北京作戦④ 北京残留!

さて、中国人民の圧力に屈してまんまとチケットをキャンセルして北京残留。「帰るのやめた」とみんなに連絡したら「よっしゃー、じゃあ今夜も飲みますかー」という返事が続々とくる。あぶねー、昼は寝といて百草丸飲んでから出かけよ。

というわけで夜。さっそく、いよいよオープンする待望の新スペース甭管LIVE(2号店)へ。立地は五道営というエリアで、地下鉄「安定門」駅の近く。連日ウロついてる鼓樓東大街あたりからも歩いて15分ぐらいなので一応徒歩圏内のあたり。JR高円寺と地下鉄の新高円寺ぐらいな距離感。この辺も昔から個人店の変わったバーとか若い人が始めた雑貨屋さんとか並んでて、お茶の水や水道橋的な感じで面白いところだったけど、最近やたらオシャレな店が増え始めて、表参道化が進んでる。いや〜、家賃高騰してんじゃないかな〜

入口はこんな感じ。
開店祝いの花はやはり赤。日本では白い胡蝶蘭を贈ったりするけど、そんなことしたら「縁起でもねえ!」と怒られるので注意。白いものは、こっちでは誰かが死んだみたいに思われるので厳禁だ。正月に白いお年玉袋でガキに渡そうもんなら泣き出氏たりして、オヤジが出てきて「なんのつもりだ!」と殴られるのでこれも注意。

店内。入ってすぐのところはバーカウンターになってるので、飲みに行くだけでもOK。

奥の方に行くとライブできるホールがある。意外と広い!

さっそくライブ始まる。今日はみんな北京のバンドで、パンクとハードコア。特に最初のバンド、すごい爆音だった。
そういえば、中国ってライブ始まるの普通に22:00スタートとか、早くても21時スタート。昔、なんでそんな遅くに始まるかって聞いてみたところ、「だって仕事終わってすぐイベント始まったらメシいつ食うんだよ。仕事終わってみんなで集まってゆっくりご飯食べて、それが終わったタイミングにしないと誰も来ないよ。どんなにいいライブやってもみんなメシ食いに行っちゃうからね」だって。なるほど〜、それは理にかなってる! 日本だったら仕事終わって大急ぎで牛丼とか食べてライブ会場に向かうなんてことも多々ある。いや〜、やっぱ食の中国、メシの時間は何より大事なんだね〜

余談だけど、上の写真のように爆音で絶好調にライブやってるそのステージ右奥の方に見える扉、何気によく見たらガラス一枚。あれ、と思ってコッソリ開けてみたら普通に外だった。うおー、防音しなくていいのか!

ちなみに、この甭管から50mぐらいの至近距離でにあるのが上の写真のSchoolという老舗ライブハウスで、北京ロックシーンでは最重要スポット。漢字表記では「学校」なので、出来損ないの中高生なんかが学校サボって遊びに行くときも、父ちゃんや母ちゃんに「学校行ってくる!」って家を出て行けば嘘ついたことにならないという、とてもいい名前! そのうち「銀行」とか「会社」とか「ホームセンター」なんて名前の不良の溜まり場できたら面白いな〜

こちらが学校内部。うわ〜、ここも6年ぶりにきたけど変わってなくて安心。

Schoolボスの劉非。彼は北京のベテランバンドのJOYSIDEのマネージャーもやってて、「来週東京行くよ! 下北沢のshelterでライブやるから遊びに来てよ!」だって。なんか世界狭い! そう、日中の地下文化の間では国境の溝ってそんなに深くないし、もうすでに取り返しがつかないぐらい(笑)いろんなところで繋がってる。国ごとに物事を考えようなんていう発想自体がすでにどうかしてるのだ。そういうよからぬ魂胆は早く諦めてもらいたいものだ。

さて、ライブも終わり、北京のやつらが「お前北京久しぶりだろ? せっかくだし、ちょっと近くの店も見ていくか?」と、案内してくれる。北京は胡同と呼ばれる、こんな感じの路地がたくさん残ってる。路地裏文化みたいなもので、ちょっとした北京名物になってる。これが迷路みたいになってるけど、北京の奴らはこの迷路を巧みに近道として使ってて案内してくれるからすごい。一人だったら絶対無理。迷う。

まず寄ったのが「原料空間」という飲み屋。
かつて北京には、飲んだくれたちが集うヤバすぎる伝説のBAR「SOSクラブ」という店があった。毎日大盛況で死ぬほど飲みまくってて、自分も飲みすぎてだいぶ酷い目にあった最高の店だったんだけど、残念ながらのちに閉店。この「原料」はその流れを汲む重要な残党たちのBAR。くわばらくわばら。

この日はもう営業終わってて、残念なようなホッとしたような気分。いや〜、やはり北京は緊張感が漂うスリル満点シティだ!

ここもステージ部分があって、イベントもできるところ。
あっ、あのでかい天狗の面、昔のSOSクラブの天井にかかってたやつだ! まだあったのか〜。っていうか、鼻がもげてる。コラー、お前らいったいどんな飲み方したんだ!! くわばらくわばら

こちらは「五金」というスペースで、先ほどの「原料」の隣にある。6年前はすぐ近くの別の場所にあったんだけど、こっちに引っ越してきたらしい。写真の右の人が、最近ここを切り盛りしてる阿科。何事にもノリが良くてやたら面白いやつで、実は去年には高円寺に遊びにきていたフットワークの軽いとんでもない姉御!
ちなみに「五金」っていうのは金物屋のこと。前の場所が金物屋跡地で始めたのでそんな名前になったみたい。新宿のクリーニング屋跡地で始めたCafe Lavanderiaみたいなもんか〜。
ここはみんなで料理するイベントだったりトーク系のイベントだったりをやところで飲食店でもあるスペース。前の場所も同じだったけど、厨房とでかいテーブルが店のメインにあるのがここの特徴で、このレイアウトなんかいいね〜

そして、この五金や原料があるエリアは、甭管やSchoolエリアと盲区があるエリアの中間点ぐらいにあるので、どこも歩いて行けて便利な場所にある。やっぱこの歩けるってのがすごくいいんだよね。お客さんも行ったり来たりするし、イベントのハシゴもできる。あっちで誰々が飲んでるっぽいからちょっと顔出して来る、なんてこともできる。歩けるのってコミュニティが広がる最大要因。これは重要だね〜

ってわけで、「じゃ、また飲み直すか〜」言い出した北京人たちに連れられてきたのが、魔窟「盲区」。近い!! 帰れねえ! 全部歩いてすぐなの危ねえ!!
どうやら甭管LIVEでのライブが終わった流れがこのエリアに来て、向かいの甭管BARと盲区で打ち上げが続いてる模様。う〜ん、この行ったり来たりする感じ、いよいよ高円寺にそっくりだ。

盲区Tシャツを手に入れた!

みんなカジュアルに飲んでるけど、これ深夜3時半。寝る気配ゼロ。

やはり日本に帰れる気がしない。

4時半ぐらいになってくると、こんな感じに死人が続出してくる。ただ、奥のステージではドラムを叩き出したりギターを弾き出したりするやつが出てきて、とにかくうるさくていい。
この後は前出の阿科の姉御が「よーし、肉まん食べにいくぞ〜」と騒ぎ始め、朝ごはん屋で肉まんとお茶で締め。台湾とかもそうだけど、朝まで飲んだ後に朝ごはん屋があるのがいいね。ま、松屋とか吉野家の朝の納豆定食とかも最高だけどね。

いや〜、北京あぶねえ〜。ということで、その後、青島に戻ることは断念して、慌てて北京発東京行きの飛行機を取り直して(日中間のイザコザのおかげで片道1万円ちょっとだった。最高すぎる)、命からがら日本へ戻ったのであった。
約1週間の中国。いや〜、有意義だった。また行かないとな〜。みなさん、今チャンスなのでどんどん中国に飲みに行ってしまおう〜

(北京作戦 終)

北京作戦③ 四次元空間へ!

さて北京2日目。初日にいきなり高円寺級に飲んでしまい、ものすごい二日酔い。百草丸でなんとかするものの、だるいには違いない。北京は友達が死ぬほどいるから序盤でこれは飛ばしすぎなんじゃないか〜!?
しかし、うかつにもこの日は正午に約束をしてしまった。寝られねえ〜

去年の春、横浜トリエンナーレという謎の芸術イベントに参加したんだけど、その時の芸術監督を務めてたのが盧迎華(ルーインホア)&劉鼎(リュウディン)のコンビ。その二人が北京で美術館をやってるというので、せっかくなので遊びに行ってみることに。

ってことで、早起きして空を見ると青い!!! 北京の空が青い! どうなってんだ!
コロナ前よく北京に行ってた頃、例のPM2.5とかで大気汚染がやばすぎて快晴でも空気が濁ってっ曇りみたいな空だったんだけど、この青さ! なんだこりゃ〜!!!
確かに、今や街の車もバイクもほとんどが電気自動車だし、空気はきれいだ。いや、空気がきれいになったのはいいことなんだけど、この短期間でこれはよほど激変するとは、よほどの強権を発動しないとできない力技。大したもんだと思う気もするし、若干怖い気もするな〜
そういえば子供のころ、隅田川はゴミだらけで死ぬほど汚くてドブとヘドロの臭いがすごかったけど、あれきれいになるのに一体どれだけ時間かかったんだろ。うーん、北京恐るべし。

見よ! これが北京郊外の空! こんな澄み切った空なんて北京じゃねえ〜
ちなみにここは東京で言えば西八王子ぐらいのところ。なんでこんなところまで来たかというと、その美術館がその辺にあるとのこと。芸術方面は全く疎いので、その盧&劉がどんな感じのスペースを持ってるのとか全く知らなくて、とりあえず住所聞いて来た感じ。
ま、美術館やってるとは言ってたけど、美術館ってでかい石造りみたいな建物のあんな感じのイメージだよね? まさか、そんなわけないでしょ。それに「美術館やってる」なんて聞いたことないし。ま、アートスペースとか街のギャラリーみたいな感じじゃないかな。いや、でも気持ちはわかる。世の中なんでも大風呂敷広げてでかいこと言うのは常套手段だし、そうこなくっちゃ!! 世の中何事もハッタリだよ、ハッタリ。いや、景気よくなってきたね〜

ま、こんな感じじゃないかな? 西八王子の自称美術館↓
いいね、やっぱDIYでしょ! よーし、手貸しちゃうぞ!?

(↑イメージ図)

なんて想像しつつ歩いてると、やたら広大な建物ばかりあってなかなか着かない。甲州街道みたいなでかい道を延々と歩く。なんだなんだ、高尾に着いちまうんじゃねえのか? 俺は高尾山なんか登らねえぞ。
さては美術館のヤロー、小さすぎて通り越したな? そういえば名前は「中間美術館」だって。出ました、また適当な名前。こりゃ間違いなく、家と家の間の隙間にトタン屋根でも作って大美術館名乗ろうって魂胆だな。こりゃいいや!
どこだ〜! 美術館出てこーい!!

着きました!
ギャー、でかい! 本当の美術館だった! 庶民が大口叩いてすいませんでした!!
中間ってのもあばら屋とあばら屋の隙間のトタン屋根のことじゃなくて、普通に地名だった。これじゃ本物の美術館じゃねえか! も、もしかして、アンタたち、大物だったのか!?

ぐぬぬ〜、入口はこれ。玄関だけで自分のアパートの20倍はある。野郎ども、ずらかるぞ!

とはいえ逃げるわけにはいかず、おそるおそる抜き足差し足入ってみると、出ました〜! 大御所=盧&劉コンビ! 中央は高円寺の貧乏なゴミ拾い屋さん
ここでも、顔を合わすやいなや「この日中関係ヤバいタイミングで来るって、オマエ最高すぎだろ!笑 分かってるな〜」と笑われる。やっぱ、このタイミングで来たの良かったんだ! たまたまなんだけど。

さっそく、美術館の職員さんたちが寄ってたかって館内の展示を案内してくれる。しまった、昨日飲みすぎて二日酔いがひどい。よっしゃ、こうなったらイチかバチかだ。芸術を見るぞ〜!!

これすごい。二日酔いで頭がグラングランの状態で謎の現代芸術を見ると、「なんなんだ、これは!」の驚きの連続で、完全にUFOにさらわれたお百姓さん状態。四次元世界にしか見えない! これは面白い!!
現代芸術って、要は一筋縄では行かない一発芸みたいなもんでしょ? だったらこっちも一筋縄では行かない頭で観るのが一番いい。どうだ、勝負だ芸術家! こっちは二日酔いだ!

ってことで、くまなくUFO内部を案内してもらったあと、職員の皆さん交えて記念撮影。そこで、思いつきでどんどん進める盧&劉が「来年になったらここでお前のトークのイベントでもやろう!」と言い出して、なんかそう言うことになる。いいね〜。また来るぞー

そして北京中心部に帰ってくると、待ち受けていたのがこちら、通称飛び出しナイフくん。彼が弾簧刀楽隊って名前のバンドやってた時に知り合った。弾簧刀って飛び出しナイフのこと。中国語の語感としてはすごくイカついネーミングなんだけど、日本語にすると飛び出しナイフバンドという、どうにもこうにもマヌケな語感が漂ってしまい、ついでに名前になってしまった。
全てに反抗する姿勢を示すため、拳にはFUCKとPUNKという、目を疑うようなストレートな表現の刺青を入れ、近寄る者全てを破壊する意思を明確にしている飛び出しナイフくん。仕事は村の郵便局。
そんな飛び出しくん、実は10年来の友達。北京のFLYXというバンドのメンバーとして台湾のイベントに出た時、たまたま自分も遊びに行ってて仲良くなったのがキッカケ。実は去年には高円寺にも遊びに来てるし、こういう無闇に国境を跨いで遊び歩いてる人は重要だ〜

そして続いて登場したのが王丹青。彼は以前だいぶ長く台湾にいたので台北の音楽シーンと北京のシーンの繋ぎ役としてもだいぶ活躍したやつ。台北でばかり会ってたので北京で会うと新鮮。「あっ、中国人だったんだ!」と初めて実感。
で、こいつがまたマヌケなやつで、2016年に東京でNO LIMIT東京自治区っていうイベントやった時などは高円寺で「うお〜、なんか安い酒見つけた」とか言ってストロングゼロを飲みまくり、一瞬でヘベレケになって記憶飛んで、目が覚めたら指の骨折って曲がってて、「東京こええ!」と台湾に逃げ帰ったという、どうでもいい武勇伝を持っている。

ま、そんなことでこの日もまたいろいろ北京の旧友と親交を深めていると、「明日、重要なイベントあるよ〜」という情報が耳に入る。聞けば、盲区の向かいにある昨日も行った甭管BARが近くに新しくパンクのライブハウスをオープンするという。このご時世にパンクの新しい場所ができるって、さすが北京。上海じゃありえない。で、そのオープニングのイベントだって。ひゃー、楽しそう。ただ、翌日の夜にはまた青島に戻る予定なので、ギリギリ行けない。悔しい〜
当然、北京の大バカたちからは「チケットキャンセルするしかない! もっと北京で遊ぼう」「青島行っても何もねえよ。北京でしょ、ここは」などと押しが強い。くそー、俺がいつも高円寺で言ってることをそのまま返されてる。まずい、劣勢だ! しかも、ここで冷酷に誘いを振り切って北京を去っては、次にやつらが東京に遊びに来た時に、どのツラ下げて「チケットキャンセルしろ」というセリフを吐けるのか!? しかも初対面のやつらからも「いや〜、そんな短期間じゃ北京のこと何もわからないよ〜。明日も飲もうよー」と挑発まで。…ち、ちきしょ〜、ええい、ヤケクソだ、チケットキャンセルだ!!!! ということで、チケットをゴミ箱に捨ててもう少し北京に残留することに。またやっちまった〜!! 何回目なんだ、このパターン!

その週末イベントはこちら。なんと3日間全部入場無料。景気いい! これは賑やかになりそう。

甭管のマスター。「飲むよ〜」と写真。
いよいよ東京に帰れる気がしなくなってきた。

北京作戦② 北京上陸

というわけでやって参りました北京。青島から高速鉄道で約3時間半。ひと昔前だったら5000円ぐらいあれば足りたんだけど、今は日本円の価値の急落によって8000円ぐらいした。チキショー
北京に到着して、とりあえず鼓楼東大街のあたりに直行。この一帯が、BARやライブハウス、カフェ、レコード屋や変わった雑貨屋などがあって最も高円寺に近い雰囲気。最近はちょっと下火はいえこのエリアはまだまだ面白いので、北京遊びに行く人はこの辺に宿を構えると色々便利なのでおすすめ。

いや〜、でもコロナ以来6年ぶりに来たけどそこまで変わってねえな〜
ちなみに中国は北京と上海の二大巨大都市があるけど、上海は資本主義全開の商業シティで遊びもファッションもビジネスも最先端のところで全然面白くない。一方の北京は首都なので政治都市。政治は商業ほど侵食力がないので、北京にはなんかポカっと変な隙間がたくさんあって、そこをうまく見つけてみんな変なスペースを開いてる。しかも首都で政治の直轄地みたいな厳しいところで飄々とやらかしてるところがなんかすごくいい。やっぱ北京いいな〜

まず真っ先に落ち合ったのは、今年の春に杭州で行われた「一席」というトークイベントの登壇者やスタッフたち。杭州で飲んだ時も「北京きたら必ず連絡しろよー」と言われてたこともあり、早速合流。
会って早々「いや〜、このタイミングで来るの面白すぎるな〜」と、みんなに笑われる。言わずもがな昨今の日中の緊張状態のこと。こっちは「いや〜、うちの政府がやらかしてすいませんね〜、あれバカなんで笑」というお決まりのネタ(挨拶)で始まり、対する向こうも「いやいや何をおっしゃる、うちの◼️◼️◼️(検閲)◼️◼️」で和む感じ。国家と民を分けて考える人たちと会話ってすごく楽でいい。みんな、わかってるね〜
で、「俺は高市嫌いだから」と言うと、「やっぱり!笑 でも日本では支持率7割とかあるんでしょ?」と、意外と詳しい。中国来てからいろんな人に「どんな人が支持してるの?」と聞かれるので、とりあえず「YouTube見過ぎの年寄りとか友達いない若者じゃない? 俺しらね、興味ない」って答えといた。

で、やってまいりました、「盲区」。これは北京のバンド界隈のやつらが作ったスペースで、基本的にはBAR。でもライブやら上映会やら各種イベントやったり、ZINE作ったり精力的に活動してる。最後に北京に来た2019年にはすでにこの界隈の人たちがイベントやったりラジオやったりいろいろやり始めてて、「もうすぐ店開くよ〜」とか言ってたんだけど、それからコロナになって来れなかったから、ようやく来れた!

店内はこんな感じ。いいねー、“あそこに行けばなんとかなる”感ある場所は世界共通っで重要。しかし北京のやつらは飲むな〜
中国南部の方とか台湾や香港とかはそこまで酒豪多くないんだけど、北京はみんなガンガン飲む。こいつらが飲むのか北京が飲むのかは不明。でも中国の東北部行ったらあそこも飲んだくれ大量にいたから、やはり寒いところの方が飲むのかもしれない。自分は酒飲みなので、みんな飲みまくる環境は実にありがたい!

ということで、日本から持って来たのが百草丸。これさえあればどんな飲み会もなんとかなるので、飲んだくれたちと対峙する時はこれは必須アイテム。みなさんも騙されたと思って飲んだ方がいい。!!

盲区店内はこんな感じ。入り口はカウンター席。一瞬、高円寺なんとかBARを彷彿とさせるが、よく見たらこっちの方がオシャレ。

一番奥には小ステージもあり、ライブもできる。いいな〜、完璧だ!

盲区メンバー。いや〜、久しぶりだ〜! 6年ぶりだけどどいつもこいつも変わってねえ。

今年、高円寺に突如現れて巷を騒がせた、今年の外来マヌケMVP候補の成蹊老師もドサクサにまぎれて登場。

さっきの盲区の斜め向かいにできたBAR。ここも音楽関係の繋がりの人たちが開いた店(甭管 SHUT UP BAR)で、盲区とは協力関係にあって合同イベント開催したりしてるって。この辺の歩いて行ける範囲になんだかんだあるのが、この鼓楼東大街界隈の底力。徒歩圏内って超重要。なんでかというと、徒歩圏内ってことはみんな歩いて移動するので道でばったり会う。これは街にとって最も重要なことなんだよね〜

と思ったら、いきなり蹴鞠を始める北京の連中。厳密にいうと鞠じゃなくてでかい羽根だけど、蹴鞠とだいたい同じルール。お前ら京のお公家様か〜!!
聞いたら「最近どいつもこいつもネット見たりSNSやったりして頭おかしくなってるから、実際に見知らぬ人が触れ合うのはこれしかない」とのこと。いや、最高すぎる!

やり始めると白熱して止まらなくなる。通行人が混じって来たりして面白いとのこと。いや〜、確かにこれはいい! でも、恥ずかしがって入って来ない日本と違って、犬の散歩の通行人とかがどんどん入ってくる中国の空気感も羨ましいなー

悠に7〜8時間飲んでても一向に倒れる気配のない北京チーム。完全に捕まった宇宙人状態の自分。
北京に来た初日にいきなりこれか〜。北京に住みたい笑

北京作戦① 青島編

さて、ことの発端はこちら。我が国のバカな首相のせいで日中間の大パニックが発生。しかも、別に中国と事を構える覚悟を決めての発言ではなくて、どうやらウッカリ口を滑らせてのことらしい。これで中国との大揉めが発生。バカじゃねーの?

で、迷惑を被るのがその辺をウロついている我々一般の民。もちろん中国内の一般の民も。そもそも日本と中国は、商売はもちろんのこと文化やら芸術やらですでにたくさん繋がってるし、各所で友達やら飲み友達やらが死ぬほどいて、民間ではもはや切っても切れない関係になってる。もちろん日中間だけじゃなく、韓国やら香港・台湾やらもそうだし、そもそも隣国ってそういうもんだ。国家だか政府だか知らないけど勝手に揉め始められても、そんなの知ったこっちゃねえし、迷惑以外の何者でもない。
というわけで、お互い不幸な政府を持ったもの同士仲良くしとこうってことで、とりあえず中国に行って中国人たちと飲みまくろうという作戦。飲めばわかる! さあ飲むぞ〜

で、早速単身中国へ向かう。まずは青島へ。
なぜ青島かっていうと、実はこの飛行機のチケット、ずいぶん前に取ったもの。その時は特に目的もなく、「たまには、しばらく行ってないところにでも行くか〜、青島でも行ってゆっくりビールでも飲んで帰ってくるか」ぐらいの適当さで買ったチケット。
ところが、出発目前になりあれよあれよと日中関係が緊張状態になってきて、中国政府が「日本への渡航自粛」なんて言い出す始末。さらには日本人アーティストなどの公演も軒並みキャンセルになり始める。おいおい、政府同士の喧嘩はそっちでやってくれよ。民間人を巻き込むのはやめてくれ〜。すぐ住民を巻き込もうとするから国って存在嫌いなんだよな〜。都道府県とか市町村程度のライトな縛りの存在になってほしいね、国。

ま、ともかくこうなった以上、我々酒飲みにできることはなにか? そう、中国に渡って飲むことしかない。国を超えた飲み会の回数が多ければ多いほど戦争からは遠のくはずだ! 間違いない〜!!
北京を目指したいが、ひとまずチケットは青島往復なので、とりあえず青島行ってから、北京のことは考えよう。

で、青島に到着して適当に宿を取ると、これが個室でやたら豪勢。一泊1700円だったんだけど、広い! キッチンもでかいし400Lクラスの大型冷蔵庫や洗濯機まであるし、100インチ以上のスクリーンとプロジェクターまであった。なんだこりゃ〜。えっ、一日1700円ってことは月で51000円? しかも水道光熱費も掃除も寝具交換もセット。安い! リモートワークの人、ここに住んだ方がいいよ。ビール安くてうまいし。いや〜、青島で夢のホテル暮らしもいいなー

で、笑ったのがこれ。ソファ前のローテーブルが超巨大なヴィトンのスーツケース。もちろんニセモノ。この堂々とインチキ全開で攻めてくる、中国のこの感じ好きなんだよな〜。しかも、もしこれが本物だったとしても下品なオーラ全開になるし、金持ちこんなことしねえし、喜ばねえだろ! いや〜、ルイヴィトン=富裕層みたいな貧乏人の発想、自分が育った江東区の貧民街に通じるところがあってなんか嬉しいな〜。江東区の近所のジジイとかもよく言ってたなー、「俺はアレだよ、ビトンだよ、ビトン。アレしか買わねえから」

ま、それはさておき、街に出る。
いや青島狂ってる。地下鉄の駅出たら目の前に巨大な円形生ビールサーバーの無人販売所。いくら青島ビールの街って言ったって景気良すぎるじゃねーか。愛媛のポンジュースが出る蛇口と全く同じ発想!
種類も豊富で、普通の生ビールの他はクラフトビールから、フルーツ系ビールカクテルまで色々あって、しかもそれが売れ行きによってなのか知らないけど、東京証券取引所みたいにビール価格が常に変動してる。完全にふざけてる!!

青島のローカルホットスポット=台東夜市。青島出身の友達に「観光地とか行きたくないから、地元の人たちがよく行く薄汚くて盛り上がってるところ教えて」って聞いたら何人かから即答で「台東夜市行け!」と言われたので行ってきた。メイン通りにはきれいな屋台がずらっと大量に並んでて壮観だったけど、実は面白いのは裏通り。裏路地とかでもドサクサに紛れて商売しまくってる屋台が大量にあって、このあたりがいい。生ビールの屋台もたくさんあった。

青島のビールに対する執念はただ事ではなく、繁華街でもなんでもないその辺のどうでもいい路地なんかにも例のビールサーバー無人販売所が24時間稼働してる。すげ〜、風呂上がりに工場直送の生ビールが自宅で飲めるのか!!

青島には友達は誰ひとりいないので、まだ見ぬ仲間を探す大バカ開拓を開始。この知人ゼロの状態からの新規開拓、これまでもよくやってきてるんだけど、難易度高いんだけど、これがまた面白い。

定番の作戦を紹介すると、まずはいろんな知り合いに青島で面白いところ知ってるかと聞きまくって情報を集めて、それを手掛かりに行ってみる。当然当たりハズレがあるし、なんか反りが合わないことだって多々ある。あとは店の前に貼ってあるポスターやステッカーを見て、知ってるバンドのライブ告知や聞いたことあるイベントのポスター、他の街の知ってる店のステッカーなんかがあったら、「ここは手掛かりがあるかも!」みたいな感じで入ってみる。また、一回行ってイマイチだったとしても何回か通えばなにかあるかもしれないオーラを感じたら試しにまた来てみたり、ともかく勘で勝負していくしかないんだけど、これ慣れてくるとだんだん勘が鋭くなってくるので、みなさんも臆せずに果敢に攻めてみてほしい。
いや〜、なんかこの下積みっぽい感じなんか好きなんだよね〜。知り合いの多い街なんかに行くと「あっ、松本さん! 案内しますよ」なんてあそこもここもって連れて行ってくれたりして、それはそれでありがたいんだけど、ゼロの状態からなんとかウロウロして「何オマエ、誰?」ぐらいの足蹴にされる感じから探っていくのがなんかワクワクするんだよね…。

そして、一ヶ所でも仲良くなったところがあればもう勝手に広がっていく。手がかりさえ掴めれば、あとは店主でも他の客でも、そこの人と話してたら「あそこも行ったら面白いよ!」なんて勧められたりするので、そこに片っ端から行ってみればいい。
ちなみに期間は1都市1週間が必要。1週間あればなんか手掛かりや次に繋がる人脈ができてきて、次回にまた来たときの1週間でもっととんでもないやついないかと深掘りしていく感じ。「オマエまた来たのか〜!」なんて言われるようになって徐々に仲が良くなっていくもんだ。そう、いくらバカ同士の交流とはいえ、一朝一夕では事は成らない。
あ、もちろん現地に友達がいたりする場合はすごく早い。「面白いところ連れてって〜」と頼んでいろいろ案内してもらえば、その繋がりがどんどん広がってあとは勝手に一人でも遊び歩けるようになってくる。

そんなわけでゼロからの青島。ということでまずは東京に住む青島人が紹介してくれたのが上の写真の店「強麦ビール」。その青島人からは「いい店だよ。ビールうまいし、店主さんも面白い人だ!」という情報のみで、何がどう面白いのかは不明。

ま、飲めばなんとかなる。
ということで、店主氏(上の写真)から青島情報などを教えてもらったりして有意義に作戦スタート。いや〜、完全に上京したての大学生がとりあえず街に根を張るために必死でいろんな店に入って話しかける気分。懐かしい!!

この強麦ビールもそうだったんだけど、すごくフレンドリー。日本から来たよって言っても「おー、日本から来たんだ」って感じでなんかみんなすごく歓迎モード。あれ、そんな感じなんだ。ま、最近の中国の若い人たちとかはみんな国家と人民は別物ってことを熟知してる人が多いので、そりゃそうか。

さて、青島マヌケ攻略を開始した矢先、重大ニュースが舞い込んできた。青島にはDMCという重要スポットがある。ホームセンターみたいな名前だけど、それはDCMで、青島はライブハウスのDMC。そこでのイベントに異変が起きたと青島が大騒ぎに。ちょうど週末に結構でかいライブの企画があって、日本からはギターウルフとSAの2組が出る予定だったみたいだけど、まんまと出演中止になってしまい、青島人たちもガッカリしてしょんぼりしてるという。うおー、こんなところにも影響出るのか〜。国同士のケンカはそっちだけでやってくれよ〜

出演中止で、替わりに中国の大御所の代打が決まったんだけど、そのお知らせに「不可抗力のため」と強調してるところが哀愁。どうにもできない強い力によってダメになったってことか〜

さて、いずれにせよ青島マヌケスポット攻略、まずは取っ掛かりから始まりつつあった感じなんだけど、今回は急遽目的が北京になってしまったので、ひとまずここまで。今回は新規にバカスペースを見つけるというより、この状況下で首都北京のマヌケたちがどんな様子でどんな感じなのかを肌身で感じることが重要だ! よっしゃ、早速、行こう。北京!!

広州調査団、ついに出動!

中国行きのビザがついに不要になり、日本パスポート所持者は飛行機さえ買えば何の手続きも無しでフラッと行けるようになった。いや〜、これは最高。しかも以前は滞在期間15日間までだったのが、なぜか30日間自由に遊びに行けるという謎の大風呂敷、いや、大盤振る舞い。すごい、太っ腹だ!

ということで早速中国行きを目論む。中国と言っても、いまさら万里の長城とか見に行ってもしょうがないので、ここはやはり中国アンダーグラウンド文化圏のところに遊びに行きたいところ。で、高円寺とのつながりとしては、やはり北京や広州が一番友達も多く、交流は多いエリア。じゃ、どっちかだな〜、と思うが真冬の北京は寒すぎるので5秒で却下。よし、北京は春か秋だ! というわけで、広州に即決。

ちなみに、中国の地下文化圏の状況を言うと、以前は中国各地に続々と謎のマヌケスポットが増えまくってて、いよいよ面白いことになる雰囲気全開だったんだけど、例のコロナの厳しい規制やロックダウン(都市封鎖)などで、さすがに音を上げて潰れるところが続出。そしてその後、コロナが落ち着いてみると惨憺たる状態になっていたんだけど、なぜか広州だけは辛うじて生き残っており、そんな残ったやつらがまんまと復活を遂げ始める。そして続々と謎のスペースを開いたり、他都市のやつらをけしかけまくったりと暗躍し始める。いや〜、何だか知らないけど広州のやつらやたら元気だな〜

と言うわけで、コロナ以来なので5〜6年ぶりの広州。なので、ひとまず、いま中国で最もホットな広州地下文化圏が一体どうなってるのか、様子を見に行ってみよう〜、って言うのが今回の趣旨。なので特にでかいイベントやったり参加したりって言うんじゃなく、適当にフラフラしながら「ようっ、久しぶり!」みたいな感じで飲み歩いてればいい。それで新しくできたスペースなんかを見て歩けば絶対に面白い。で、久々のやつらに近況を聞いたり、初めて会うマヌケなやつらと遭遇したりして遊んでればいい。よっしゃ、得意分野だ! まかせろ! 

もちろん日本にいながらにしてもネットやSNSで情報は入ってくるけど、それだと実際の5%ぐらいしかわからないと思うので、やはり百聞は一見にしかず、直接行って話してくるのが一番だ。あと、日本に来る人と交流するのも手だけど、それだとやはり“ちゃんとした人”が多くなってしまうので、それはそれで重要なんだけど、やはりちょっと物足りない。現地には、一文無しでとてもじゃないけど海外に出られない大バカな面白いやつとか、くだらないことに熱中しすぎて海外なんか行く気が全くない人など、現地に行かないと遭遇できないようなとんでもないマヌケたちであふれている(これは日本も同様)。これは現地ならではの楽しみ。

よーし、広州地下文化物見遊山、楽しそうだと、「いや〜、久々に行くよ〜」と会う人会う人に言ってたら、「行きたい!」と言う人が続出。次々と、酒飲んだ勢いで「じゃ、いまチケット取る」とか言って後先考えずにチケットを買うバカすぎる人が出始め、その結果合計7名の広州探検隊が集う。いや〜、面白くなってきた! 自分一人で行って色々見聞きしてくるのもいいけど、ゾロゾロとバカたちが行ってみんなで交流すると何かまた別の面白さがあっていい。ちなみに、どいつもこいつも団体行動できるような奴らじゃない(自分含む)ので、当然、中国広州現地集合現地解散。みんな初海外だったり初中国だったりする人も多く、一人や二人たどり着かなかったり行方不明になったりするかもしれないけど、まあそれはご愛嬌ってことで。ま、ガキじゃあるめえし、テメエで何とかするだろ。俺は知らねえよ(←今でも耳に残る自分の父親の口癖)。
と言うわけで、3月2日から3月8日までの一週間、広州調査団の広州探検、スタート〜〜〜〜!!!

さて、それでは、今回探検に加わる高円寺界隈の大バカたちを最後に紹介しておこう。


林由美(高円寺)

高円寺在住の謎の台湾人。昭和の歌謡曲専門のDJをやったり、昭和のレトロ玩具店で働いてたりと現代人とは思えない人。酔っ払っておもちゃを買いまくり、家の中がカオスになっている。


松原慧太郎(長野)

去年秋に行われた長野・防災訓練(という名の野外フェス)で突如頭角を表した田舎の青年。田舎人間の実力を全開に発揮し、やることなすこと何でもできるという恐るべき期待のホープ。バンドもやってる。


池田佳穂(高円寺)
クソつまらない主流アート界、商業アート界に悪態をつき続ける独立系キュレーターで、アート界の平将門と恐れられる。ただ、強さはゼロで、よく酔っ払って街を歩いて、たまにマンホールに落ちたりする。


リリセ(高円寺)
写真を撮ったり、謎の演劇やパフォーマンスアートに関わったりと、近年目覚ましい活躍を見せている。ただ、バカすぎるので、先日詐欺電話をまんまと信じて莫大な金を振り込んで無一文になるという、今どき田舎のおばあちゃんも引っかからない常套手段で騙されると言う武勇伝を持つ。


村上豪(高円寺)
バンド「パンクロッカー労働組合」のボーカルで、リサイクルショップ「PUNK」の店主。元々バンドスタイルはパンクだったが、実はその歌詞は恋愛の歌ばかり。そのため外国人たちがライブを聴いて「ウオー!」と盛り上がりまくったものの、後から歌詞を知って「騙された!」と怒ること多々あり。


ヒナノ(高円寺)

村上豪とのユニット「Hinago」のアコーディオン。また、雑貨店「おやすみクラブ」の店主。彼女の作るものはかわらしいものばかりで、その影響は大きく、パンク青年だった村上豪も気付いたらかわいい小動物のようになってしまった。


松本哉(高円寺)
リサイクルショップ素人の乱5号店店主。各国の各種変人たちとビールを飲むことが人生の目標。かつては左翼活動家だったと言う噂もあるが、その情報は不確定で、信憑性はない。ともかく今は特に大したことやってない、ただののんべえだ。


番外編・楊子瑄(台湾)
そして高円寺7人衆とは別に、台湾から広州に向かう別働隊が一人。台北・半路咖啡の店主。台北では常にロクでもない悪だくみをして世の中を混乱させる悪の張本人、いや、バカの張本人。今回も「広州行こう!」と突如言い出した発起人の一人。

中四国巡業⑧番外編 大阪&京都秘密会議

さて、『世界マヌケ反乱の手引書・増補版』(文庫版)の中国四国ドサまわり巡業、呉・広島から始まり、2週間以上かけて昨晩の鳥取にて無事終了。いや〜、ほんと見事に各地に面白い人がいるし、それぞれの場所で新しいふざけた場所(バカセンター)の情報教えてもらえるし、やはり各地を実際に回るのって重要だな〜
しかも、各地に必ず、昔高円寺に住んでてイベント参加したことある人や、「ラジオ聞いてます!」と異様に情報に詳しい人、実は大学が同じで当時のこと知ってる人などなど、東京発の火種がいろんなところにものすごく散らばってる。それもそのはず、東京にも地方の各都市からいろんな奴が引っ越してきたりして、各地の情報を教えてくれている。確かに、同じぐらい行き来があってもおかしくない。こういう実感って、やはり現地に行かないとわからないのが、各地を回る醍醐味。いやー、またこれからも各地へ遊びに行きたいな〜

で、いよいよ東京へ向かうわけだけど、そうやすやすと帰れないのは想定内。今回は全て中四国でのイベントってことで、近畿圏の人たちから「関西全無視やんけ。どないなってんねん」と苦情多数。やむなく倉敷や津山のイベントなどにわざわざ関西から来てくれた人もいたぐらいだった。やべ〜
危険なので関西を避けて北陸−新潟経由で帰ろうかと思ったけど雪に阻まれて無理。四国に戻って船で帰ろうかとも思ったけど船賃が高すぎてこちらも無理。というわけで関西へ〜

というわけでまずは大阪。いや〜、こういう感じの高架下のボロい飲食街がどこにいってもまだたくさん残ってるところが大阪の安心するところ。
大阪は特に告知したわけでもないし、イベントやるわけでもない。ちょっと重要人物との密談。極秘で事を運ばないといけないので会談場所は極秘中の極秘で、大阪郊外の雑踏の中に入り、指定の中華料理店に。

重要会議というのはウソで、大阪の盟友にして、最近「マヌケ出版社」という世の中ナメ過ぎの出版社を立ち上げた、もりっしーこと通天閣盛男。最近、調子狂い気味だったとのことで、酒は百薬の長作戦に誘う。そして、パンを大量に作って革命を起こそうと目論んでいる謎のパン職人のインテリパンク氏が登場。何を隠そう、このインテリパンク氏はパン職人の傍ら、本のデザインの仕事もしており、どうやら「マヌケ出版社」による次なるとんでもない書籍の計画の作戦を練っていた。いったいどんなシロモノが登場するのかは乞うご期待。どうやらその計画は来年には実行されるとのこと。くわばらくわばら。
さらに、マヌケゲストハウスに京都大使として常駐してくれている涼子さんも現れて密議に参加。涼子さん、京都−高円寺を行ったり来たりしていて、完全に参勤交代状態なんだが、今は京都で在番中とのことで飲みにやって来た。
さらには、いまもりっしーも関わっているというモモの家という謎のスペースに移動して、来年の計画を練る。

続いて翌日は京都へ。
実は倉敷のイベントの日、京都から学生たちが来てくれていたんだけど、その日の打ち上げの時、「京都にも来てくださいよ〜!」と誘われたので、「いいよ」とふたつ返事。飲みの場で適当に返事したものの、最近の学生はよくできていて、翌日LINEで「おーい、覚えてるか〜?」と、確認あり。さすがだ!
というわけで、京都へ。こちらも特にイベントではなく単に飲みに行く。場所は中華そばの「みみお」という店。ここは京大吉田寮のすぐ近くにあるので、吉田寮関係者をはじめ京大界隈の人たちがよく集っている店で、店主の訪米さんもよく高円寺に遊びに来てくれる。

ただの飲み会。
友達の友達などが集まり、わけわからないことに。さらには、定休日に貸切営業で開けてもらったにも関わらず、開いてると間違った一見さんなども入ってきていよいよカオスに!!
脈絡ない飲み会だけど、結構面白い人たちが集っていて、いい交流ができた。来年には京大生たちが大挙して高円寺に飲みにやってきて、高円寺「なんとかBAR」で1日店主をやるという計画も決まり、京都へも再度来る約束をさせられるなど、今後の謎の展開もいろいろ確定。飲み会恐るべし!

さて、そんなわけで、大阪・京都の番外編も含め、ようやく中四国巡業も無事終了〜。翌々日の朝には東京に戻り、なんと17泊18日の全行程が完了。いや〜、長かったけど、これ全然いけるね〜。ほとんど全部遊んでるようなもんだから疲れもゼロ。高円寺の店があるからこれ以上の期間は厳しいかもしれないけど、1ヶ月でも2ヶ月でも1年でもずっと回ってられそう。

しかし、いろんな場所を回るのは本当に面白い。そこのスペースややってる人によって集まる人たちも変わってくるし、街の規模や雰囲気によっても違う。そんな各地に行くたびに、現地の友達がやたらできまくるの最高すぎる。いや〜、今回できた膨大な人数の新たな友達たちのおかげでまたさらにとんでもない事態が発生することも間違いなし。実際、東京に帰った直後に、広島のイベントで物販出していた絶滅危惧種も高円寺に現れるし、「鳥取汽水空港のイベントにいましたよ!」なんて人が店に遊びにきてくれたりもした。早い!!! そう、火種はすでにばら撒かれた! 来年からの各地でのマヌケな奴らの展開が楽しみ!

というわけで、めでたし、めでたし。
では諸君、またの機会に!

中四国巡業・ドサまわりツアー  完

中四国巡業⑦ 千秋楽・鳥取汽水空港 

すでに2週間以上にわたってウロチョロしてきた『世界マヌケ反乱の手引書』(文庫版)の中四国巡業もいよいよ千秋楽を迎えようとしている。そう、最終日は伝説のスポット、鳥取・汽水空港。店主のモリくんとは長年の友達で東京ほかいろんなところで会ってはいたんだけど、なんだかんだと店には行ったことがなかったので、今回は楽しみ。やっと汽水空港に行ける〜

ただ、それを阻むのが津山の瓶チュー。そして打ち上げから始まる津山方式。翌朝、完全に二日酔いで、これはヤバい。いや〜、瓶チュー効くな〜。迂闊だった〜
ともかく、昼前には出発して鳥取方面に向かう。が、しばらく運転して気づくが、どう考えても酒が残っていて、完全に飲酒運転状態。これは死ぬと思い、ちょうどあった道の駅に入った瞬間に寝る。で、起きたらすでに夕方近くになってる。やべー! で、ちょうどモリくんから連絡が来ていて「5時ぐらいまでに来といてほしい」とのこと。おお、今から行けば5時前には着きそうなので、ちょうどいい!
ということで、早速出発。するとずっと坂道を登ってる。なんだなんだ、ずいぶん道が険しいじゃねえか、聞いてねえ。よくよく考えたら、車やらバイクなんかで来たことは何度もあるけど、いつも東西の道を通ってただけで、縦に中国縦断するの初めてかも。ぬかった!

道すがら急に寒くなってきて、街道沿いの温度計も「0度」の表示。嫌な予感しかしなかったんだけど、案の定、みぞれ混じりの雨が降り始め、あっという間に大粒の雪が降ってくる。そして路肩にはところどころ積もった雪。こちとら都内を走る軽商用車なので、一点の迷いもない二駆と動かざること山のごとしのノーマルタイヤ。雪の路面に対する恐怖心はそんじょそこらの雪国の奴らの比ではない。すかさず空き地に車を停めて地図を見ると、峠まではあと数キロ。峠を越えるとあとは下りなので高度も下がるので、おそらく雪はこの一帯だけだ。これはイチかバチかで行けるか!? ただ、峠を越えたあたりの道は、高い山に囲まれ、高低差があって大雪が降りやすい典型的な地形。峠の先の下る途中の集落の天気を見てみると(上の画像)、とんでもない大雪になってる。ましてや、下り坂の峠の雪道で夏タイヤ軽商用バン二駆は絶対死ぬ。しかも、まんまと東京のナンバーなので、そんな車で一人で勝手にスピンして路肩に頭から突っ込んでる醜態なんか晒そうもんなら、地元民たちから「まったく、これだから世間知らずの東京もんは」と、とんだ笑い者だ。ぐぬぬ〜、しかしこういう時は気合と根性があれば何事も突破できると、90年代に大学の先輩たちからはキツく教えられてきている。よ〜し、ここは気合と根性で死んでいった先輩たちの仇を討つ時がついにやってきた! よっしゃ、決死の覚悟で突破するか〜!!!

…と、思ったけど、やっぱり危ないからやめた。野郎ども、ずらかれ!

峠から10キロほど戻り、翌日も雪に埋もれることはないあたりに車を停める。鳥取まで距離としてはそこまで遠くないので、電車かバスで行こうと思ったが、そんなものはない。完全に山の中。しまった、騙された!
もう観念して、汽水空港のモリくんに電話して万事休すの旨を伝えると、「今から未曾有のヒマ人が車で迎えに行く!」とのこと。なんと!

汽水空港からは車で約40分。いや〜、申し訳ねえ〜
救いに来てくれたのは、なんと高知から来ていたヤマジさんという人。上の写真は、例の峠を越えた先の下り道。いや〜、こんなところ走ったら即死だった〜。誰だ〜、気合と根性でなんとかなるとか言ってたやつ。出てこーい!!

ま、そんなわけで、ようやくイベントの話。今回はこちら(下の画像)。

倉敷に続いてのだめ連神長さんに、東京芸大の毛利先生も交えてのトーク。各方面の特殊な専門家が作戦を練る集会。重要集会に遅刻して申し訳ない〜

約45分遅れぐらいで到着。すいませ〜ん、と入ると超満員。モリくんからは人口30人ぐらいの寒村みたいな勢いで聞いてたので、たまげる。盛り上がってるじゃねーか!!

序盤でピンチヒッター的に登場してくれていたのが、神戸に本部を置き、近年急速にその極めた道の勢力を拡大している広域廃屋組織の西村組初代組長(写真右から2番目)。今回は関東の勢力が山陰に現れることを聞きつけ、急遽神戸から一家の者とともに急行して来た。
そう、西村組の話は最近よく聞いていて、古い民家など廃屋を改造しまくってとんでもないスペースを開きまくっているという、面白すぎる軍団。いや〜、今度遊びに行ってみたい! っていうか、この日も西村組のやってることを紹介してたみたいだけど、遅刻して見損なった。チキショー、残念!

さて、トーク内容は、例によって文章化しても意味ないので割愛。鳥取と東京を繋げて何か面白いことが出来ないかって計画を練ったりして楽しかった。いや〜、いろんな案が出たけど、どれかは実現したい!

終了後、記念写真。
いつもは車で寝てたんだけど、車を謎の山中に置いて来たことをハッと思い出し、寝床がないことに気づく。ところが、この汽水空港のすぐそばで「たみ」というゲストハウスをやってる人(写真最左)がいたので、急遽チェックイン。モリくん、常々「田舎はマジで何もないですよ!」と言ってるけど、いろいろあるじゃねえか! すごい、助かった〜
ちなみに、このゲストハウス「たみ」に泊まったお客さんが、高円寺のマヌケゲストハウスに泊まりに来てくれることも多々ある。なので、お礼がてら、高円寺でも手持ち無沙汰そうにしてる海外からのお客さんなんかに「どこか別の街で面白いところはあるか?」と聞かれたら、たまに「たみ」のショップカード渡して、「ヨシ、ここへ言ってみろ!」と言ったりしてる。「トットリ? 何があるんだ?」と聞かれるが「何もないらしい! とりあえず行ってみるしかない!」とか無責任なこと言って送り出したりしてる。本当に向かったかどうかは不明。

最後に、汽水空港の壁にサインして帰ってというので、とりあえず定番の4コマ漫画。

ゲストハウス「たみ」の廊下。和室メインのいい感じのところで、高円寺の史上最低のゲストハウス=マヌケゲストハウスに泊まるより、この廊下の方が快適そうだ!

翌朝、また汽水空港に戻る。昨夜は暗闇の中かろうじて辿り着いたので、外観全く見てなかった。出ました〜、渋い!! 隣にやたらきれいな建物が建ってるのがまたいい。完全に21エモンのつづれ屋とホテル・ギャラクシー。

汽水空港↑

で、帰り際に駅前の喫茶店でモーニング。昭和レトロな喫茶店はやはり居心地がいいね〜
コーヒー飲みつつ昨日のイベントの続きのような雑談をしてると、いろんな悪知恵を働かせて切り抜ける悪だくみ作戦の一問一答集みたいな参考書テイストの本作った方がいいよ、みたいな話になり、まんまと「やりましょう!」と口車に乗せられ、安請け合い。しまった!

最も口車に乗せてくるのが、この男、ヤマジ氏。あれ、なんか聞いたことある名前だ。そう、何を隠そう、昨日の夜に雪の山奥まで迎えに来てくれた命の恩人。偉業を成し遂げた英雄なので、もう少し重宝されてもいい感じもするのだが、なぜか汽水空港ではパシリキャラが定着していて、この日はまたも山の向こうの車が立ち往生してるところまで送ってくれることに。いや〜、ありがてえ〜

と、いうわけで、前半はヒヤヒヤしつつも鳥取マヌケ作戦、無事終了〜。写真はいろいろ世話になった汽水空港のモリくんとアキナさん。
ありがとう〜、また遊びに来まーす。

中四国巡業⑥ 津山 商店街露天風呂作戦!!

岡山の次は津山。
事前に、12/6に岡山、12/8に鳥取でイベントが決まった段階で、津山の人から「時間あったら飲みに来ませんか〜?」と誘いが! しかも津山って岡山市から鳥取に行く途中にあるので、これはもう遊びに行くしかない。ということで、急遽津山もツアー日程に編入! しかも、津山ってまだ一度も行ったことのない街だから、これは嬉しい! いやー、楽しくなってきた。
学生の頃から、隙さえあればバイクで1ヶ月も2ヶ月も旅行して回ってたり、無目的に海外に行ってフラフラ長期旅行したりしていて、本来は定住が苦手な性格なんだけど、店を開いてからはどうにもこうにも土地に縛られるようになってるので、こういう何がどうなるか分からない長期移動はすごく安心する。“一寸先は闇”の状態が一番心地いい。

「ちょっと飲みに寄りまーす」というノリだったんだけど、他の都市がやたら気合い入ったフライヤーとか告知とか始まったのにつられて、津山の人たちが勢いでフライヤーまで作ってくれた! 今改めて気づいたけど、「飲んだり話したりする会」って、単なる飲み会じゃねーか笑 いや〜、すごい! ただの飲み会もフライヤーにしたらなんだかイベント感出てくる! いいねー、今度から高円寺でも事あるごとに飲み会フライヤー作ろうかな〜

会場に到着〜
ブックカフェのような店で、「喫茶 曲がり」というところ。

店内は、奥の方が喫茶+書店になってて、いいところだ〜。数人で共同経営してる方式とのこと。2階もある。古い建物いいな〜

と、思ったのも束の間。店の外では、大の大人たちが何やら訳のわからないものをせっせと準備している。この店の人もいるけど、近所の業者の人やら店の大家さんやら、いろいろ集まってる。聞けば露天風呂。なんだそりゃ〜!
なんで風呂なんか組み立ててるのか聞いてみたら、「いや〜、昼に会って話してたら、なんとなく風呂でも出そうかって話になってね〜」だって。なんだそれ、最高すぎる!!! 普通、街でばったりあったおじちゃん同士で「路上に風呂設置しよう」ってならないだろ〜。「風呂でも行くか」の間違いじゃないの!? しかもえらい時間かけて風呂設置して、ああでもないこうでもないと大騒ぎに。その熱意はいったいどこからくるんだ!! しかもよく見たら、熱源はガスじゃなくて焚き火! 写真を見ればわかるかもしれないけど、鉄パイプがグルグル巻いてあるところで焚き火やってれば、自然とお湯が流れて風呂が沸くシステム。これも近所のオヤジが作ったらしい。すげー。路上で風呂に入るための執念が凄すぎる!!! いや〜、いいね。こういう大人たちの存在って重要だ。津山恐るべし!!!!!
東京でこれができるだろうか? いや、できない! これだけ時間に余裕のある本気の大人たちはいないし、路上で焚き火不可に加え猥褻物陳列罪のおまけ付きだ。くそっ、できねえ! 負けた!!

完全に猥褻物陳列罪。
しかも、市街地のど真ん中の商店街沿い。ここで恥も外聞もなくライトアップされながら風呂に入るの最高すぎる! 通行人からしたら、普通に商店街で買い物して歩いてたら突如風呂に入ってるオヤジがいる感じ。いや〜、めちゃくちゃいいな〜、これ流行ってほしい! どこでも風呂。
風呂設置に奔走していたおっちゃんたちも「これはいいな〜!!!」と大満足の様子。

さて、着々と露天風呂作戦が進行する中、店内ではイベント(というか飲み会)が始まる。なんと、店内には屋台があり、飲み会会場はこちら。この屋台、折りたたみ式になっていて、たまに野外や他所のイベントなどの時に出動させるとのこと。おお、高円寺の移動式屋台「のんべえ号」と同じスタイル! 写真中央が今回呼んでくれた、店の運営メンバーのひとりのタカツカさん。
で、津山人たちいわく「津山では、先に打ち上げやるんですよ〜」という。ほんとか!? なんと、先に打ち上げから始まって、徐々に二次会、一次会と逆流する感じ。すごい! そういえば津山ではパンク・ハードコアシーンが結構盛んで、ライブのイベントとかもよくあるらしく、そんな時に遠方から来たバンドなんかが打ち解けるために、先に打ち上げやったりすることもあるとのこと。なるほど〜、そんな技があったのか〜! 新しい!!
ということで、津山到着早々、いきなり飲み始める。津山スタイルいいな〜、高円寺でも導入しよう。

さて、飲み始めると、遠方からわざわざ来てくれる人とか、昔高円寺に住んでたけど津山に引っ越した人など、続々と登場して面白い。しかも「飲み会」というスタイルが良くて、別に決まったスタート時間もないし、みんな一斉に来るんじゃなくて、三々五々集まってきたり帰って行ったりと流動的。決まった時間にトークがあるわけでもない。…って、そうか、ただの飲み会だった。
でも、言われてみればトークイベントとかやっても、終わった後はそのまま帰る人も多く、主催側と一部参加者で打ち上げ行く感じが多いので、参加者と話す機会が少なくて、ちょっともったいないことが多々ある。でも、このいきなり打ち上げスタイルは普通に友達になるので結構いいかも。今度から俺も打ち上げだけやるイベントやろうかな〜

完全に赤ちょうちんの屋台で飲んでるのと同じ光景。

そんな頃、店の外では湯が沸いたとオヤジたちの騒ぎ声が。急いで外へ。足湯スタイルで引き続き飲み始める。外気は3度ほどだったので、最初はやたら寒かったけど、熱々の足湯なので意外と暖まってくる。
ハタから見ると完全に謎の光景。通りがかりの若者から老人に至るまで「えっ、風呂? いいなぁ〜」なんて話しかけてくる。「いつもやってるんですか?」「いつもはやらないよ!」なんて会話が。いや、平和すぎる!

そんな感じで、ひと通り飲んだ後は、「じゃあ、打ち上げで飲みに行きましょうか」ということに。おお、打ち上げの打ち上げが始まる! いや、三次会の次の二次会か。まあ、なんでもいいや。よし、飲もう飲もう〜
で、一番津山っぽいところに連れて行ってくれるという。
で、写真のいぶし銀の居酒屋に。常連ばかりの店で、これ確かにいきなり一見では入りにくい。やった〜、これは素晴らしい。

で、何を飲もうか考えてると「津山だったら瓶チュー飲まないとダメでしょ〜」と、これを勧められる。見たことない。
とは言っても、津山の地元の会社が作ってるやつではなく、合同酒精なので全国で売ってるはずなんだけど、なぜか謎の怪奇現象で津山ばかりで異常に飲まれているという。確かに、岡山・倉敷でも見なかったし、この後に行く鳥取でも誰も知らなかった。どうなってんだ、津山!!
ええい、こうなったらヤケクソだ。郷に入っては郷に従えってことで、ひたすらこの瓶チューを連続で頼んで飲む。意外と濃い。

店内は、完全に親戚のおばちゃんの家の台所みたいな感じ。居心地良すぎる。ここなら永久に飲める。

で、打ち上げの打ち上げもぼちぼちお開きになり、そろそろ解散かと思われたけど、まだ誰か飲みに行くというので「俺も行きたい!」と、さらに飲むことに。猫目というパンクバーに。さすが津山! もう深夜2時か3時ごろだったけど、まだ飲むところがあるってのがすごい。津山の人口って10万弱ぐらいで、この規模の街だと夜11時過ぎるとどこも行き場がなくなるのがいつものパターン。経験上、だいたい20万人規模の街になってくると、深夜までやってるBARとか歓楽街の街中華なんかがちらほら出てくるイメージ。そう考えると、津山やばい!

そんなわけで、迂闊にも4時半ぐらいまで飲んでしまい、振り返ってみると津山に着いてからずっと飲んでる。いや〜、しかも連続で飲んだ瓶チューが意外とダメージもでかい。明日は鳥取だ〜。早く寝るしかない!!
ということで、津山作戦終了。初津山、やたら楽しかった!! いや〜、飲みすぎて翌日の鳥取が心配だ〜

中四国巡業⑤ 岡山、老人決死隊の登場

12月4日、高松「なタ書」の混乱を終え、また瀬戸内海を渡り岡山へ。

で、岡山駅近くの駐車場に適当に車を停めて、歩き出したところ、近くのビルから何かピンとくるものを感じ、行ってみると案の定謎の市場に迷い込む。巨大な建物の一階が碁盤の目のようになってて、市場になってる。うや〜、いい場所だ!
そういえば、広島の基町アパートの一階も同様に碁盤の目状の市場(というか商店街)みたいになってた。大阪・鶴橋駅前の市場もそうだし、東京上野の高架下も似た感じだけど、こういう市場のごちゃごちゃした感じってすごくワクワクするんだよね〜。下北沢の古い市場は再開発で壊されちゃったのが残念だし、高円寺も北口の旧市場エリアあるけど、最近あまり市場感無くなってきてる。
何がいいって、この店舗サイズ感。3坪とか5坪ぐらいの小さい店舗がギュッとひしめき合ってて、それぞれの店主が競い合いつつみんな顔見知りな活気が、客としても心地がいい。それに整然とした空間より「なんかあるんじゃねえか」感が滲み出てるのもいい。

で、よくよく見たらこれ“岡ビル”という一つの建物(上の写真は岡ビルのウェブサイトより)。でた〜、一階が市場で上が住居という定番コース。下が市場で賑わってて、上の階には市場の人や関連業者の人なんかが住んでてさらに賑わうあの感じ。最近このパターンの建物だいぶ減ってるけど、まだあったのか〜

コッソリ上の階に行ってみると、案の定、住居スペース。こんな棟が何列か並んでる。そして写真右下のトタン屋根は市場の屋根。否が応でも住民同士が顔を合わさざるを得ない構造。これ、昔は相当賑わってたに違いない!!! っていうか、自分が育った江東区の団地もこんな感じだったな〜。毎日のように見知らぬジジイとかババアにぶん殴られたり、時々仕返ししたりして、楽しかった〜
この岡ビルのサイトには過去の沿革も紹介されてたけど、やはり楽しそうだ〜

改めて思うけど、経済が頭打ちになって、さらに人とのコミュニケーションが希薄になりすぎて謎のストレス社会になってヤバいことになってる今の日本社会にこそ、こういう職住一体型の場所って大事なんだよね〜。最近も職住一体型とかなんとか言い出してるの聞くけど、オフィス棟とタワマンが一体型になったようなストレス社会の権化みたいなのばっかりで、バカじゃねーかといつも思う。そうじゃねえんだよ、そうじゃ。テメエの職住一体させてどうすんだよ、みんなの職住を一体するのが大事なんじゃねえか、べらんめえ、ちきしょう、このやろう。

で、なんと! ここの一階に貼り出されている掲示を見ると、なんとここも再開発計画で、近々取り壊されるようなことが書いてある! バカー、なんてことするんだ〜! 事情は知らないが、こういう場所の復活から、これからの未来につながることは明らか。もしこれを変なありがちなきれいな商業施設にしちゃうんだったら、日本社会の発展はまた遅れることになってしまう。いや〜、残して欲しいな〜、岡ビル。
他の場所でも、よく老朽化とかの理由でやむなく壊すみたいなことよくあるけど、それだったら全く同じ設計で新築の同じもの建てて欲しい。

あれ、だいぶ話がずれた。『世界マヌケ反乱の手引書』(文庫版)の巡業で岡山に来たんだった。岡ビルが良すぎて忘れてた!

今回は、“名前は人斬り見た目は囮”でおなじみの川上幸之介氏がひと肌脱いでくれて企画してくれた(川上氏の人となりについてはこちらを参照)。ありがたい〜
今回は、同じく今年に新著『だめ連の資本主義よりたのしく生きる』を出版した、だめ連の神長恒一氏もわざわざ東京から合流してトーク! そして、『くらしのアナキズム』などの著書がある松村圭一郎氏が豪華すぎる司会を務めてくれるとのこと。これは大変だ〜

これは一大事だと、愛媛中島でもらった大量のみかんを来場者にプレゼント。どうだ、まいったか!
今日は囮モードの川上さんは写真中央で、右が松村さん。

とんでもないトークスタート。トーク内容は例によってほとんど放送禁止なので書けない。放送禁止級の内容じゃなかったとしても、ネット上で説明しても伝わらないか勝手にわかったつもりになってしまうかで、あまり報われないことが多いのが難しいところ。ライブとか演劇内容を記事で読んでもわけわからないのと同じ。なのでイベント内容は割愛(笑)。かいつまんで言えば、どうやって勝手に生きていくのがいいかって話。

会場は、6月にもイベントをやらせてもらった倉敷のKAGというスペース。ここの一階は市場ではなくカフェバー。ハンバーガーがおいしい。

倉敷での打ち上げは例によって近所の中華料理屋にて。写真右が暮らしのアナーキスト松村さん。“アナキズム”という言葉が好きではないので、『くらしのアナキズム』も恐る恐る読んでみたら、すごく面白かった。左派業界に蔓延する、清貧を愛するような風潮ってすごく苦手なんだけど、本の中では、訳のわからない謎の親玉とか商売しまくりの活気とかたくさん紹介されててメチャクチャよかった。

で、打ち上げも宴もたけなわになってきた頃、まさかの伏兵が出現。そう、上の写真の左端で見切れている男。顔を合わせるやいなや「おい、マガジン9の老人決死隊読んだよ! 俺も同い年だよ!! そうだよ、もう勝手にやるしかねえよ!」と、いきなりものすごいテンションで言ってくる。まさかこんなところに老人決死隊の伏兵がいるとは!! そう、これは“人生100年時代”に対抗して、“50以上は老人、70以上は超人と定義し、50超えたら真面目に生きるべきではない”とする新説。この新説、若者にも老人にもイマイチ反応は薄く、40代後半〜50過ぎぐらいの世代のみにものすごく刺さっており、各地をウロついていると、たまにものすごいテンションの新老人に出くわす。よ〜し、団塊世代が最後の戦いをせずに耄碌して行っているのを見てきた我々の世代としては、こっちはそうは問屋が卸さねえぞ〜
ということで、「いうこと聞かないクソ老人になろう」と誓い合い、固く握手。
そんな感じで、岡山作戦終了〜

【四国奇人伝 No.68】高松のねずみ男・藤井佳之  中四国巡業④

愛媛から香川へ。そしてやって来たのは妖怪が集う魔窟の都・高松に到着。高松にはいいお店やちゃんとしたお店がたくさんあり、他の都市とも引けを取らない街なんだけど、「なタ書」という強烈な店のインパクトが強すぎて、高松=邪悪な妖怪都市の印象がどうしても払拭できない。そんな“なタ書”の店主が藤井佳之氏だ。
今回は、彼の一日を追ってみたい。

はるばるやって来ました、これがそのなタ書。古い建物の2階の店舗で、なかなかの異彩を放っているかに見えて、よく見たら周りも結構ボロい建物が並んでるので意外と溶け込んでいる。高松市の市街地の真ん中にあって、いつでもフラッと立ち寄れる便利な立地なんだけど、まさかの完全予約制の書店なのでそう易々とは立ち寄れない。そう、わざわざアポ取って店主とマンツーマンの状態で本を探す緊張感を味わえる前代未聞のシステムの店だ。
そしてこの建物の2階に巣食うのが、高松のねずみ男と恐れられる藤井氏。いつ何をしでかすかわからないとんでもないイカサマ師で、高松はおろか四国中の大バカシーンから常に遠巻きに固唾を飲んで見つめられている。
言ってることが本当なのか、大ハッタリなのか、あるいは突如何をし始めるのか、掴みどころがないため周囲の人の評価も大きく違い、「やつはメチャクチャだ! ふざけてる!」と憤慨する人から「あの人は全て計算し尽くしている天才だ!」という人まで、雲泥の差。どっちにしろ、ただ者ではないことは確かだ。

掴みどころがないやつとなれば、ひとまず懲らしめるしかない。
ということで、この日は、普段高円寺から放送している「素人の乱・残党ラジオ」をなタ書から放送するという特別企画で、この日は自分以外にもラジオチームの松本ルキツラ、池田佳穂の2名も参加して奇襲放送を行うという予定。コロナ禍の中では電話出演してもらったこともあるので、今回はその意趣返しだ。さあ、妖怪藤井佳之はどう出るのか!?

というわけで、なタ書に殴り込みをかけて突如ラジオ放送を開始! 事前に襲撃予告をしていたので、高松からも多くの群衆が押し寄せていて、早くも大混乱に!

奥のレジでとぼけた顔で座るのが妖怪藤井氏。
ラジオ序盤は、高円寺話やら藤井さんの身の上話など多岐に渡りつつも、意外にも穏便な進行で平和に進む。おかしい、妖怪藤井が穏やかにカルチャーの話とかしてる。これは何かある!!
90分番組の放送は、音楽をかけたりしつつ平穏なまま終盤に差し掛かった。

そして、番組終了30分前、どこでスイッチが入ったのか突如戦闘モードに入る妖怪! いきなり東京にケンカを売り始めたり、「なタ書より素晴らしい店があるなら教えろ!」などと挑発し始めたり、テンヤワンヤに。えっ、今かよ!
上の写真を見よ、明らかに違う態度で、かかって来いコノヤローモードに! そして、よく見たら直近で読んだ本は上方落語の本と思われる机。これはタチが悪そうだ!!
“襲撃事件”という番組タイトルで分かると思うが、言ってみればプロレスみたいなもんで、「コノヤロー」と乱闘寸前の状態から最後は適度なところで収まるのが暗黙の了解。それをあえて逆の進行でやって来てくるあたり、やはりさすがはねずみ男、一筋縄では行かない!! 天然なのか? 確信犯なのか?

ま、そんな混乱の中ラジオも終了。ラジオは後からでもstand.fmで聴けるので興味ある人は聴いてみてほしい。さて、その後はいつものパターンで、藤井さんの高松町案内コーナーの始まり! そう、藤井さんはいつもお客さんが来ると市内の面白いスポットなどを案内してくれるのだ。
さっさと後片付けをして、早く街に出ようという藤井さん。さあ、今日はどんな高松DIYシーンを見せてくれるのか!? くわばらくわばら。
荒れ果てたなタ書を後にして、我々を従えて颯爽と風を切って街を闊歩し始める藤井さん。
おーい、早いよ藤井さん、待ってくれ〜

…と思えば、早速街でヒマを持て余すギャルに声をかける。早い!! しかも、第一声でいきなり「おい、君たち。あの有名な松本哉さん本人がいるんだよ、ここに」とか言い出す。おい、知る訳ないだろ〜! ただ、ハッタリ妖怪の藤井氏のすごいところが、ものすごい堂々と言い出すので、ギャルたちも本当の有名人かと思い「誰? 誰?」と食いついてくる。藤井さんすかさず、すぐにスマホで俺の本を検索して見せて「この本、読んだことないの!?」とか大ハッタリを連発! ちきしょ〜、俺をダシにしやがって〜(笑) でも藤井さんの話術は面白いから、意外と話し込んでて、「我々はこれから飲みに行くけど、どうですかキミたちも」なんて誘ってる。
まったく、そんなハッタリで声かけたって相手にされる訳ないじゃねーか。

と、思いきや結局、飲もう飲もう、ということになり、藤井さん行きつけの居酒屋に。高松どうなってんだ!
カウンターカルチャー巡りどころか、いったいなんの飲み会に巻き込まれたかと思いつつも、まあそれはそれで面白いかと藤井さんの演説をはた目に聞きながら飲み始めると、「今日はこの松本哉先生のおごりだから遠慮なく飲んで」とかギャルたちに言い出す藤井さん。で、「えっ、いいんですか!?」と喜ぶギャルたち。コラー、なに言ってんだ〜! とは言って、巻き込まれた若い子らに金払わせる訳にもいかないので、まあまあなんとかなるでしょ、とか適当に言ってごまかす。するとすかさず、藤井氏がコップを持って「松本さん、いただきます!」と頭を下げる。うまい! 絶妙のタイミングだ! …って、感心してる場合か〜! はいはい、わかったわかった、金のこと考えたって酒が不味くなるから、こりゃもう腹括った。払えばいいんでしょ、払えば。おーい、大将、ビール3本持って来て〜!

その後、しばらくどうでもいい話で盛り上がりつつ適当に飲み、その女の子たちも次の約束があるとのことで、まんまと「松本さんごちそうさまでした」と挨拶して帰っていき、じゃあ残った人でもう少し飲もうか〜、となった、その30秒後、その時、歴史は動いた。藤井さんも「じゃ、僕もそろそろ。松本さんごちそうさまでした」と丁寧に挨拶して、なタ書の常連客や高円寺組などをほったらかして素早く出口に向かう。「えっ、藤井さん帰るの!?」と、みんなが引き止めるも、一度も立ち止まることなく「それじゃあ!」と、ビタ一文置かずに見たことない速さで帰っていった。あのヤロー、やっぱり完全にねずみ男じゃねーか! 大将、ビール5本持って来て〜!

すると大将、こちらへ来て、どっかと腰を落ち着けて飲み始める。もう閉店時間ってことで、店員さんたちは、もう呆れて先に帰っちゃう。これは長期戦の予感!
そこで大将、開口一番「いや〜、藤井さんはすごい人だよ。あんな天才はいないよ、本当に。高松の文化は全部あの人が作ってるよ、ホント。最初はどこの乞食かと思ってたけど(原文ママ)」と、ベタ褒め。なんかこれ、全員グルなんじゃないか? そういえば昔、二十歳ぐらいの時、ロシアでシベリア鉄道乗ってたら、こういう感じで次から次へいろんな役割の人が出てきて、まんまとモノ盗られたな〜。なんて思い出したけど、ここは高松。そんなはずはない。ただ単に強力な人材の宝庫に違いない! 手強い!
そして大将、ひとしきり藤井さん高評価話を語り尽くし、こっちも「なるほど、いろんな人を見てきてる居酒屋の大将がいうぐらいなんだから、こりゃ本当に傑物なのかもしれないな〜」という気になってくる。さらに大将、饒舌になってきて、いろんな思ってることを話し始めるが、酔っ払ってるのか何なのか「人間は宇宙人が作ったに違いない!」などという話になってくる。しまった、理解を超えてきた! 完全に不得手な方面への話題になってきてたじろぐ高円寺チームだが、そこへ登場したのが、なタ書の常連客の大学生の藤本さんだ。誰もが口を挟めないような大将の絶好調の話題に、時折り「でもそれって、⚪︎⚪︎のことですよねえ」とか、鋭いツッコミを入れ大将を怯ませたりしつつ互角に渡り合う。これはすごい! ま、ともあれ、酔っ払いのカオスなトークのまま宴は続き、適当なところでお開き。会計は当然全部俺。いや〜、壮絶だったけど楽しかった〜

で、翌日、藤井さんに会うと、「松本さん、昨日本当に全部払ったんですか!? ええっ? いや〜、さすが太っ腹だな〜」などと、相変わらず本心が読めない話術。そして、「昨日はあのあと大将も絶好調ですごかったですよ〜。話、時々わけわからなかったけど、仲良くなりましたよ〜」と言うと、藤井さん「えっ、そんなに長居したんですか? 俺、大将と飲んで話したことないですよ」だって。コラー、お前常連じゃないのか〜!!! うっかり話し込んじゃったじゃないか〜! っていうか、それも本当かウソか分からなくなってきた!!
やはり高松、手強すぎる!!!

と、怯んでいると、「街を案内するからついて来い」と、勝手にテクテク歩き始め、朝からまた街を案内し始める。嫌な予感しかしない。妖怪藤井に勝てる気がしないので、諦めてついていくと、藤井さん時折振り返って「『マヌケ反乱の手引書』に載ってそうな高松のオルタナティブスペースとか案内すると思ってるでしょ。そうじゃないとんでもない場所に連れていきますから。すごいものを見せますよ」と、ニヤリと不敵な笑みを浮かべ、またテクテク歩き始める。やはり嫌な予感しかない。

そのままこちらを振り返りもせず、迷うことなく雑居ビルの2階に吸い込まれるように上がっていく。同行しているルキツラは「人を殺しにいくみたいだ」と恐れおののく。

どこかの事務所に入るや否や、そこの事務員の人に「今日は、あの有名な松本哉さんをお連れしたので、お茶か何かを」などと、またどこかで聞いたことあるようなことを言い始める。あまりにも堂々とした藤井さんの態度にスタッフの人も急いでお茶とお茶菓子を持ってくる。読めない! 藤井さんとこの謎の事務所の関係性がわからないだけに、これは難しい! どうやらアート関係のNPO事務所らしく、なぜか我々がその事業内容などの話を聞く間、藤井氏はお茶とお茶菓子でゆっくりくつろぐ。その自然体、完全に座敷わらしクラス。
で、頃合いを見て「じゃ、そろそろ行きましょうか」と藤井さん。これ、本当に案内したかったところなのか? 藤井さんが休憩したかっただけなんじゃないだろうな。こっちの名前をダシにしてるだけに、ウロウロすればするほど自分の評判を落とすことになるんじゃないかと不安がよぎる。

次に、ゲストハウスの前を通りかかった時、これまた迷いなくスッと入る。1階にコワーキングスペースがあるところで、高円寺のマヌケゲストハウスとは違って、きれいなところだ。
「こちらが、あの松本哉さんで、ゲストハウスもやってる世界的に著名な方です」と藤井さん。出た〜!! わかったわかった、もうそれでいいよ。一応知り合いのところらしいけど、その真相は闇のまた闇。対応してくれたスタッフはまだ新人の人。藤井氏の話を聞いたそのスタッフの人からしたら、高松の最重要人物の藤井という人が世界的に著名な松本という人を連れてきたので、これは大変だと、「本来コワーキングスペースの使用は有料なんですけど、ひとまずどうぞどうぞ」とコーヒーを出してくれる。終始恐縮する高円寺組。
そして、高円寺組がそのゲストハウスの話などを聞いてる間に、「ちょっとWi-Fi借りていいですか?」と藤井さん。おい、それが目的か!
で、頃合いを見て「じゃ、ぼちぼちおいとましましょうか」と、次へ向かう。いやー、これ、俺もう二度と高松に来られなくなるんじゃないかな〜

そのあとはレコード屋さんを案内してくれたり(ここ、すごくいいレコード屋だった!)、また適当に散歩をする。

ちなみにこれが居酒屋の大将いわく「いっつも変な袋持ってウロウロしてて○○(原文ママ)にしか見えないんだよ〜」っていう藤井さんの袋。この中身を見た者は死ぬと言われている。

この藤井氏、各所で口から出まかせでツケ入ってるようにも聞こえるかもしれないけど、あながちそうでもない。確かに顔はすごく広いし、高松のみならず各地のアートやら書店やら、行政も関わる大きなイベントなどにも絡んでたりと、ただのイカサマ師ではない側面もたくさん備えている。さらに、なんだかんだと面倒見がいい面もあり、初対面の人にもよくしてあげたりすることも多々ある。例えば例のギャルに声かけた時も、変な下心あるナンパみたいな感じじゃなく、普通に話聞いたり高松のこと教えたりうどんを食べさせてあげたり(他人の金で)してたし。
とは言え、突如本当だかウソだか分からないやたらでかい話が始まったりもするし、全員がケムに巻かれる感じ。

そして最後の最後、「じゃあご飯を食べに行きましょう」と、渋い定食屋に連れて行ってくれる。ここのおかみさんがものすごく無愛想な人で、怒らせたら怖そうなタイプ。ここで例の「このお方が有名な…」作戦が始まったら「あんたなんか知らないよ!」とケンカになるに違いない。今度はどんな手を使ってくるのか、頼むから発動してくれるなとビクビクしていると、最後に藤井さん「ここは、私が」と、珍しく紳士な態度でみんなにおごってくれる。なんと! この酷い目に合わせたり合わされたり、いろんなものを巻き込んだりしつつ、最後は帳尻合わせてプラマイゼロに持っていくこの技術!!!
藤井さんさすがだなあ〜、と感心しつつ別れを告げ、ラジオのお礼などもして再会を誓って、藤井さんの後ろ姿を見送る高円寺組。
ただ、よくよく考えたら、あのおかみさんが怖そうだから怖気付いただけのような気もしてくる。

全てを計算した凄腕の人物なのか? まぐれで何もかもが上手くいく天才なのか? はたまたとんだ食わせ者の妖怪なのか?
全ては闇のまた闇。

諸君も、この謎に迫るためにも高松のなタ書に遊びに行ってみよう!