風が吹くと土ぼこりがたって目に入り盲人が増える。盲人は三味線で生計を立てようとするから、三味線の胴を張る猫の皮の需要が増える。猫が減るとねずみが増え、ねずみが桶をかじるから桶屋がもうかって喜ぶ。
<「デジタル大辞泉」より引用>
新型肺炎が流行ると病人が増える。病人が増えるとみんながビビりはじめて「なんとかしろ」と政府に文句を言い始める。無能な首相は一体何をしていいのかサッパリ分からず、闇雲に自粛を訴える。みんな一旦は自宅に閉じこもるものの、時間と気持ちの余裕ができて、ふと自宅を見渡すと、部屋の整理がしたくなる。そういえば近所にリサイクル屋があったと思いつき、不用品を処分したり、何かいい家具でもないかと探しに行くので、リサイクル屋がやたらと繁盛する。
と、まあ、こんなところだろう。新型コロナが日本に本格上陸して以来、マスクは売り切れ、それがトイレットペーパーや食料品に飛び火し、ついにはリサイクルショップにまでその景気が回ってきて、とんでもないことに。売上は突如3倍以上になり、買取依頼の件数もパンク状態に!!!! どうなってんだこりゃ〜!! こら〜、肺炎が流行って大急ぎでタンスを買いに行くって、一体どういうことなんだ〜!!!
政府の自粛要請の発表以降、それに拍車がかかり、学校も休校になるし、一部の職場は自宅勤務になる。こっそり遊びに行こうと思っても、娯楽施設は休業だし、各種イベントも中止で行くところがない。満員電車も乗りたくない。ってことで、みんな徒歩圏内の近所をウロつき始めるのか、高円寺の街には人があふれかえり、大変なことに。さらに上で書いたような理由からか、うちのリサイクルショップには物もお客さんもごった返す。
まず若者たちは、ここぞとばかりに家の片付けなんかを始めて、机や棚を担いで売りに来たり、新しいものを買おうかと物色に来る。高円寺の特色なのかもしれないけど、とりあえずヒマそうな若い奴らがいつもに増してやたら多い。
老人たちも、区営の高齢者施設がコロナ対策で休館になってるせいもあるのか、むやみに街をうろついており、店の前で「ヘーックショーイ!!!」とか言って大クシャミしたりしている。もちろん長老衆には咳エチケットなんていう謎の新概念は浸透してないので、むしろ逆に「ヘーックション! コンチキショー。カァ〜〜、ペッ!」みたいなおまけ付きだ。
チビッコたちもみんながみんなおとなしくしてるわけじゃないので、親の目を盗んで家を脱出してウロチョロするガキンチョたちもいる(こう言うチビッコたちは絶対いい大人になる。がんばれよ〜笑)。むやみに外で遊んでても保護者連中に見つかったら怒られるので、行く場に窮してか、チビッコ2〜3人が連れ立って、用もないのに小生意気にリサイクルショップに来て「あ〜、この棚ウチにもあるぜ」などと言い合ったりして暇をつぶす。チビッコたちは遠慮がないので「こんなボレェ棚誰が1500円で買うんだよ」「こんなもん道に落ちてるよ」とか余計なことばかり大声で言う。てめえチキショーこのクソガキども、…と思いつつも、よくよく考えたら自分も子供の頃は全く同じことしてたので、許す。さあ、チビッコのみんな、次はあっちの店に行ってやろうね〜
外国人たちも逞しい。
まず欧米系の人たちは結構ビビってる人が多い。話しても「いや〜、怖いね。生まれて初めてマスクした」みたいなこと言ってる。仕事にならないからひとまず国に帰るなんて言って引っ越していく人もいた。
うちの店の常連さんにはインド・ネパール系の人たちも多いんだけど、彼らは強い。みんなケロっとしてていつも通りにしてる。彼らの特徴としては買い物に来たときの滞在時間が異常に長いこと。みんなどうでもいい話をしたり、ああでもないこうでもないと色々迷ったり、30分ぐらいかけて値切ってきたりと、とりあえず賑やかだ。だが、こういう時も慌てふためいたりせずに全くいつもと変わらない安定感が心強い。ただ、人によってはアベコベな付け方でマスクしてたり、一応気にはしてるみたい。
あと、面白いのは中国人。さすがに中国からきてる観光客はほとんど見ないので、いるのは仕事や学校で日本に住んでる中国人。彼らはむしろ本国にいるよりも安全だっていうことで、不安感ゼロ。ただ、中国の報道などは見ているせいか、マスクなどの防御は完璧のフル装備の人が多い。ところが最近は日本の防疫体制があまりに適当だから「こんなので大丈夫?」と逆に心配してる感じ。そりゃ、そうだよな〜。この中途半端さ。
さて、リサイクルショップが特需を迎えている現在だが、同時にやっているゲストハウスは、ただでさえ赤字なのにそれがさらに赤字になり、未曾有の大赤字状態に! リサイクルショップで儲かった金が全てゲストハウスで消えるという、やはりどうしても金が手元に残らないシステムが働いてるな〜
めでたしめでたし