さて、ジャカルタ作戦も無事に終わってお次はバリへ。バリというと観光地のイメージが強いが、いろんなスペースもあり面白いことをやってる奴らもいる。高円寺でも毎度お馴染みの台湾のバンドマンたちのグループ「愁城」も数ヶ月前に遊びに来たということで、その台湾つながりもあってWALHI BALIというスペースに遊びに行ってみた。
宿に着いたのがすでに結構遅かったので、夜中にバイクタクシーで向かったんだが、宿の近くの比較的店などもたくさんある賑やかなエリアを抜け、その後は街灯もほとんどない暗闇の中をひたすら走り続ける。う〜ん、いったいどこまで行くんだろう…、と不安になってくる。そして、40分ほどバイクで走ったところにある暗闇の中にポツンと明かりがあり、そこには小さな屋敷が! ギャー! これ完全に鬼太郎第1話に出てくる鬼太郎の親父が死んだ時の小屋と同じ状況だ! 助けて〜
と、思ったけどよく地図を見たら、むしろ市中心部の官庁街の近く。例えば東京で言えば神田みたいなポジションかな? 逆に中心部に近かったから暗かったみたい。いや〜、危ないところで死ぬところだった。まずはひと安心。
まずはそのスペースを少し紹介。ここの界隈に集まるバンドマン達などのたまり場でもあり、そんな彼らの作ったものも販売や展示している。そして、バリのリゾート開発に反対する活動の事務所も兼ねており、農民たちのサポートや開発反対デモを開催したりもしている。
このスペースの大御所のギラン氏で、彼も音楽をやっている。すごい優しい性格で、いろんなことをすごい丁寧に教えてくれた。共通の知り合いもたくさんいるし、数ヶ月前には高円寺のSUB Storeや新宿成田商店(IRA)、台湾の愁城などでも展示をやったのも記憶に新しい。
そういえば素人の乱のこともよく知っていてくれて、「高円寺再開発反対デモ最高だったね〜」などと喜んでくれた。で、そこからお互いのやってることの話になったんだけど、彼の運動哲学が面白く、いろんな人たちと一緒に物事を作っていきたいという。若者だけとか、真面目に運動を語るだけみたいに同じ感じの人たちだけでやるんじゃなくて、農民のおじちゃんやおばちゃん、老人やら子供やら、わけわからない人たちなんかと一緒に作ったりしたいし、開発反対のライブイベントのとき、パンクバンドばかりだけどあえて伝統音楽の人たちにの演奏してもらったり、いろいろ努力してるという。「大事なのはいろんなものを混ぜながら作ることなんだ」とのこと。おお! これ、数ヶ月前に韓国のYamagata Tweaksterが高円寺に来た時に語ってたこととすごいかぶってる! だから高円寺でやってるデモもいろんなミュージシャンや芸術家が参加したり、すごい楽しそうなものを大事にして作ってるのがすごい興味深いとのこと。「また高円寺行きたい!」と言ってたので、次のデモあたりでうまく来れたら面白いのにね〜〜
余談だけど、ギラン氏の名前だけは一発で覚えた。典型的な怪獣系の名前なので、これは日本人にも親しみやすい名前だ! でも彼は怪獣じゃなく、とてもいい人だ。
上の写真は庭の片隅の鉄壁に張り巡らされていたステッカー。バンドマンたちが多く、しかもパンクやハードコアの人たちが多いのでステッカーもその手のが多い。なんでこんなところに突如たくさん貼ってあるのか聞くと、ギラン氏いわく「いや〜、前はまさに入り口のドアに貼ってたんだけど、怖がって誰も入ってこないからドアをきれいにして、ステッカーはこっちに移した」という。なるほど、たしかにガイコツやら怖い顔やらがたくさんあったら、ただでさえ鬼太郎の親父が死んだ場所なのに、もっと怖くなる。やはりここにもなるべくいろんな人たちに来てもらいたいというコンセプトが。偉い!
とは言っても、裏手の中庭にはデモで使う道具なんかがたくさん置いてあり、やっぱりガイコツがある。ギャー、やっぱり助けて〜!
建物の外壁にはいろんな展示もある。おお、おもしろい!
中庭には謎のパンクあずま屋も。みんなここでタバコ吸ったりお茶飲んだり酒飲んだり。いいな〜、南国ならではのスペース。ここをステージとして、簡単なライブや上映会など屋外イベントもよくやるという。夜中遅くなのに話したり笑ったりしてすごい盛り上がってたけど特に苦情はほとんどないという。さらに「近所には小さい子供がいる家もあって、子供が寝られないとかわいそうだしね〜」と、優しい一面も。でも、ちょっと何かあったら警察に通報みたいな一億総神経質社会の日本とは「静か」の感覚がだいぶ違うんだろうな〜。うらやましい! 野外楽しそう!
ちなみに、先ほどの中庭のすぐ裏手にはこんな建物が。ギャー、やっぱり鬼太郎の親父の屋敷だ! 聞けば「もうだいぶ昔だけど、大きな屋敷を建てようとした人がいて、半分ぐらい完成したところでインドネシア経済が急に悪化して工事止まっちゃったんだよ。で、今もそのまま放置されてる」だって。やばい、これは楽しそう! でも、万が一この工事が再開して完成してしまうと、先ほどの中庭が通路になって無くなっちゃうのでそれが悩みの種だという。
リゾート開発が進み、農地を手放していく農家も多い中、まだ頑張って農家を続けている人たちをサポートする活動もやっている。時には農業を手伝ったり、その米を売ったり。おー、三里塚みたい。ということで、農民を応援する意味も兼ねて米1キロ買ってきました〜
さあ、一通りお互いの活動の理解を少し深めた後は恒例の大宴会! ちなみにこの日はこのスペースに泊めてもらうことになり、英語のかなりイカサマな自分が1人で一晩交流するとなればもう、こっちのペースで行くしかない。インドネシアはムスリムが多いので、なかなかみんながみんな会ったら飲みまくるなんて文化はそんなにない。ただ、イスラム教が強いジャカルタでも飲みまくって仲良くなったりしたので、比較的ヒンズー文化が強いバリはいけるはずだ! …という確信のもと、おそるおそる一番マヌケそうな顔してる青年を見抜き(←これが重要)、そいつにこっそり「さて、ビールでも買いに行きますか」と耳打ち。すると、ニカーッとした笑顔で待ってましたとばかりに「いま!? 買いに行っちゃう!? 俺も酒大好きだよ!」と言い出す。やっぱり!!!! よっしゃー、俺の感はやはり的中した!
案の定マヌケくん、酒のプロフェッショナルで「何が飲みたい? 強めなのだったら自分で作ったのもあるし、ビールだったら近くで手に入るよ」という。ま、とりあえずビールを飲むことになり、近所の店へ。この店、酒類は扱ってないはずなんだけど、「ま、俺に任しといてくれ」という。すかさず店のオッサンに何やら言って、店の裏で冷やしといてもらってるのを出してもらってる。おお、そんな裏技があるのか!
で、さっそく飲み会開始〜! ま、お互い語学力に限界があるので、込み入った話にならないのがまたいいところで、後はだいたいどうでもいい話をしたり、YouTubeなどでお互いの国の面白いバンドや音楽を教えたりしながら盛り上がるのはどこでも定番コース。で、さらに、ここはせっかくNO LIMIT BALI期間中の飲み会なので、アジア圏の人たちと飲みでどう仲良くなるかを伝授! 香港人や台湾人はこうやって飲むとか、中国人がこれを飲み出したら気をつけろとか、韓国人がこう飲み始めたらそれはこういう意味だ、などなど。逆にバリでの酒を飲む時の謎のルールなどを教えてもらったり、超面白かった。よし、マヌケなバリの諸君、これで次に東アジア圏のどこに行って飲み会に巻き込まれても全然大丈夫だ!
こちらはほかの東アジア圏のみんなで訪れた時の写真。それぞれ中国(各都市)、韓国、香港、台湾などでスペースを作ってる人たちなので、ギランたちとお互いの情報交換したり友達になったりしてすごいいい交流ができた。いや〜、なんだかんだ言ってこういう交流が今後に繋がるんだよね〜。これは楽しみ!