ジャカルタでパスポートをなくして以来、どうも不安だったが、ついに再発行に成功!! 日本から出られないってことは、この小さい島に軟禁状態ってこと。いや〜、危ないところだった!
ちなみに、無くした時はパスポートがそんなに大事なものだとは思っておらず、せいぜい福引券か家賃支払い帳ぐらいのものだと思っていた。なので、現地で大使館に行って「すいませ〜ん、なくなっちゃったんでもう一冊ください〜」と、チョロっとなんか書いたらもらえると思ってたけど、そうは問屋が卸さない。やれ、なんで無くしたとか、どっかから出てくるんじゃないかとか、いろいろ尋問されたのち、「再発行はまだ早い」という。チキショー、もったいぶりやがって。で、結局は日本に帰国するための「こいつは渡航先でパスポート無くしたマヌケな日本人です」と証明してくれる書類を出してくれて、それで帰国。
で、そのマヌケ証明書を発行するにあたっても証明写真が必要だという。身ぐるみ剥がれてるのに証明写真なんかあるわけないじゃねーか! ということで、とりあえず街に出てその場で撮影してくれる写真屋を探す。そんなに時間に余裕があるわけじゃなかったので、結構慌ただしく街を歩き、写真屋っぽいところを見つけて証明写真撮れるか聞いてみるけど、もう地元の人しかいないような狭い路地だったので、英語もほぼ通じない。でもしぶとく、いろいろ聞いて回り、街をひたすら歩く。気温は常に30度を超えてるので、汗だくでもう夏バテで死にそうな感じに!! で、ようやくたどり着いたのがスタジオのある写真屋さん。おお〜、ついに! 完全に家族でやってる感じで、店番は5歳ぐらいのチビッコ。くそ〜、この深刻な時にお前か! もう次の場所を探すの嫌なので、ここはなんとかこのチビッコを説き伏せねばならない。いろいろ頑張るが、当然英語は通じないので「フォト! フォト!」と必死に訴える。チビッコ、何も言わずこちらをジッと見る。お互い緊張感の高い睨み合いが続く中、10秒、20秒と経過。こ、これは一対一の完全に互角な戦いだ。手強い! 坊ちゃん頼むよ〜、お菓子でも買ってあげようか!? するとお坊ちゃん、突如クルッと後ろを向きダッシュで店の奥の方に走って消えた! こら、クソガキ!!! オマエどこ行く!! そして奥の方から「お父ちゃん、変なガイジンが来たよ〜」と叫ぶ声が聞こえる(←インドネシア語はわからないけど、あの感じだとどうせこんなこと言ってるに違いない)。くそ〜、こっちは炎天下で汗だくで死にそうなのに!
すると、今度は父ちゃんが飛行機のおもちゃを片手にヒョロッと店先に顔を出す。さては出来損ないの次男坊とでも遊んでたな!? で、オッサンすかさず「オーケー、オーケー! フォト、オーケー!」と超ご機嫌に店内にある椅子を指差す。とりあえず座れってことだろうから座ると、オッサンいきなりおもちゃ片手にカメラを向けてくる。おい! もう撮るの!? まだ値段も枚数も何も聞いてないぞ。それにいま汗だくで死にそうな状態だよ。準備とか何もないの!?
“パシャ!!!”
しまった! してやられた! そしてオッサン、ニッコリ笑って「ウエイト、ウエイト」。チッ!
どこにでもありそうなキャノンのプリンターで印刷し、普通のハサミでシャキシャキッと切って、あっという間にできた。お値段は15000ルピア。日本円にして約115円。ずいぶん安いじゃねーか、このヤロー。ま、帰国のための証明書用だから写真なんてなんでもいいやってことで、これで完成。オッサンとチビッコが満足そうに見送ってくれる。ようやく晴れて帰国の運びとなった。
さて、話は戻ってパスポート再発行。日本に帰ると妙に寒く、インドネシアが懐かしかったので、思わずこの写真で申請してしまった。
いいね〜、この超適当にできた写真で10年パスポート。めでたしめでたし。
ちなみに、写真屋はここ。今度から証明写真は全部ここで撮ることにしよう! ただ、観光客皆無のエリアだったし、すごい路地の中。もう一度ここを探し出すのは至難の技だ。おいチビッコ、立派な写真家になるんだぞ。