先日、「武漢を救え! 武漢−高円寺交流会」を開催し、今の武漢のことを心配する日本人の他、台湾人や香港人なども集まり、東京・高円寺から武漢とネットで繋ぎ、いろいろ最新情報を交換しつつ交流飲み会が行われた!
武漢の人たちもヒマを持て余してたところだから大喜びで、「武漢封鎖都市新年会」などという半分ふざけた名前のイベントを勝手に立ち上げ、中国内外の各地にもネットで画面を中継して交流飲み会を決行。やっぱり〜。予想していた通り、武漢人たちは完全封鎖されて映画のような状態になっている都市の中で、心細い思いを抱きつつ生活しているに違いなく、他の地域の人たちと繋がりたがっているんだろう。
結果、武漢以外にも広州や上海、東北など中国各地を中心にアジア圏で計10カ所以上の都市・地域と繋ぎ、交流会を開催。他の各都市の人たちもやはり武漢が心配な様子。
さて、武漢現地時間の21:00(日本時間22:00)、その謎の交流会は開始。まずは乾杯〜
他の各都市の人たちは、やはりまず武漢が心配な様子。「武漢のそっちの状況はどう?」などと真面目に質問する。そう、こっちもまだ、ふざけて飲んでていいものか、どれだけ深刻そうな感じなのかとかが、いまいちよくわからない。ニュースでは大変なことになっているが、実際の雰囲気まではわからないので、そこが知りたい。
ところが、当の武漢のやつらが一番呑気な感じで楽しそう。画面がつながった瞬間に「いえ〜ぃ! 乾杯〜。おおー、久しぶりー、元気?」みたいなノリで大笑いしてる! 元気かって、それこっちが聞きたいことだよ!(笑) いやー、いきなり拍子抜けする感じだけど、いつもと変わらない様子でちょっとホッとした〜!!!
まずは近況を聞くが、以前にも教えてくれた通りだけど、スーパーと薬局は基本的に開いているとのこと。ただ、バスや電車、タクシーなどの市内の交通機関が一切ないので、自転車や電動自転車でないと動けないので、近くの店にしか行きにくいとのこと。ただ、幸いにも物資は基本的には足りていて、食糧から飲料水、医薬品なども含めて生きていくための物資は問題ないとのこと。「酒も大量にあるよ〜」と喜んでた。ただ、マスクはみんな慌てて買っているので、薬局でもネット上でも買うのが大変らしく、買えなかったり、売っててもすごい値上がりしてるらしい。これは一時的なことかもしれないけど、ちょっと心配ではあるね…
また、現時点では、今回連絡している彼ら武漢の人たちの友人や家族などには感染者などは出ていないとのこと。彼らのネットワークはすごい広く、武漢にも多くのライブハウスからBAR、独立書店などいろんなスペースがあり、サブカルチャーなどの地下文化圏は大きいけど、とりあえずはそのみんなも無事でいてくれてひと安心。
そして、今は旧正月を迎えたばかりで、例年通りの休暇期間。ただ、いつもはやってる店もほとんどが閉めていて、基本的にはスーパーと薬局が開いてる感じだという。店は政府から強制的に閉められているのではなく、自主判断により閉店しているとのこと。会社もまだ正月休み期間なので基本的にはほぼやっていないので、街はひっそりしてるとのこと。
ちなみに、今回繋いだ武漢の彼らは、以前、「我們家wo men jia」というスペースをやってた人たちが、その後継のような新スペースを作って運営している。印刷機があり、自分たちのzineやポスター、本を作ったり、バンドの練習スタジオもあるし、お客さんを泊めるスペースもある(自分も武漢に遊びにいく時はいつもここに泊めてもらう)。いろんな面白いイベントもやってるし、すごいいい場所だ。何かと規制も多い中国でも、これだけのびのびと面白いことができるのを見ていつも勇気付けられる。みんなたくましいな〜。今回の新型肺炎発生後は、彼らはそのスペースで寝泊まりして生活し、必要な時以外は外出はしないとのこと。確かに、家で一人でいてニュースずっと見てるよりはみんなといると気持ちも安心するからね。重要、重要。
さて、その武漢の連中がまた中継で繋いでる間、他の街の人たちに比べてダントツで陽気な感じでやたら楽しそう。思わず、うっかり武漢に遊びに行こうかなって気分になっちゃうぐらい。で、武漢のみんなの方は心配はないのか聞くと、「こっちの方はまだマシだね。でも漢口の方は結構深刻だよ」という。武漢の街は大まかに漢口、武昌、漢陽という三地区に分かれており、漢口は商業的な中心地の方。例のウイルスが見つかった海鮮市場があるのも漢口地区だ。彼らのスペースがあるのは武昌地区で、それもちょっと郊外の植物園の近くにある一軒家。まあ、東京で言うと立川のはずれの辺りって感じかな。人口密集地域ではないので、ノンキなマヌケな顔をしてられるんだろう(笑)。でも、油断は禁物だから気をつけてね〜
そこでちょっと、思い出したのが福島の原発事故の時。まあ、ありえないぐらいの放射能が撒き散らされ、世界が震撼した時、海外の人は日本のことを心配して「大丈夫か!? 逃げた方がいいんじゃないか!?」と連絡をくれたが、西日本の人は「東日本はちょっとヤバそうだけど、こっちは大丈夫だ」と言い、東京の人は「福島のあたりはヤバそうだけど、こっちは大丈夫だ」、福島の人は「福島市内はまだ大丈夫だけど、浜通り(海沿い)のほうはヤバい」、浜通りの人も「うちの辺りはギリギリなんとかなってるけど、もっと北(南)のほうはヤバい」などと言っていた。言ってしまえばどこもヤバいんだろうけど、自分の生活を捨てて街を去る踏ん切りをつけるタイミングっていうのは難しい。だからみんな「まだ大丈夫」と言うんだろう。そう言いつつ自分も東京に残ったのを思い出した。
一方の武漢。こっちは完全封鎖されて都市の中に閉じ込められてるので、これはもうニッチもサッチもいかない。大丈夫だろうと大丈夫じゃなかろうと、そこで暮らすしかないのだ。でも皆さん、「武漢やベー」と思い過ぎるのは良くない。武漢は1100万人以上の巨大都市。人口規模では東京よりでかい。まだまだ感染者はごく一部中のごく一部。もちろん状況は超危険な状態ではあるけど、まだまだ武漢には安全な地域がたくさんある。武漢はまだ死んでいない! 一刻も早く収束に向かうことを祈るしかない。日本にいる我々にできることは少ないけど、何かひとつでもできることがあればやっていきたい。
あと、ついでにもうひとつ面白い動きを紹介しておきたい。先述の通り、今は旧正月休み(春節)なので、現地では学校や会社は休み期間中。休み明けにみんなが出勤し始めて満員電車なんてなったら目も当てられないって言うことで、ひとまずは2月2日まで休み期間を延ばしたみたいだけど、ちょっとそこまでの収束は難しそうだ。ということで、おそらくは再延長になると思うけど、ここへ来てみんなが「休業期間もっと伸ばせ」との要求の声が多く上がってるという。そしてさらに、家もそうだし、店舗や事業所を持ってる人はなおさらだけど、家賃が心配。働かない期間が増えれば増えるほど生活の心配が出てくる。そこで、「当面の家賃をタダにしろ」という要求が起きてるという!! そりゃそうだ。自分も店やってるからわかるけど、仮に当面休業なんてことになったら家賃なんてまともに払えない。「働かない」と「家賃タダ」というのは至極真っ当で最も切実な要求だ。
かつて高円寺の駅前のイベントで「働かねえぞ!」とみんなで叫んだり、「家賃をタダにしろデモ」などというふざけたデモを開催したりもしたけど、これが既に最もストレートな要求になる時が来るとは!! でも、病気にかかわらず、天災や人為的な災害も含めて、世の中がめちゃくちゃになった時に「働かない」と「家賃払わない」は、よく考えたら当たり前の話なのだ。いや〜、さすが中国、先を行ってるな〜。中国の民衆(政府ではない)のこの超ストレートな感覚、いいね〜。大震災の翌日に這ってでも出勤する日本のサラリーマンとか見てると不安になってくる。大丈夫か、日本は!?
さあ、みんなで勇気を振り絞って、働かないぞ! 家賃払わないぞ!
最後におまけ。心配してとある武漢の友達に連絡していたところ、「結構呑気にやってるぜー」とのことで、突如送られてきた映像をまず見てもらいたい。まあ、どこで誰が撮った映像か知らないけど。字幕を翻訳すると「オマエなんでそんなもん着てんだよ」「飲みに行こうぜ」「早く早く!」。最高のバカ! 完全に遊んでる!! いや〜、こんな時に遊び心を持ってるなんて本当に頭が下がるな〜 お前ら最高だ! 俺も武漢に帰りたい!
(一応彼らの名誉のために言っておくけど、遊んでるけど普段はかなり感染防止策はちゃんとやってる様子)
と、言うわけで、先日の武漢−高円寺交流会、本当にやってよかった。直接話を聞けてこっちもとても安心した。こっちが武漢を元気づけようとしてやったのに、こっちが元気をもらうという、この謎の現象。それに、物資も割と豊富というのも安心。思うに、彼らが一番恐れているのは孤立への恐怖だろう。そう、それだったら我々にもできる事はたくさんある! いや、むしろそれしかできない! ま、ともかく、持つべきものは地下文化圏でのダイレクトな直接交流と助け合い。世間知らずのトボけたボンボンがいつまでも上にいる日本も、いつどうなるかわからないっていうことで、ちゃんとアンダーグラウンド同士の繋がりは続けていきましょう〜〜〜〜〜
<予告>
先ほど郵便局に確認したところ、100%届くか保証はできないけど、武漢宛てに荷物を発送することはできるとのこと。まずは第一弾で近日中にささやかな支援物資をイチかバチかで上に登場したアホたちに発送する予定。その後、2月15日には高円寺の「なんとかBAR」にて武漢支援BARを開催して、その後に第二便の支援物資を送る予定。
いざとなったら助け合い。2月15日はぜひ高円寺へ〜。詳細はまた後日!!!