー、楽しそう!

福岡のジャガイモ頭こと山下陽光氏も合流

さて、福岡は屋台文化。最近は観光化して来たり、規制が厳しくなって来て台数が減って来たりしているものの、まだたくさんある。ホンジンも初めて福岡に来たということで「屋台に行こう!」となるが、福岡人たちは全く乗り気じゃない。どうやら、観光地で高い酒を飲んで特に交流もなくさっさと帰らないといけないイメージらしい。なるほど〜

でも、たまたま入ったのがちょっと外れの屋台。ここは完全に場末の飲み屋みたいな感じで、常連さんもいるしフラッと入った人もいるし、店のおばちゃんもやたら喋る。こういう屋台はいいね!

日本には古来からの日本独自の文化が形成されている…、なんてのは大ウソで、文化が入り乱れまくってるのが日本。極端に言っちゃえば独自文化ゼロがまさに日本の文化。古来から中国文化が朝鮮半島から入ってきて、琉球を通じて南方文化も入ってくるし、北方のアイヌ文化を通してシベリアへも繋がる。で、近代になったら欧米やらなんやらいろんなのもが流入して、ほかのアジア諸国と比べても文化や言葉の中にも死ぬほど欧米の文化が入り込んでる。もう、クソミソ一緒くたにして、どうだこんちきしょう、これでも食らえ! って感じが素晴らしい日本の文化。これいいね、変に凝り固まって伝統に縛られる文化より、実はよっぽどいい。もうどう転ぶかわからない文化。最高。でも、それってよくよく考えたらどこの国でも同じ。ま、それは飲み歩いてるだけでもわかる。九州なんて屋台文化からいきなり焼酎飲む飲み方とか韓国と通じるところもある。逆に韓国側でもソウルに比べて釜山の方が喋り方の抑揚とかが日本語っぽい感じ。勝手に線引いたりしてるけど実は文化はグラデーション。というわけで、九州は世界に繋がる感じがして楽しい。

さて、ライブ当日。。。。。

落ち込む江上氏

ずっと油断しまくっていて、鼻垂れ小僧のようなマヌケな顔を晒していた江上氏だが、ライブ開始10分前になっても誰も来ないので、急に我に返ったように狼狽し「これ、やばいんじゃない!?」「もしかして俺、人望ない!?」と、うろたえ始める。遅い!

ライブ開始。エガミ万事休す

と、思ったら始まると同時になんとか10数名集まり、首の皮一枚でメンツを保つ江上氏。

無事終了〜。この後は、福岡「ウエスト」で打ち上げ。

矢部史郎氏ついに出現! 久々の名古屋にて世紀の再開発対決!!!

いや〜、久々の名古屋。今回はサンサロサロンというスペースの人が企画したイベントに行ってきた。名古屋自体が久しぶりなんだけど、もっとすごいのは矢部史郎氏との対談ということで、これがもっと久しぶり。矢部氏についてはまた改めて紹介しよう。ともかく久しぶりだらけだ!

街に繰り出す前と後は神社にも。おお、やはり江戸時代だ!!

名古屋は、このサンサロサロン界隈の人たちとも気付いたら長い付き合いで、東京でもたまに会う間柄だったが、実はもう一つ、「みんなの家ぃ」というゲストハウス(残念ながら現在は閉鎖)があり、この界隈の人たちとも仲がよかったので、以前名古屋にたまに遊びにきていたときはこのゲストハウスにもよく飲みに行っていた。

今回の企画では、みんなの家ぃ界隈の人もいて、イベント前に街を練り歩くという。みんな謎の仮装をして楽器を持って街に繰り出した! ま、イメージは完全に江戸時代のニッチもサッチも行かなくなった町人がヤケクソで働くのをやめて街に繰り出した感じ。別にデモのように何か主張するわけでもないので、ひたすら自由にのんびりしてる感じ。いいね〜、そうだそうだ、名古屋の地下文化マヌケ勢力の人たちってこういう雰囲気あったな〜。うーん、相変わらず健在ですごい!

ちなみに、聞けば名古屋は50人以下だったら特に申請とかせずに練り歩いてもいいんだって。やばい! 東京より自由だ!!

ものすごい久しぶりの矢部史郎氏と。まともにトークをするイベントで会うのは20年ぶりぐらいかもしれない。何を隠そう、この矢部氏、90年代に銭湯利用者協議会という風呂屋に通う人の集まりを主催しており、10円値上げにとても怒っている時に知り合った。この経歴だけ聞くとふんどし一丁に洗面器を持って憤慨してるようなマヌケなオッサンに聞こえるが、その実やたらとインテリ。なんだか知らないがやたらいろんなことを知っている。

ちなみに、矢部氏が最近出した本の記念も兼ねてのイベントとのこと。まだ読んでないので何が書いてあるかわからないが、ぜひ誰か読んでみて、何が書いてあるかを教えてほしい。

そういえば、まだ識字率が低い頃は、文字を読める村の識者が村の者を集めて何が書いてあるかを教えていたという。それで、「そうなのか! 知らなかった!」「そうだそうだ、オレらもお代官様に物申すべェ!」などとなった訳だ。最近は本を読まない人が増えたから(自分も含めて)、今こそこういう集まりやったら面白いかも!

イベントはありがたい事に満員で30人以上が集結! 高円寺の再開発の状況と、どういう主張で反対してるかなどを紹介した後、名古屋の街についても討論。みんなが口を揃えていうのは、名古屋は戦後にすでに再開発が完全に完成した状態という事。有名な100m道路に代表されるように、巨大な道路や大規模な建築など、権力者がやりたいような街づくりがそのままできてるような街。そこをどうしてくれようか、などという不穏な作戦も続出し、いい集会だった。

で、イベント翌日も名古屋人たちと面白いところを案内してもらいながら各地を飲み歩く(これが重要)。すると、マヌケゲストハウスの常連さんや20年前に交流のあった愛知大学野宿研究会の謎の重鎮などに再会!! おー、名古屋すごい!!

という訳で、また名古屋に遊びにきまーす!!

 

<おまけ>

一応おまけに、このイベントで準備した高円寺再開発に関する資料の一部を紹介しよう。見よ! このインテリにインテリを重ねた崇高な学術資料を!!! これで高円寺再開発は一目瞭然だ!

 

正月の初詣は名もなき地蔵へ!

早くも2019年も終わろうとしている。年末の慌しい日々が終われば、なんだか知らないけどやることなすこと全てがめでたい正月がやって来る。で、まず頭に浮かぶのが初詣。これがまた、なんとなくめでたくていいんだよね、本来は。そう、本来は。

ここ5年10年と、日本社会の変化と共に徐々に変化を遂げている初詣。ま、年に一回ぐらいは触れる話題なので、とりあえず過去のブログより再度掲載してみよう。

(以下、2017年元日の店主日記より引用)

昔から初詣は好きで、年を越したらすぐに寺や神社には行ってる。

子供の頃は浅草寺か亀戸天神。大学時代は赤城神社だったり、その辺の名もなき神社とか。やはり浅草に行くことも多かった。

何が楽しいって、とりあえず深夜から人でごった返してて、酔っ払いは多いわ若者はバカ騒ぎしてるわ、チビッコたちも唯一堂々と遅くまで起きてていい日ってことで叫んだり走ったりしてるし、やたらザワザワしてる。

境内なんかも押すな押すなの大騒ぎで、いくら並んでもロクに進みやしないし、ようやく賽銭箱近くまでやって来たら、みんな待ちきれなくて後ろの方から小銭を投げまくって、さっさと参拝してる。神社や寺側としても、みんなが金を遠くから投げまくるのを想定してるから、賽銭箱の周りはゴルフの打ちっ放しみたいに網が張られてて金を全部キャッチしてた。あれが給料になるんだから坊さんたちも頑張って集めてた。

そう、だから初詣の時は必ずフード付きの上着を着て行って、気づいたらフードに金が入ってたぐらい。あるいは、投げて賽銭箱まで届かない小銭が地面に無数に散らばってるから、子供の時なんかは仲間と初詣で盛り上がる寺や神社に行って、人混みの中を四つん這いになって這い回って金を集めまくったり、違うグループのガキどもと取り合いになってケンカになったりもした。列もめちゃくちゃで、一応大まかには並んでるけど、突如ヤクザが人をかき分けてきて一瞬で最前列まで行って札束をぶん投げて参拝して帰ったり、完全にカオス状態だった。

でも、雰囲気がいい。みんな晴れ着を着て見た目も賑やかだし、正月早々怒ったり文句を言ったりっていう野暮なことはしないから、みんななんだかゴキゲンだ。こういう感じが正月のいいところだったね〜

で、その流れもあり、今でも大晦日の夜は除夜の鐘を聞いて寺か神社に行くっていうのはもう恒例行事で、高円寺でも毎年みんなで飲みまくってそのまま神社に行ったりしていた。

ところが! ここ5〜6年かわからないけど、なんだかそんな初詣も少し雰囲気が変わってきてるのに気づいた。毎年酔っ払って行くから気にもとめてなかったけど、ふとよく見てみたら、みんな神社の作法をやたら気にするようになってる。そう、二礼二拍手一礼をちゃんとやってる。昔なんかメチャクチャだから、神社も寺もモスクも教会もよくわかってないやつもたくさんいて、ばあさんとかいつも数珠持って、何にでも「ありがたいありがたい」って言ってたぐらいで、みんなアベコベな参拝して満足げに帰って行ってた。もちろん昔から、やたら神妙に参拝するのが好きな変なジジイとかは丁寧にやってたけどね。ただ、その頃に比べて、今の様子がちょっと気持ち悪くて、みんながみん行儀よくやってて、しかも、後ろに並んでる人はみんな「どうやるんだっけ、どうやるんだっけ」みたいにビクビクしながら参拝する感じ。なんでもいいんだよ、そんなもん。参拝するのがいいんだから。

う〜ん、そんなせせこましい光景、正月早々から見せられたら、景気悪いどころか逆に運気が下がっちゃいそうだ。それに仏や神だってそんな肝っ玉小さくないでしょ。元日ぐらいめでたい日だったら、十字切ろうが、メッカの方向に礼拝したって全く気にしないはずだ。そもそも「いや、それ参拝の仕方違う!」なんて神経質な仏とかいたら、そんなの器が小さすぎてご利益もヘッタクレもあったもんじゃない。

ダメだこりゃ、ぼちぼち元日の初詣はやめだ!! バカバカしい!! ってことで、今年は正月もひと段落した頃に、その辺の名もない無名の寺か神社にでも行こ。いや、こうなったら近くの十字路の地蔵でもいいか。

いや〜、今年はご利益がありそうだ!

201711 『素人の乱5号店店主日記』より)

と、まあ、3年前の時点でこれなので、去年、今年とその流れは変わるもんでもない。いやー、こりゃ、周りと違うことをするのを極度に恐れてビクビクしながら生きる日本社会そのものだ。年明けた瞬間にそんな体験してしまったら、一年中そんな年になりかねない。こんな縁起の悪いものはない。古典芸能でも行事や儀式でもそうだけど、形式にこだわるようになったらおしまいだ。面白くねえ!

ということで、気持ちよくできる正月の初詣のオススメはこちら! みなさん、今年の初詣ではこんな感じでどうでしょう〜〜

<旧正月に行く>

そもそも日本も以前は陰暦で世の中回ってたわけで、それを明治維新だか文明開化だか知らないけど、いろんな都合で西洋の暦に合わせて現在に至る。まあ仕事や学校はそっちでもいいけど、初詣まで合わせる筋合いはない。2020年の旧正月は1月25日。この頃は空いてていいね。ちなみに2020年元旦は陰暦127日。「年末に大行列して初詣とかいってめでてえ奴らだなぁ」と、軽く流しておいて、自らは満を辞して旧正月に初詣。これいいね!

<中華街の関帝廟に行く>

横浜やら長崎や神戸など、中華街の廟に行くという手もある。これは日本式じゃないので謎のルールなども新設されないので比較的自由にできる。まあ、どうせ中華街なら旧正月に行きたいという気もするけど、普通に元旦に行くのもいいかもしれない。

<本殿の脇のおまけ神様にお参り>

大きい神社などになってくると、本殿の脇にいくつか小さい祠みたいなのがあって、謎の小さい神もいたりする。これがまたいい。本殿の前にずらっと行列があるのを延々と並ぶなんて、新春早々そんな貧乏くじは御免だ。「ちょっとごめんよ〜」と行列をかき分けて本殿目の前まで行き、周りのみんなが「こいつ、割り込みか!」と思った瞬間にサッとその本殿脇のあぜ道を潜り抜け、誰からも相手にされてない神様にお参り! これは粋だね! しかも誰も参拝してないんだから、適当に拝もうが、やたら時間かけようが、賽銭をぶん投げようがもう自由だ。しかも、そのお参りされた当の神様だってびっくり仰天だ。普段は誰もお参りに来ず「チキショウ、こっちだって随分前から神やってるってのに、あっちのでけえ本殿の方ばっかりみんな行きやがって、まったく。しかもあっちは毎年何百万円も賽銭集まってやがって、こっちなんて去年の賽銭全部あわせて75円だぞ、チキショー。あいつらあんまり調子に乗ってると本殿に呪いかけるぞ、コノヤロウ」ぐらいのテンションに違いない。そんなふてくされた神にお参りなんかしたら大喜びだ。おまけの神様も、もう完全に機嫌良くなっちゃって「こいつ分かってるね〜。じゃあひと肌脱いでやるか〜!! よっしゃ、俺に任しとけぃ!」と、とんでもないご利益が期待できる。

<適当に神社を建てる>

そもそも日本の神道というのは一神教ではなく八百万の神が基本。いろんなものに魂が宿ってるという発想が根本にある。ということで、別に自前で勝手に神社を作ったからと言ってバチが当たるものでもないし、筋違いなわけでもない。こうなったら何となく景気のいい魂が宿ってそうな消しゴムとかニンジンとか靴下とか、近所の婆さんのお裾分けのミカンとか、なんでもいいから祀ってみるのもいい。余ってる犬小屋とかに枝切れを集めて鳥居らしきものを作ってみよう(マジックで鳥居をかくと立ち小便禁止のサインになるので、それはNGだ)。さあ、そうすればもう神社の完成だ。あとは心おきなく初詣しよう! 神社の出来次第では近所の人も参拝に来るかもしれない! 集まった賽銭は、ちゃんと神主としての責任で、美味しいものや酒などをたくさん買って神に捧げ、たぶん神は食べないのでそのお下がりを全部いただこう!

<近所の名もなき地蔵>

初詣というと、やはりお寺や神社が頭に浮かぶが、ここはひとつ地蔵もいい。寺は仏様だし、神社は神様。どっちもなんだか高いところにいそうな感じだけど、地蔵は一味違う。地蔵は道祖神みたいなもので、その土地の神。その集落や地元の守り神なので、これは地味にご利益がありそうでいい。余談だけど、宗教ってものはすぐに金持ちや国家に利用されそうになる。日本も特に戦前は国家神道として権力を行使するのに使いまくってたし、イスラム圏でも宗教を理由に人を殺しまくったりする例もある。キリスト教だって十字軍とか言って他宗教を殺しまくったりした。あるいは戦争じゃなくても、人のいいジイさんバアさんを騙して金を巻き上げる宗教もたくさんある。ま、どれにしろ変な感じで利用されてしまったものはロクなもんじゃない。そこに来てお地蔵さんはいい。まずビジュアル的にチビっちゃい上に顔もマヌケな表情してることも多く、なかなか権力者の目に止まらない。確かに「お地蔵さん国家」とか言ってもどうもカッコつかないし、強そうじゃない。または、「地蔵のために死ね!」とか言われても、「なんでですか? いやぁ、それはちょっと…」と、普通に断れそうな感じがする。悪い権力者に利用されにくい。いいね、地蔵。ということで、超地味だけど、着実に地域を守ってる感じの地蔵。これ、初詣にもって来いじゃない? 地蔵だ、地蔵!

<近所の老人>

人間死んだら仏になる。よく刑事ドラマなんかでも刑事さんが死んだ人のことを「ホトケさん」とか言ってる。なるほど、その手があったか!! まあ、とは言っても一家惨殺の殺人現場とかに野次馬をかき分けて初詣っていうのもちょっと気まずい。それに、そんな現場で柏手打って「家内安全〜、商売繁盛〜」とか言ってたら間違いなく袋叩きに合う。できれば殺人現場は避けたい。とは言って、知らない人の仏間や葬儀場に勝手に入って初詣ってのもどうもおかしい。だったら、もうちょっと気が早いかもしれないけど、もうすぐお迎えが来そうな近所のじいさんとかいいね。厳密にいうとまだ仏じゃないけど、まあ遅かれ早かれそちらの方に行かれると思うので、まあ細かい所は目をつぶって、とりあえず初詣だ! まず、その辺を時速0.5kmぐらいで歩いてるおじいさんなどを捕まえて「おじいさん、ちょっと拝ませてもらってもいいですか?」と頼んでみよう。まあ十中八九「おや、そうかい?」と拝ませてくれるに違いない。まあ、拝まれて悪い気はしない。ただ、感の鋭いジイさんだったり、拝む時にうっかり「ナンマンダブ、ナンマンダブ…」などと口に出してしまったら「バカヤロー、俺はまだ死んでねー!」と、杖でぶん殴られるかもしれないから要注意だ。最新の注意を払って初詣に臨んでもらいたい。

さあ、というわけで今年も迎える年末年始。しかも初詣は年に一回限り。年明けは後悔しない初詣を!! くれぐれもシミッタレた場所は避けてくださいね〜

北アジア奇人伝 No.8 アラスカの怪人 Seth

アラスカ怪人のSeth氏。神社の鈴紐みたいな髭が初詣みたいでむやみにめでたい

高円寺に謎のガイジン、Seth(セス)氏が現れるようになったのが、2018年の暮れ。なんとアラスカから来たという! おお、アラスカ! 現在はアメリカの一部分だけど飛地の上、実は昔はロシア領。しかも歴史的には、先史の時代にアジア北方民族がシベリアからアラスカに渡って定住し始め、アメリカ大陸の先住民のルーツになったということもある。アメリカだかユーラシアだかも曖昧だし、東洋か西洋かも曖昧。いいね〜、こういうところには面白いものがあるに違いない! それに地図上で考えても、北海道から北にサハリン(樺太)経由でシベリアを通って海峡を渡ればすぐアラスカだ。これはもう北アメリカであると同時に北アジアとも言えるポジション。近い近い! 近年爆発的に拡大しているアジア圏の大バカな奴らの交流圏に入ってきてもおかしくない! これは楽しくなってきた!!

余談だが、ロシアの東の最果てウラジオストクも同じ。現地では中央から僻地僻地とバカにされて心細い思いをしているが、よくよく考えるとモロに東アジア圏内で、実は地図を見たら日本海の新潟の対岸。このウラジオストク作戦、現在も進行中だが、アラスカも似たような感じかもしれない。

さて、このSeth氏。別にアラスカから来たから面白いというわけじゃない。こいつ自体がすでに相当やばい。まず中国語がペラペラ。おかげでアジア圏のいろんなところで容易に友達ができるので、ヒマを見てはアラスカから南下してアジア圏をウロチョロしまくっている。というか、翻訳などパソコンがあればできる仕事をしているので、永久に放浪してるんじゃないかってぐらいアラスカに帰ってない。本人も「アラスカなんもねーよ。寒いし冬暗いし」とのこと。うーん、イメージ通りだがちょっと行ってみたい。

しかも、別に観光で回ってるだけじゃなく、アジアのDIY文化圏、地下文化圏、マヌケ文化圏などをひたすら渡り歩いているので、やたら詳しい。そういえば、6月に香港のデモに参加しにいった時も、現地でSethから「おお、いま香港ウロウロしてたところ!」と連絡が来て、行動を共にした。うーん、手強い! さてはこいつどこにでもいるな!? 最近はしばらく高円寺に滞在してたんだけど、その時も中国のこの街にはこんな面白いスペースがある、とか、ミャンマーのどこどこの村にはこんなすごいグループがあってやばい、などの誰も知らない情報を異常に知ってる。そんな時、Sethが「場所どこだっけな〜。確かこの辺に…」と、おもむろに出した自分のスマホがやばい。「おいSeth、ちょっと待て! なんだその地図!!」と、すかさず見せてもらったのが、下の写真。

これはすごい。あまりにウロウロしすぎたため、アジア地下文化圏の情報量がすごい。もはや生き字引! これ全部遊びに行った面白い場所だとのこと。やはり、資料やネットで研究してたくさんのことを知ってる人の情報ってほとんど役に立たないんだけど、Sethの場合は実際にウロチョロして現地のやつらと遊んで知った情報だから、そこの雰囲気や人の感じなども含めて知ってるのがすごいし、情報としてもすごい有用だ! しかも、高円寺にいて毎日遊んでいる時も、アホなことばかり言ってたり、大バカなノリが最高なので、そのSethがオススメの場所なんだから、この信頼感はでかい!

マヌケゲストハウスのリビングにて

高円寺のマヌケゲストハウス滞在中も、中国人や台湾人、韓国人、高円寺人などが交流する中も、なんの違和感なく会話に入って遊んだり情報を交換しまくるSeth。さらに、当然英語も話すので、欧米から来てる英語しか話せない人ともうまくつなぐ橋渡し役になるので、Sethの存在感はでかい! う〜ん、無駄に未知のアジア地下文化圏を渡り歩いている貫禄か!

そんなSethも、年の瀬も押し迫ってくると「盆暮れ正月ぐらいは里帰りしないとまずい」と、中国語で話し、アラスカの里へ帰っていった。「近所(アジア全域のことだと思う)で何か面白いことがあったらいつでも行くから誘ってくれ」とのこと。いやー、アジアの北端からこれまたすごい奴が現れた!

中国奇人伝 No.85 芸術無法者、厲檳源

数日前、中国の芸術系の知り合いから「高円寺に遊びに行くよ〜」との連絡あり。芸術家やキュレーターの仲間と数人で来日中で、北京や成都から来ているという。新宿に宿をとっていると言うが、高円寺に来て一緒に飲んだりしてるうちに、そのうちの一人が「ここいいね。明日から高円寺に宿移すよ!」と、早速、翌日にも高円寺にまた舞い戻ってきた。やたら行動が早い! そう、その彼が厲檳源(リー・ビンユエン)氏だ。

2泊ほどの高円寺に滞在中、普通にアホな話をしながら飲んだりしていたんだけど、とあるタイミングで「そういえば、俺の作品見せてなかったね〜」と、スマホを取り出し作品を見せてくれた。自分としては本来そこまで芸術に興味がある方じゃないし、実は見てもチンプンカンプンだったりして、反応に困ることも多い。しかし、まあこのマヌケ感全開の厲(リー)さんだから何かしらふざけたものに違いないと、恐る恐るその映像を見てみると…

いきなりこんな感じ。なんだこりゃー!!!!! 花火大会級の超強力打ち上げ花火を水平にぶっ放しまくる映像!! やべー、超楽しそう!!! 景気良すぎる!!!!

どうやら「ドブ川の春」という名の人をおちょくった作品。花火が水面で炸裂しまくるから、四方八方に飛び散ってとんでもないことになってる! で、この作品、同じ日の夜中にも再度行われており、真っ暗な夜がまたすごいキレイ!!! そして深夜にもかかわらず爆音と火花が飛び散る!! すげー!

しかも無許可で勝手にやってるとのこと。聞いたら「申請? なんで?」みたいにケロッとしてる。別に通報も入らないし、警察も来てないって。すごい! あと、映像を見ればわかるけど、通行人が一切興味なさそうなのがいい。車とかもたくさん通りかかるんだけど、大量の火器を轟音と共に炸裂させまくってるのに、そのまま素通りしちゃう。

いや〜、わかる! この中国人の反応! 中国って人が多すぎるからか知らないけど、路上でとんでもないことが起こってもみんなチラッと見る程度で「なにやってんだ、こいつ」ぐらいの感じでそのままどっか行っちゃう。でも冷たいわけじゃなく、ちょっと話しかけるとみんなすごい優しい。逆に、中国の路上で、人に対して「さあ、みなさん、これから何かやりますよ〜!」みたいな感じでやるとみんな足を止めてすぐに人だかりになる。どっちの状況も日本とは全然違うな〜、この感じ。

ほかの作品も、とんでもないのが多く、北京の通勤ラッシュの時間に地下鉄内でサラリーマンの格好をして歯を磨いたり髭を剃ったりし始め、挙げ句の果てには大量の水を用意していてタライに水を張って顔を洗い始めたりっていう、これまたふざけた作品。ほかにも、北京市街地を裸で巨大な十字架を担いで走り回ったり、何本もの包丁を装着した原チャリでアスファルトに触れて火花を散らしながら北京市街を疾走したり。あるいは、道路の真ん中で爆竹を投げまくって車や自転車が通れなくなるというとんでもない作品も。これ面白いのが、車を止めてずっと終わるの待ってる人とか、うまいこと避けて行く人とか、全く気にせずに炸裂する爆竹の中を何事もないかのように直進していく人などの様子が超面白い。こんな周りの様子を撮れるのも中国の街の文化ならではの反応だ。最高、面白すぎる。

おそらく日本だったら、別になんの迷惑も被ってないのに通報する人とか、「迷惑だ」とか言ってなぜかネットで同意を求める謎の人とか、「通報入ったんでやめてもらえますか?」などと理由になってない理由で制止に入る謎の警官とかが続出する。ま、これじゃ路上では何も文化は育たないね。そういえば、日本も80年代90年代ごろまでは街頭で無茶苦茶やれたところもあるので、文化は育っていたが、それ以降政府が規制を強めた結果、路上文化は衰退の一途をたどる。惜しいな〜、行政にもうちょっと注意するところと目をつぶるところを区別できるセンスがあればね〜

中国は、政府は超厳しいし政治的自由はかなり厳格で政府の抑圧も半端じゃないけど、それさえ除けば街の様子に関しては中国は超自由な世界。最近、中国の芸術はすごい面白いのが続出してるのはこういう理由がある。いや〜、これはこれからも中国芸術界はとんでもないことになるに違いないから、今後も目が離せない!!

巨大な十字架を担ぎ、北京市内を疾走する厲さん

その後はバイクに乗り換えてさらに疾走

ということで、高円寺でも遊びまくって帰った厲檳源氏。いつか高円寺でも何かやろう〜、と約束し去っていった。いや〜、久々にこんな気持ちのいい大バカに会った! また帰ってきてね〜!!

ハ・ホンジンBANDがやって来る!!

奴がまたやって来る!

9月に来日した韓国ソウルのブルースギタリストのハ・ホンジン。前回のソロライブでは、高円寺の日本武道館こと喜楽Music Warehouseにて超満員の聴衆をギター1本で笑いと感動の渦にたたき込み、高円寺をブルース一色に染めた! その感動の冷めやらぬうちに、今度は強力なバンドを引き連れブルースロックスタイルで再度高円寺に襲来! これは見逃せない!

それを迎え撃つ日本勢は、高円寺ロックシーンには欠かせない“ねたのよい”、近年アジア圏に進出中の“パンクロッカー労働組合”、ハ・ホンジンとも繋がりの深いブルースの“Mr. MOMIJI BAND”、そして、ロックンロールの権化“へよか”! これは盛り上がらないわけがない!!!!

新高円寺 LOFT X(旧CLUB LINER)

19:00open / 19:30start

1500yen + 1drink

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(ご注意)

トップはパンクロッカー労働組合で、いきなりブルースの出鼻を挫く大混乱になる可能性大なのでこれは必見! 遅刻はご法度!

へよか

Mr. Momiji Band

ねたのよい

パンクロッカー労働組合

ハ・ホンジンBAND / 하헌진밴드