北京作戦③ 四次元空間へ!

さて北京2日目。初日にいきなり高円寺級に飲んでしまい、ものすごい二日酔い。百草丸でなんとかするものの、だるいには違いない。北京は友達が死ぬほどいるから序盤でこれは飛ばしすぎなんじゃないか〜!?
しかし、うかつにもこの日は正午に約束をしてしまった。寝られねえ〜

去年の春、横浜トリエンナーレという謎の芸術イベントに参加したんだけど、その時の芸術監督を務めてたのが盧迎華(ルーインホア)&劉鼎(リュウディン)のコンビ。その二人が北京で美術館をやってるというので、せっかくなので遊びに行ってみることに。

ってことで、早起きして空を見ると青い!!! 北京の空が青い! どうなってんだ!
コロナ前よく北京に行ってた頃、例のPM2.5とかで大気汚染がやばすぎて快晴でも空気が濁ってっ曇りみたいな空だったんだけど、この青さ! なんだこりゃ〜!!!
確かに、今や街の車もバイクもほとんどが電気自動車だし、空気はきれいだ。いや、空気がきれいになったのはいいことなんだけど、この短期間でこれはよほど激変するとは、よほどの強権を発動しないとできない力技。大したもんだと思う気もするし、若干怖い気もするな〜
そういえば子供のころ、隅田川はゴミだらけで死ぬほど汚くてドブとヘドロの臭いがすごかったけど、あれきれいになるのに一体どれだけ時間かかったんだろ。うーん、北京恐るべし。

見よ! これが北京郊外の空! こんな澄み切った空なんて北京じゃねえ〜
ちなみにここは東京で言えば西八王子ぐらいのところ。なんでこんなところまで来たかというと、その美術館がその辺にあるとのこと。芸術方面は全く疎いので、その盧&劉がどんな感じのスペースを持ってるのとか全く知らなくて、とりあえず住所聞いて来た感じ。
ま、美術館やってるとは言ってたけど、美術館ってでかい石造りみたいな建物のあんな感じのイメージだよね? まさか、そんなわけないでしょ。それに「美術館やってる」なんて聞いたことないし。ま、アートスペースとか街のギャラリーみたいな感じじゃないかな。いや、でも気持ちはわかる。世の中なんでも大風呂敷広げてでかいこと言うのは常套手段だし、そうこなくっちゃ!! 世の中何事もハッタリだよ、ハッタリ。いや、景気よくなってきたね〜

ま、こんな感じじゃないかな? 西八王子の自称美術館↓
いいね、やっぱDIYでしょ! よーし、手貸しちゃうぞ!?

(↑イメージ図)

なんて想像しつつ歩いてると、やたら広大な建物ばかりあってなかなか着かない。甲州街道みたいなでかい道を延々と歩く。なんだなんだ、高尾に着いちまうんじゃねえのか? 俺は高尾山なんか登らねえぞ。
さては美術館のヤロー、小さすぎて通り越したな? そういえば名前は「中間美術館」だって。出ました、また適当な名前。こりゃ間違いなく、家と家の間の隙間にトタン屋根でも作って大美術館名乗ろうって魂胆だな。こりゃいいや!
どこだ〜! 美術館出てこーい!!

着きました!
ギャー、でかい! 本当の美術館だった! 庶民が大口叩いてすいませんでした!!
中間ってのもあばら屋とあばら屋の隙間のトタン屋根のことじゃなくて、普通に地名だった。これじゃ本物の美術館じゃねえか! も、もしかして、アンタたち、大物だったのか!?

ぐぬぬ〜、入口はこれ。玄関だけで自分のアパートの20倍はある。野郎ども、ずらかるぞ!

とはいえ逃げるわけにはいかず、おそるおそる抜き足差し足入ってみると、出ました〜! 大御所=盧&劉コンビ! 中央は高円寺の貧乏なゴミ拾い屋さん
ここでも、顔を合わすやいなや「この日中関係ヤバいタイミングで来るって、オマエ最高すぎだろ!笑 分かってるな〜」と笑われる。やっぱ、このタイミングで来たの良かったんだ! たまたまなんだけど。

さっそく、美術館の職員さんたちが寄ってたかって館内の展示を案内してくれる。しまった、昨日飲みすぎて二日酔いがひどい。よっしゃ、こうなったらイチかバチかだ。芸術を見るぞ〜!!

これすごい。二日酔いで頭がグラングランの状態で謎の現代芸術を見ると、「なんなんだ、これは!」の驚きの連続で、完全にUFOにさらわれたお百姓さん状態。四次元世界にしか見えない! これは面白い!!
現代芸術って、要は一筋縄では行かない一発芸みたいなもんでしょ? だったらこっちも一筋縄では行かない頭で観るのが一番いい。どうだ、勝負だ芸術家! こっちは二日酔いだ!

ってことで、くまなくUFO内部を案内してもらったあと、職員の皆さん交えて記念撮影。そこで、思いつきでどんどん進める盧&劉が「来年になったらここでお前のトークのイベントでもやろう!」と言い出して、なんかそう言うことになる。いいね〜。また来るぞー

そして北京中心部に帰ってくると、待ち受けていたのがこちら、通称飛び出しナイフくん。彼が弾簧刀楽隊って名前のバンドやってた時に知り合った。弾簧刀って飛び出しナイフのこと。中国語の語感としてはすごくイカついネーミングなんだけど、日本語にすると飛び出しナイフバンドという、どうにもこうにもマヌケな語感が漂ってしまい、ついでに名前になってしまった。
全てに反抗する姿勢を示すため、拳にはFUCKとPUNKという、目を疑うようなストレートな表現の刺青を入れ、近寄る者全てを破壊する意思を明確にしている飛び出しナイフくん。仕事は村の郵便局。
そんな飛び出しくん、実は10年来の友達。北京のFLYXというバンドのメンバーとして台湾のイベントに出た時、たまたま自分も遊びに行ってて仲良くなったのがキッカケ。実は去年には高円寺にも遊びに来てるし、こういう無闇に国境を跨いで遊び歩いてる人は重要だ〜

そして続いて登場したのが王丹青。彼は以前だいぶ長く台湾にいたので台北の音楽シーンと北京のシーンの繋ぎ役としてもだいぶ活躍したやつ。台北でばかり会ってたので北京で会うと新鮮。「あっ、中国人だったんだ!」と初めて実感。
で、こいつがまたマヌケなやつで、2016年に東京でNO LIMIT東京自治区っていうイベントやった時などは高円寺で「うお〜、なんか安い酒見つけた」とか言ってストロングゼロを飲みまくり、一瞬でヘベレケになって記憶飛んで、目が覚めたら指の骨折って曲がってて、「東京こええ!」と台湾に逃げ帰ったという、どうでもいい武勇伝を持っている。

ま、そんなことでこの日もまたいろいろ北京の旧友と親交を深めていると、「明日、重要なイベントあるよ〜」という情報が耳に入る。聞けば、盲区の向かいにある昨日も行った甭管BARが近くに新しくパンクのライブハウスをオープンするという。このご時世にパンクの新しい場所ができるって、さすが北京。上海じゃありえない。で、そのオープニングのイベントだって。ひゃー、楽しそう。ただ、翌日の夜にはまた青島に戻る予定なので、ギリギリ行けない。悔しい〜
当然、北京の大バカたちからは「チケットキャンセルするしかない! もっと北京で遊ぼう」「青島行っても何もねえよ。北京でしょ、ここは」などと押しが強い。くそー、俺がいつも高円寺で言ってることをそのまま返されてる。まずい、劣勢だ! しかも、ここで冷酷に誘いを振り切って北京を去っては、次にやつらが東京に遊びに来た時に、どのツラ下げて「チケットキャンセルしろ」というセリフを吐けるのか!? しかも初対面のやつらからも「いや〜、そんな短期間じゃ北京のこと何もわからないよ〜。明日も飲もうよー」と挑発まで。…ち、ちきしょ〜、ええい、ヤケクソだ、チケットキャンセルだ!!!! ということで、チケットをゴミ箱に捨ててもう少し北京に残留することに。またやっちまった〜!! 何回目なんだ、このパターン!

その週末イベントはこちら。なんと3日間全部入場無料。景気いい! これは賑やかになりそう。

甭管のマスター。「飲むよ〜」と写真。
いよいよ東京に帰れる気がしなくなってきた。