北京作戦④ 北京残留!

さて、中国人民の圧力に屈してまんまとチケットをキャンセルして北京残留。「帰るのやめた」とみんなに連絡したら「よっしゃー、じゃあ今夜も飲みますかー」という返事が続々とくる。あぶねー、昼は寝といて百草丸飲んでから出かけよ。

というわけで夜。さっそく、いよいよオープンする待望の新スペース甭管LIVE(2号店)へ。立地は五道営というエリアで、地下鉄「安定門」駅の近く。連日ウロついてる鼓樓東大街あたりからも歩いて15分ぐらいなので一応徒歩圏内のあたり。JR高円寺と地下鉄の新高円寺ぐらいな距離感。この辺も昔から個人店の変わったバーとか若い人が始めた雑貨屋さんとか並んでて、お茶の水や水道橋的な感じで面白いところだったけど、最近やたらオシャレな店が増え始めて、表参道化が進んでる。いや〜、家賃高騰してんじゃないかな〜

入口はこんな感じ。
開店祝いの花はやはり赤。日本では白い胡蝶蘭を贈ったりするけど、そんなことしたら「縁起でもねえ!」と怒られるので注意。白いものは、こっちでは誰かが死んだみたいに思われるので厳禁だ。正月に白いお年玉袋でガキに渡そうもんなら泣き出氏たりして、オヤジが出てきて「なんのつもりだ!」と殴られるのでこれも注意。

店内。入ってすぐのところはバーカウンターになってるので、飲みに行くだけでもOK。

奥の方に行くとライブできるホールがある。意外と広い!

さっそくライブ始まる。今日はみんな北京のバンドで、パンクとハードコア。特に最初のバンド、すごい爆音だった。
そういえば、中国ってライブ始まるの普通に22:00スタートとか、早くても21時スタート。昔、なんでそんな遅くに始まるかって聞いてみたところ、「だって仕事終わってすぐイベント始まったらメシいつ食うんだよ。仕事終わってみんなで集まってゆっくりご飯食べて、それが終わったタイミングにしないと誰も来ないよ。どんなにいいライブやってもみんなメシ食いに行っちゃうからね」だって。なるほど〜、それは理にかなってる! 日本だったら仕事終わって大急ぎで牛丼とか食べてライブ会場に向かうなんてことも多々ある。いや〜、やっぱ食の中国、メシの時間は何より大事なんだね〜

余談だけど、上の写真のように爆音で絶好調にライブやってるそのステージ右奥の方に見える扉、何気によく見たらガラス一枚。あれ、と思ってコッソリ開けてみたら普通に外だった。うおー、防音しなくていいのか!

ちなみに、この甭管から50mぐらいの至近距離でにあるのが上の写真のSchoolという老舗ライブハウスで、北京ロックシーンでは最重要スポット。漢字表記では「学校」なので、出来損ないの中高生なんかが学校サボって遊びに行くときも、父ちゃんや母ちゃんに「学校行ってくる!」って家を出て行けば嘘ついたことにならないという、とてもいい名前! そのうち「銀行」とか「会社」とか「ホームセンター」なんて名前の不良の溜まり場できたら面白いな〜

こちらが学校内部。うわ〜、ここも6年ぶりにきたけど変わってなくて安心。

Schoolボスの劉非。彼は北京のベテランバンドのJOYSIDEのマネージャーもやってて、「来週東京行くよ! 下北沢のshelterでライブやるから遊びに来てよ!」だって。なんか世界狭い! そう、日中の地下文化の間では国境の溝ってそんなに深くないし、もうすでに取り返しがつかないぐらい(笑)いろんなところで繋がってる。国ごとに物事を考えようなんていう発想自体がすでにどうかしてるのだ。そういうよからぬ魂胆は早く諦めてもらいたいものだ。

さて、ライブも終わり、北京のやつらが「お前北京久しぶりだろ? せっかくだし、ちょっと近くの店も見ていくか?」と、案内してくれる。北京は胡同と呼ばれる、こんな感じの路地がたくさん残ってる。路地裏文化みたいなもので、ちょっとした北京名物になってる。これが迷路みたいになってるけど、北京の奴らはこの迷路を巧みに近道として使ってて案内してくれるからすごい。一人だったら絶対無理。迷う。

まず寄ったのが「原料空間」という飲み屋。
かつて北京には、飲んだくれたちが集うヤバすぎる伝説のBAR「SOSクラブ」という店があった。毎日大盛況で死ぬほど飲みまくってて、自分も飲みすぎてだいぶ酷い目にあった最高の店だったんだけど、残念ながらのちに閉店。この「原料」はその流れを汲む重要な残党たちのBAR。くわばらくわばら。

この日はもう営業終わってて、残念なようなホッとしたような気分。いや〜、やはり北京は緊張感が漂うスリル満点シティだ!

ここもステージ部分があって、イベントもできるところ。
あっ、あのでかい天狗の面、昔のSOSクラブの天井にかかってたやつだ! まだあったのか〜。っていうか、鼻がもげてる。コラー、お前らいったいどんな飲み方したんだ!! くわばらくわばら

こちらは「五金」というスペースで、先ほどの「原料」の隣にある。6年前はすぐ近くの別の場所にあったんだけど、こっちに引っ越してきたらしい。写真の右の人が、最近ここを切り盛りしてる阿科。何事にもノリが良くてやたら面白いやつで、実は去年には高円寺に遊びにきていたフットワークの軽いとんでもない姉御!
ちなみに「五金」っていうのは金物屋のこと。前の場所が金物屋跡地で始めたのでそんな名前になったみたい。新宿のクリーニング屋跡地で始めたCafe Lavanderiaみたいなもんか〜。
ここはみんなで料理するイベントだったりトーク系のイベントだったりをやところで飲食店でもあるスペース。前の場所も同じだったけど、厨房とでかいテーブルが店のメインにあるのがここの特徴で、このレイアウトなんかいいね〜

そして、この五金や原料があるエリアは、甭管やSchoolエリアと盲区があるエリアの中間点ぐらいにあるので、どこも歩いて行けて便利な場所にある。やっぱこの歩けるってのがすごくいいんだよね。お客さんも行ったり来たりするし、イベントのハシゴもできる。あっちで誰々が飲んでるっぽいからちょっと顔出して来る、なんてこともできる。歩けるのってコミュニティが広がる最大要因。これは重要だね〜

ってわけで、「じゃ、また飲み直すか〜」言い出した北京人たちに連れられてきたのが、魔窟「盲区」。近い!! 帰れねえ! 全部歩いてすぐなの危ねえ!!
どうやら甭管LIVEでのライブが終わった流れがこのエリアに来て、向かいの甭管BARと盲区で打ち上げが続いてる模様。う〜ん、この行ったり来たりする感じ、いよいよ高円寺にそっくりだ。

盲区Tシャツを手に入れた!

みんなカジュアルに飲んでるけど、これ深夜3時半。寝る気配ゼロ。

やはり日本に帰れる気がしない。

4時半ぐらいになってくると、こんな感じに死人が続出してくる。ただ、奥のステージではドラムを叩き出したりギターを弾き出したりするやつが出てきて、とにかくうるさくていい。
この後は前出の阿科の姉御が「よーし、肉まん食べにいくぞ〜」と騒ぎ始め、朝ごはん屋で肉まんとお茶で締め。台湾とかもそうだけど、朝まで飲んだ後に朝ごはん屋があるのがいいね。ま、松屋とか吉野家の朝の納豆定食とかも最高だけどね。

いや〜、北京あぶねえ〜。ということで、その後、青島に戻ることは断念して、慌てて北京発東京行きの飛行機を取り直して(日中間のイザコザのおかげで片道1万円ちょっとだった。最高すぎる)、命からがら日本へ戻ったのであった。
約1週間の中国。いや〜、有意義だった。また行かないとな〜。みなさん、今チャンスなのでどんどん中国に飲みに行ってしまおう〜

(北京作戦 終)

北京作戦③ 四次元空間へ!

さて北京2日目。初日にいきなり高円寺級に飲んでしまい、ものすごい二日酔い。百草丸でなんとかするものの、だるいには違いない。北京は友達が死ぬほどいるから序盤でこれは飛ばしすぎなんじゃないか〜!?
しかし、うかつにもこの日は正午に約束をしてしまった。寝られねえ〜

去年の春、横浜トリエンナーレという謎の芸術イベントに参加したんだけど、その時の芸術監督を務めてたのが盧迎華(ルーインホア)&劉鼎(リュウディン)のコンビ。その二人が北京で美術館をやってるというので、せっかくなので遊びに行ってみることに。

ってことで、早起きして空を見ると青い!!! 北京の空が青い! どうなってんだ!
コロナ前よく北京に行ってた頃、例のPM2.5とかで大気汚染がやばすぎて快晴でも空気が濁ってっ曇りみたいな空だったんだけど、この青さ! なんだこりゃ〜!!!
確かに、今や街の車もバイクもほとんどが電気自動車だし、空気はきれいだ。いや、空気がきれいになったのはいいことなんだけど、この短期間でこれはよほど激変するとは、よほどの強権を発動しないとできない力技。大したもんだと思う気もするし、若干怖い気もするな〜
そういえば子供のころ、隅田川はゴミだらけで死ぬほど汚くてドブとヘドロの臭いがすごかったけど、あれきれいになるのに一体どれだけ時間かかったんだろ。うーん、北京恐るべし。

見よ! これが北京郊外の空! こんな澄み切った空なんて北京じゃねえ〜
ちなみにここは東京で言えば西八王子ぐらいのところ。なんでこんなところまで来たかというと、その美術館がその辺にあるとのこと。芸術方面は全く疎いので、その盧&劉がどんな感じのスペースを持ってるのとか全く知らなくて、とりあえず住所聞いて来た感じ。
ま、美術館やってるとは言ってたけど、美術館ってでかい石造りみたいな建物のあんな感じのイメージだよね? まさか、そんなわけないでしょ。それに「美術館やってる」なんて聞いたことないし。ま、アートスペースとか街のギャラリーみたいな感じじゃないかな。いや、でも気持ちはわかる。世の中なんでも大風呂敷広げてでかいこと言うのは常套手段だし、そうこなくっちゃ!! 世の中何事もハッタリだよ、ハッタリ。いや、景気よくなってきたね〜

ま、こんな感じじゃないかな? 西八王子の自称美術館↓
いいね、やっぱDIYでしょ! よーし、手貸しちゃうぞ!?

(↑イメージ図)

なんて想像しつつ歩いてると、やたら広大な建物ばかりあってなかなか着かない。甲州街道みたいなでかい道を延々と歩く。なんだなんだ、高尾に着いちまうんじゃねえのか? 俺は高尾山なんか登らねえぞ。
さては美術館のヤロー、小さすぎて通り越したな? そういえば名前は「中間美術館」だって。出ました、また適当な名前。こりゃ間違いなく、家と家の間の隙間にトタン屋根でも作って大美術館名乗ろうって魂胆だな。こりゃいいや!
どこだ〜! 美術館出てこーい!!

着きました!
ギャー、でかい! 本当の美術館だった! 庶民が大口叩いてすいませんでした!!
中間ってのもあばら屋とあばら屋の隙間のトタン屋根のことじゃなくて、普通に地名だった。これじゃ本物の美術館じゃねえか! も、もしかして、アンタたち、大物だったのか!?

ぐぬぬ〜、入口はこれ。玄関だけで自分のアパートの20倍はある。野郎ども、ずらかるぞ!

とはいえ逃げるわけにはいかず、おそるおそる抜き足差し足入ってみると、出ました〜! 大御所=盧&劉コンビ! 中央は高円寺の貧乏なゴミ拾い屋さん
ここでも、顔を合わすやいなや「この日中関係ヤバいタイミングで来るって、オマエ最高すぎだろ!笑 分かってるな〜」と笑われる。やっぱ、このタイミングで来たの良かったんだ! たまたまなんだけど。

さっそく、美術館の職員さんたちが寄ってたかって館内の展示を案内してくれる。しまった、昨日飲みすぎて二日酔いがひどい。よっしゃ、こうなったらイチかバチかだ。芸術を見るぞ〜!!

これすごい。二日酔いで頭がグラングランの状態で謎の現代芸術を見ると、「なんなんだ、これは!」の驚きの連続で、完全にUFOにさらわれたお百姓さん状態。四次元世界にしか見えない! これは面白い!!
現代芸術って、要は一筋縄では行かない一発芸みたいなもんでしょ? だったらこっちも一筋縄では行かない頭で観るのが一番いい。どうだ、勝負だ芸術家! こっちは二日酔いだ!

ってことで、くまなくUFO内部を案内してもらったあと、職員の皆さん交えて記念撮影。そこで、思いつきでどんどん進める盧&劉が「来年になったらここでお前のトークのイベントでもやろう!」と言い出して、なんかそう言うことになる。いいね〜。また来るぞー

そして北京中心部に帰ってくると、待ち受けていたのがこちら、通称飛び出しナイフくん。彼が弾簧刀楽隊って名前のバンドやってた時に知り合った。弾簧刀って飛び出しナイフのこと。中国語の語感としてはすごくイカついネーミングなんだけど、日本語にすると飛び出しナイフバンドという、どうにもこうにもマヌケな語感が漂ってしまい、ついでに名前になってしまった。
全てに反抗する姿勢を示すため、拳にはFUCKとPUNKという、目を疑うようなストレートな表現の刺青を入れ、近寄る者全てを破壊する意思を明確にしている飛び出しナイフくん。仕事は村の郵便局。
そんな飛び出しくん、実は10年来の友達。北京のFLYXというバンドのメンバーとして台湾のイベントに出た時、たまたま自分も遊びに行ってて仲良くなったのがキッカケ。実は去年には高円寺にも遊びに来てるし、こういう無闇に国境を跨いで遊び歩いてる人は重要だ〜

そして続いて登場したのが王丹青。彼は以前だいぶ長く台湾にいたので台北の音楽シーンと北京のシーンの繋ぎ役としてもだいぶ活躍したやつ。台北でばかり会ってたので北京で会うと新鮮。「あっ、中国人だったんだ!」と初めて実感。
で、こいつがまたマヌケなやつで、2016年に東京でNO LIMIT東京自治区っていうイベントやった時などは高円寺で「うお〜、なんか安い酒見つけた」とか言ってストロングゼロを飲みまくり、一瞬でヘベレケになって記憶飛んで、目が覚めたら指の骨折って曲がってて、「東京こええ!」と台湾に逃げ帰ったという、どうでもいい武勇伝を持っている。

ま、そんなことでこの日もまたいろいろ北京の旧友と親交を深めていると、「明日、重要なイベントあるよ〜」という情報が耳に入る。聞けば、盲区の向かいにある昨日も行った甭管BARが近くに新しくパンクのライブハウスをオープンするという。このご時世にパンクの新しい場所ができるって、さすが北京。上海じゃありえない。で、そのオープニングのイベントだって。ひゃー、楽しそう。ただ、翌日の夜にはまた青島に戻る予定なので、ギリギリ行けない。悔しい〜
当然、北京の大バカたちからは「チケットキャンセルするしかない! もっと北京で遊ぼう」「青島行っても何もねえよ。北京でしょ、ここは」などと押しが強い。くそー、俺がいつも高円寺で言ってることをそのまま返されてる。まずい、劣勢だ! しかも、ここで冷酷に誘いを振り切って北京を去っては、次にやつらが東京に遊びに来た時に、どのツラ下げて「チケットキャンセルしろ」というセリフを吐けるのか!? しかも初対面のやつらからも「いや〜、そんな短期間じゃ北京のこと何もわからないよ〜。明日も飲もうよー」と挑発まで。…ち、ちきしょ〜、ええい、ヤケクソだ、チケットキャンセルだ!!!! ということで、チケットをゴミ箱に捨ててもう少し北京に残留することに。またやっちまった〜!! 何回目なんだ、このパターン!

その週末イベントはこちら。なんと3日間全部入場無料。景気いい! これは賑やかになりそう。

甭管のマスター。「飲むよ〜」と写真。
いよいよ東京に帰れる気がしなくなってきた。

北京作戦② 北京上陸

というわけでやって参りました北京。青島から高速鉄道で約3時間半。ひと昔前だったら5000円ぐらいあれば足りたんだけど、今は日本円の価値の急落によって8000円ぐらいした。チキショー
北京に到着して、とりあえず鼓楼東大街のあたりに直行。この一帯が、BARやライブハウス、カフェ、レコード屋や変わった雑貨屋などがあって最も高円寺に近い雰囲気。最近はちょっと下火はいえこのエリアはまだまだ面白いので、北京遊びに行く人はこの辺に宿を構えると色々便利なのでおすすめ。

いや〜、でもコロナ以来6年ぶりに来たけどそこまで変わってねえな〜
ちなみに中国は北京と上海の二大巨大都市があるけど、上海は資本主義全開の商業シティで遊びもファッションもビジネスも最先端のところで全然面白くない。一方の北京は首都なので政治都市。政治は商業ほど侵食力がないので、北京にはなんかポカっと変な隙間がたくさんあって、そこをうまく見つけてみんな変なスペースを開いてる。しかも首都で政治の直轄地みたいな厳しいところで飄々とやらかしてるところがなんかすごくいい。やっぱ北京いいな〜

まず真っ先に落ち合ったのは、今年の春に杭州で行われた「一席」というトークイベントの登壇者やスタッフたち。杭州で飲んだ時も「北京きたら必ず連絡しろよー」と言われてたこともあり、早速合流。
会って早々「いや〜、このタイミングで来るの面白すぎるな〜」と、みんなに笑われる。言わずもがな昨今の日中の緊張状態のこと。こっちは「いや〜、うちの政府がやらかしてすいませんね〜、あれバカなんで笑」というお決まりのネタ(挨拶)で始まり、対する向こうも「いやいや何をおっしゃる、うちの◼️◼️◼️(検閲)◼️◼️」で和む感じ。国家と民を分けて考える人たちと会話ってすごく楽でいい。みんな、わかってるね〜
で、「俺は高市嫌いだから」と言うと、「やっぱり!笑 でも日本では支持率7割とかあるんでしょ?」と、意外と詳しい。中国来てからいろんな人に「どんな人が支持してるの?」と聞かれるので、とりあえず「YouTube見過ぎの年寄りとか友達いない若者じゃない? 俺しらね、興味ない」って答えといた。

で、やってまいりました、「盲区」。これは北京のバンド界隈のやつらが作ったスペースで、基本的にはBAR。でもライブやら上映会やら各種イベントやったり、ZINE作ったり精力的に活動してる。最後に北京に来た2019年にはすでにこの界隈の人たちがイベントやったりラジオやったりいろいろやり始めてて、「もうすぐ店開くよ〜」とか言ってたんだけど、それからコロナになって来れなかったから、ようやく来れた!

店内はこんな感じ。いいねー、“あそこに行けばなんとかなる”感ある場所は世界共通っで重要。しかし北京のやつらは飲むな〜
中国南部の方とか台湾や香港とかはそこまで酒豪多くないんだけど、北京はみんなガンガン飲む。こいつらが飲むのか北京が飲むのかは不明。でも中国の東北部行ったらあそこも飲んだくれ大量にいたから、やはり寒いところの方が飲むのかもしれない。自分は酒飲みなので、みんな飲みまくる環境は実にありがたい!

ということで、日本から持って来たのが百草丸。これさえあればどんな飲み会もなんとかなるので、飲んだくれたちと対峙する時はこれは必須アイテム。みなさんも騙されたと思って飲んだ方がいい。!!

盲区店内はこんな感じ。入り口はカウンター席。一瞬、高円寺なんとかBARを彷彿とさせるが、よく見たらこっちの方がオシャレ。

一番奥には小ステージもあり、ライブもできる。いいな〜、完璧だ!

盲区メンバー。いや〜、久しぶりだ〜! 6年ぶりだけどどいつもこいつも変わってねえ。

今年、高円寺に突如現れて巷を騒がせた、今年の外来マヌケMVP候補の成蹊老師もドサクサにまぎれて登場。

さっきの盲区の斜め向かいにできたBAR。ここも音楽関係の繋がりの人たちが開いた店(甭管 SHUT UP BAR)で、盲区とは協力関係にあって合同イベント開催したりしてるって。この辺の歩いて行ける範囲になんだかんだあるのが、この鼓楼東大街界隈の底力。徒歩圏内って超重要。なんでかというと、徒歩圏内ってことはみんな歩いて移動するので道でばったり会う。これは街にとって最も重要なことなんだよね〜

と思ったら、いきなり蹴鞠を始める北京の連中。厳密にいうと鞠じゃなくてでかい羽根だけど、蹴鞠とだいたい同じルール。お前ら京のお公家様か〜!!
聞いたら「最近どいつもこいつもネット見たりSNSやったりして頭おかしくなってるから、実際に見知らぬ人が触れ合うのはこれしかない」とのこと。いや、最高すぎる!

やり始めると白熱して止まらなくなる。通行人が混じって来たりして面白いとのこと。いや〜、確かにこれはいい! でも、恥ずかしがって入って来ない日本と違って、犬の散歩の通行人とかがどんどん入ってくる中国の空気感も羨ましいなー

悠に7〜8時間飲んでても一向に倒れる気配のない北京チーム。完全に捕まった宇宙人状態の自分。
北京に来た初日にいきなりこれか〜。北京に住みたい笑

北京作戦① 青島編

さて、ことの発端はこちら。我が国のバカな首相のせいで日中間の大パニックが発生。しかも、別に中国と事を構える覚悟を決めての発言ではなくて、どうやらウッカリ口を滑らせてのことらしい。これで中国との大揉めが発生。バカじゃねーの?

で、迷惑を被るのがその辺をウロついている我々一般の民。もちろん中国内の一般の民も。そもそも日本と中国は、商売はもちろんのこと文化やら芸術やらですでにたくさん繋がってるし、各所で友達やら飲み友達やらが死ぬほどいて、民間ではもはや切っても切れない関係になってる。もちろん日中間だけじゃなく、韓国やら香港・台湾やらもそうだし、そもそも隣国ってそういうもんだ。国家だか政府だか知らないけど勝手に揉め始められても、そんなの知ったこっちゃねえし、迷惑以外の何者でもない。
というわけで、お互い不幸な政府を持ったもの同士仲良くしとこうってことで、とりあえず中国に行って中国人たちと飲みまくろうという作戦。飲めばわかる! さあ飲むぞ〜

で、早速単身中国へ向かう。まずは青島へ。
なぜ青島かっていうと、実はこの飛行機のチケット、ずいぶん前に取ったもの。その時は特に目的もなく、「たまには、しばらく行ってないところにでも行くか〜、青島でも行ってゆっくりビールでも飲んで帰ってくるか」ぐらいの適当さで買ったチケット。
ところが、出発目前になりあれよあれよと日中関係が緊張状態になってきて、中国政府が「日本への渡航自粛」なんて言い出す始末。さらには日本人アーティストなどの公演も軒並みキャンセルになり始める。おいおい、政府同士の喧嘩はそっちでやってくれよ。民間人を巻き込むのはやめてくれ〜。すぐ住民を巻き込もうとするから国って存在嫌いなんだよな〜。都道府県とか市町村程度のライトな縛りの存在になってほしいね、国。

ま、ともかくこうなった以上、我々酒飲みにできることはなにか? そう、中国に渡って飲むことしかない。国を超えた飲み会の回数が多ければ多いほど戦争からは遠のくはずだ! 間違いない〜!!
北京を目指したいが、ひとまずチケットは青島往復なので、とりあえず青島行ってから、北京のことは考えよう。

で、青島に到着して適当に宿を取ると、これが個室でやたら豪勢。一泊1700円だったんだけど、広い! キッチンもでかいし400Lクラスの大型冷蔵庫や洗濯機まであるし、100インチ以上のスクリーンとプロジェクターまであった。なんだこりゃ〜。えっ、一日1700円ってことは月で51000円? しかも水道光熱費も掃除も寝具交換もセット。安い! リモートワークの人、ここに住んだ方がいいよ。ビール安くてうまいし。いや〜、青島で夢のホテル暮らしもいいなー

で、笑ったのがこれ。ソファ前のローテーブルが超巨大なヴィトンのスーツケース。もちろんニセモノ。この堂々とインチキ全開で攻めてくる、中国のこの感じ好きなんだよな〜。しかも、もしこれが本物だったとしても下品なオーラ全開になるし、金持ちこんなことしねえし、喜ばねえだろ! いや〜、ルイヴィトン=富裕層みたいな貧乏人の発想、自分が育った江東区の貧民街に通じるところがあってなんか嬉しいな〜。江東区の近所のジジイとかもよく言ってたなー、「俺はアレだよ、ビトンだよ、ビトン。アレしか買わねえから」

ま、それはさておき、街に出る。
いや青島狂ってる。地下鉄の駅出たら目の前に巨大な円形生ビールサーバーの無人販売所。いくら青島ビールの街って言ったって景気良すぎるじゃねーか。愛媛のポンジュースが出る蛇口と全く同じ発想!
種類も豊富で、普通の生ビールの他はクラフトビールから、フルーツ系ビールカクテルまで色々あって、しかもそれが売れ行きによってなのか知らないけど、東京証券取引所みたいにビール価格が常に変動してる。完全にふざけてる!!

青島のローカルホットスポット=台東夜市。青島出身の友達に「観光地とか行きたくないから、地元の人たちがよく行く薄汚くて盛り上がってるところ教えて」って聞いたら何人かから即答で「台東夜市行け!」と言われたので行ってきた。メイン通りにはきれいな屋台がずらっと大量に並んでて壮観だったけど、実は面白いのは裏通り。裏路地とかでもドサクサに紛れて商売しまくってる屋台が大量にあって、このあたりがいい。生ビールの屋台もたくさんあった。

青島のビールに対する執念はただ事ではなく、繁華街でもなんでもないその辺のどうでもいい路地なんかにも例のビールサーバー無人販売所が24時間稼働してる。すげ〜、風呂上がりに工場直送の生ビールが自宅で飲めるのか!!

青島には友達は誰ひとりいないので、まだ見ぬ仲間を探す大バカ開拓を開始。この知人ゼロの状態からの新規開拓、これまでもよくやってきてるんだけど、難易度高いんだけど、これがまた面白い。

定番の作戦を紹介すると、まずはいろんな知り合いに青島で面白いところ知ってるかと聞きまくって情報を集めて、それを手掛かりに行ってみる。当然当たりハズレがあるし、なんか反りが合わないことだって多々ある。あとは店の前に貼ってあるポスターやステッカーを見て、知ってるバンドのライブ告知や聞いたことあるイベントのポスター、他の街の知ってる店のステッカーなんかがあったら、「ここは手掛かりがあるかも!」みたいな感じで入ってみる。また、一回行ってイマイチだったとしても何回か通えばなにかあるかもしれないオーラを感じたら試しにまた来てみたり、ともかく勘で勝負していくしかないんだけど、これ慣れてくるとだんだん勘が鋭くなってくるので、みなさんも臆せずに果敢に攻めてみてほしい。
いや〜、なんかこの下積みっぽい感じなんか好きなんだよね〜。知り合いの多い街なんかに行くと「あっ、松本さん! 案内しますよ」なんてあそこもここもって連れて行ってくれたりして、それはそれでありがたいんだけど、ゼロの状態からなんとかウロウロして「何オマエ、誰?」ぐらいの足蹴にされる感じから探っていくのがなんかワクワクするんだよね…。

そして、一ヶ所でも仲良くなったところがあればもう勝手に広がっていく。手がかりさえ掴めれば、あとは店主でも他の客でも、そこの人と話してたら「あそこも行ったら面白いよ!」なんて勧められたりするので、そこに片っ端から行ってみればいい。
ちなみに期間は1都市1週間が必要。1週間あればなんか手掛かりや次に繋がる人脈ができてきて、次回にまた来たときの1週間でもっととんでもないやついないかと深掘りしていく感じ。「オマエまた来たのか〜!」なんて言われるようになって徐々に仲が良くなっていくもんだ。そう、いくらバカ同士の交流とはいえ、一朝一夕では事は成らない。
あ、もちろん現地に友達がいたりする場合はすごく早い。「面白いところ連れてって〜」と頼んでいろいろ案内してもらえば、その繋がりがどんどん広がってあとは勝手に一人でも遊び歩けるようになってくる。

そんなわけでゼロからの青島。ということでまずは東京に住む青島人が紹介してくれたのが上の写真の店「強麦ビール」。その青島人からは「いい店だよ。ビールうまいし、店主さんも面白い人だ!」という情報のみで、何がどう面白いのかは不明。

ま、飲めばなんとかなる。
ということで、店主氏(上の写真)から青島情報などを教えてもらったりして有意義に作戦スタート。いや〜、完全に上京したての大学生がとりあえず街に根を張るために必死でいろんな店に入って話しかける気分。懐かしい!!

この強麦ビールもそうだったんだけど、すごくフレンドリー。日本から来たよって言っても「おー、日本から来たんだ」って感じでなんかみんなすごく歓迎モード。あれ、そんな感じなんだ。ま、最近の中国の若い人たちとかはみんな国家と人民は別物ってことを熟知してる人が多いので、そりゃそうか。

さて、青島マヌケ攻略を開始した矢先、重大ニュースが舞い込んできた。青島にはDMCという重要スポットがある。ホームセンターみたいな名前だけど、それはDCMで、青島はライブハウスのDMC。そこでのイベントに異変が起きたと青島が大騒ぎに。ちょうど週末に結構でかいライブの企画があって、日本からはギターウルフとSAの2組が出る予定だったみたいだけど、まんまと出演中止になってしまい、青島人たちもガッカリしてしょんぼりしてるという。うおー、こんなところにも影響出るのか〜。国同士のケンカはそっちだけでやってくれよ〜

出演中止で、替わりに中国の大御所の代打が決まったんだけど、そのお知らせに「不可抗力のため」と強調してるところが哀愁。どうにもできない強い力によってダメになったってことか〜

さて、いずれにせよ青島マヌケスポット攻略、まずは取っ掛かりから始まりつつあった感じなんだけど、今回は急遽目的が北京になってしまったので、ひとまずここまで。今回は新規にバカスペースを見つけるというより、この状況下で首都北京のマヌケたちがどんな様子でどんな感じなのかを肌身で感じることが重要だ! よっしゃ、早速、行こう。北京!!