来たる6月19日、ついに杉並区長選挙を迎えるにあたり、西荻の再開発反対運動の謎の頭目、BAR三人灯店主の水越強氏が出馬の決意を固め、昨日、立候補の届を出しに行く運びとなった。
さて、その前に再開発問題。高円寺でも駅北口の商店街を壊して大通りを通すというバカげた再開発計画がいまだにしぶとく残っていて、裏で根回し状態っていうことで、近年改めて反対の声が大きくなっている。そして、杉並区内一帯を見回してみると、どこもかしこも大通り計画が急に進行し始めていた。こういう、これまで街の人々が作り上げてきた街並みを大きな力で一変してしまうような再開発なんてとんでもねえ! ってことで、先月の高円寺に再開発は要らないパレードでも、各地の人々と連携してやってきた。再開発問題って、各都市の別個の問題じゃなくて、日本中・世界中のジェントリフィケーション(こぎれいで金の匂いしかしない街に一変すること)の一環だからねー。
さあ、そこで区長選。再開発ふざけんなの立場からしたら、区長選は結構重要な選挙ではある。ま、誰が当選するのか知らないけど「立候補してるお前ら再開発問題、甘くみるなよ〜!」というスタンスで文句を言いまくってきたわけだが、区長選挙が近づくと、それに対して各所から意外な反応が!
まず現職の田中区長。田中氏何を勘違いしたのか「この運動は選挙のためにどこかの政治勢力が仕組んだ陰謀だ」というような完全にトンチンカンなことを言い始めた。要は選挙のことばかりが頭にあるのか、謎の政争と勘違いした模様。政党間の政争なんか知ったこっちゃねーよ。それに、もし再開発に何か言い訳があるなら丁寧に説明すればいいし、やるならやるでその意義を堂々と述べればいいのに、この態度。あのヤロー、完全にバカにしてるのか、本人が完全にバカなのか二つに一つだ。とりあえず再開発問題をまじめに取り合う気はゼロ。まったく、ふざけた区長だ。
そして、一騎討ちの対抗馬である岸本さとこ陣営。こちらは街の再開発には懐疑的な姿勢なので、味方かと思いきや、まさかの「明確に再開発反対の立場を取るのは難しい」とのこと。さすがに高円寺の再開発には反対のようだけど、区内の他地域に関しては、再開発にある程度容認の人たちとも一緒にやっていってるからということで、「いったん止まって考えよう」というスタンス。でも実はこれ、田中良の初期のスタンスと似てて、「いったん立ち止まって考えてたはずなのに、気付いたら徐々に進行してるじゃねーか」っていう現状にみんな怒ってる訳で、このスタンスではどうも安心ができないし、「反対」や「中止」と明確な表明ができないのは痛い。
ま、ただ少しだけ救いなのは、昨日高円寺駅前で行われたイベント「高円寺senkyo大街宣」では、岸本氏を応援してる政治家たちが軒並み再開発反対、再開発を止める、と言いまくってたこと。おお、これはいいね!! いやー、惜しいねー、…っていうか誰だー、再開発容認してるやつは〜!
ということで両陣営ともに、現時点では再開発問題は主要な争点や公約からは外れてしまい、明確な再開発反対の票の行き場がなくなってしまった。なるほど、こうやって再開発って進んでいくのかと思うと、コノヤロー、と言うよりない。
さあ、そこで弱りに弱ったのが三人灯・水越氏。彼は元々、選挙ばかりに重きを置く政治には批判的で、政治を人任せにするんじゃなくて結局のところみんなが自分達で社会を作っていかなきゃダメでしょ、っていう立ち位置。でも、実際に目の前で始まりかけている西荻の再開発を止めるには区長を変えるしかないってことで、3〜4年前に西荻再開発計画(北口道路拡張など)が始まった時から、苦虫を噛み潰したような顔で選挙について訴え始める。「再開発を止めるためにみんな選挙行け〜!」っていう活動をやり始め、今年になってからは高円寺などとも連携をしていろいろやってきた。
だが、いざ選挙が迫ると、政界では謎の勘違いやら大人の諸事情やらで再開発問題が宙に浮いてしまう。
そこで水越氏。「これまでずっと『再開発を止めるために区長選行け』って言っていろいろやってきたのに、これじゃ格好がつかねえじゃねーか〜。それだったら責任とって俺が出て、少なくとも自分が声かけてきた再開発反対のやつらの受け皿ぐらいは作ってやらないといけないじゃねえか」と決断。おお、なんだかすごい責任感!!!
実はこれが迷いに迷って考え続けた一昨日の深夜のこと。
そして、立候補受付の最終日の昨日。決意を固めた水越は早朝から動き出し、吹きすさぶ北風に向かってロングコートをはためかせ、ひとり選挙管理委員会に向かった。路上の地蔵に必勝の願をかけ、巨大な選挙ダルマに目を入れて善福寺川に流し火薬で爆破、そして辞世の句を詠んでポストに投函し、どこにあるかもわからない選管を目指してあてもなく向かった。
そして昨日午後、いよいよ選挙管理委員会に到着。選挙の「せ」の字も知らない水越は、ひとまず選管に殴り込んで「おれ、選挙出ます!」と高らかに宣言!!!!!!!!! おお、我らの水越、ついにやった! 再開発粉砕の狼煙は上がった!!!!!
ところが! そこで事態は急変。そう、「書類不備」。どうやら、山梨の本籍地まで戸籍謄本を取りにいかなきゃいけないってことで、どう考えても間に合わないことが判明したとのこと… アホすぎる!! それ、受験票忘れてくる受験生と同じレベルじゃねーか〜!! 何やってんだオマエ〜!!笑
うーん、惜しかった。義のために立つその気概はすごい。しかし、マヌケ過ぎた! ということで楽勝で出馬断念。
さあ、そうなってくると杉並区長選、現職の田中良と野党側が押す岸本さとこの一騎討ち状態に。
再開発反対の大きな声を上げ、その我々が投げたボールを受け取ってくれる候補者の登場を待っていたが、残念ながらそれは登場しなかった。そしてヤケクソの水越作戦も気概だけは見せたものの自滅。しかし、前回の再開発要らないパレードもそうだけど、選挙に関しては、どこかの候補者を応援する形ではなく、パレードやデモを通して、与野党問わず「再開発なんてやったらタダじゃおかねーからな〜」と、全候補者をビビらせるっていうのが目的。なので、「再開発、絶対ぶっ潰します!」っていう候補者がいないならいないで、それはしょうがない。
再開発問題含む政策や個人の資質など、現職の田中良氏よりははるかにマシな岸本氏に一票を投じるもよし。あるいは、「いやしかし、明確な再開発反対候補に出て欲しかった」っていう人は、ヤケクソの無効票「水越強」と書くもよし。
そして、最後に区長選に当たって各候補者に告ぐ。投票日まであと1週間。杉並区内の再開発問題に関して、態度を変えるのは今からでも遅くはない。田中区長も、道路拡張・再開発を全面撤回すれば評価はかなり上がるはずだし、岸本陣営も、今からでも再開発の「反対・中止」を公約に掲げれば、再開発反対の票はほぼ100%流れるんじゃないだろうか。
ま、選挙の話はこれぐらいにしとこう。政治は人任せにするのではなく自分たちでやるもの。誰が区長になっても「再開発は要らねー!」とは言いまくるのが大事だしね〜