北京作戦④ 北京残留!

さて、中国人民の圧力に屈してまんまとチケットをキャンセルして北京残留。「帰るのやめた」とみんなに連絡したら「よっしゃー、じゃあ今夜も飲みますかー」という返事が続々とくる。あぶねー、昼は寝といて百草丸飲んでから出かけよ。

というわけで夜。さっそく、いよいよオープンする待望の新スペース甭管LIVE(2号店)へ。立地は五道営というエリアで、地下鉄「安定門」駅の近く。連日ウロついてる鼓樓東大街あたりからも歩いて15分ぐらいなので一応徒歩圏内のあたり。JR高円寺と地下鉄の新高円寺ぐらいな距離感。この辺も昔から個人店の変わったバーとか若い人が始めた雑貨屋さんとか並んでて、お茶の水や水道橋的な感じで面白いところだったけど、最近やたらオシャレな店が増え始めて、表参道化が進んでる。いや〜、家賃高騰してんじゃないかな〜

入口はこんな感じ。
開店祝いの花はやはり赤。日本では白い胡蝶蘭を贈ったりするけど、そんなことしたら「縁起でもねえ!」と怒られるので注意。白いものは、こっちでは誰かが死んだみたいに思われるので厳禁だ。正月に白いお年玉袋でガキに渡そうもんなら泣き出氏たりして、オヤジが出てきて「なんのつもりだ!」と殴られるのでこれも注意。

店内。入ってすぐのところはバーカウンターになってるので、飲みに行くだけでもOK。

奥の方に行くとライブできるホールがある。意外と広い!

さっそくライブ始まる。今日はみんな北京のバンドで、パンクとハードコア。特に最初のバンド、すごい爆音だった。
そういえば、中国ってライブ始まるの普通に22:00スタートとか、早くても21時スタート。昔、なんでそんな遅くに始まるかって聞いてみたところ、「だって仕事終わってすぐイベント始まったらメシいつ食うんだよ。仕事終わってみんなで集まってゆっくりご飯食べて、それが終わったタイミングにしないと誰も来ないよ。どんなにいいライブやってもみんなメシ食いに行っちゃうからね」だって。なるほど〜、それは理にかなってる! 日本だったら仕事終わって大急ぎで牛丼とか食べてライブ会場に向かうなんてことも多々ある。いや〜、やっぱ食の中国、メシの時間は何より大事なんだね〜

余談だけど、上の写真のように爆音で絶好調にライブやってるそのステージ右奥の方に見える扉、何気によく見たらガラス一枚。あれ、と思ってコッソリ開けてみたら普通に外だった。うおー、防音しなくていいのか!

ちなみに、この甭管から50mぐらいの至近距離でにあるのが上の写真のSchoolという老舗ライブハウスで、北京ロックシーンでは最重要スポット。漢字表記では「学校」なので、出来損ないの中高生なんかが学校サボって遊びに行くときも、父ちゃんや母ちゃんに「学校行ってくる!」って家を出て行けば嘘ついたことにならないという、とてもいい名前! そのうち「銀行」とか「会社」とか「ホームセンター」なんて名前の不良の溜まり場できたら面白いな〜

こちらが学校内部。うわ〜、ここも6年ぶりにきたけど変わってなくて安心。

Schoolボスの劉非。彼は北京のベテランバンドのJOYSIDEのマネージャーもやってて、「来週東京行くよ! 下北沢のshelterでライブやるから遊びに来てよ!」だって。なんか世界狭い! そう、日中の地下文化の間では国境の溝ってそんなに深くないし、もうすでに取り返しがつかないぐらい(笑)いろんなところで繋がってる。国ごとに物事を考えようなんていう発想自体がすでにどうかしてるのだ。そういうよからぬ魂胆は早く諦めてもらいたいものだ。

さて、ライブも終わり、北京のやつらが「お前北京久しぶりだろ? せっかくだし、ちょっと近くの店も見ていくか?」と、案内してくれる。北京は胡同と呼ばれる、こんな感じの路地がたくさん残ってる。路地裏文化みたいなもので、ちょっとした北京名物になってる。これが迷路みたいになってるけど、北京の奴らはこの迷路を巧みに近道として使ってて案内してくれるからすごい。一人だったら絶対無理。迷う。

まず寄ったのが「原料空間」という飲み屋。
かつて北京には、飲んだくれたちが集うヤバすぎる伝説のBAR「SOSクラブ」という店があった。毎日大盛況で死ぬほど飲みまくってて、自分も飲みすぎてだいぶ酷い目にあった最高の店だったんだけど、残念ながらのちに閉店。この「原料」はその流れを汲む重要な残党たちのBAR。くわばらくわばら。

この日はもう営業終わってて、残念なようなホッとしたような気分。いや〜、やはり北京は緊張感が漂うスリル満点シティだ!

ここもステージ部分があって、イベントもできるところ。
あっ、あのでかい天狗の面、昔のSOSクラブの天井にかかってたやつだ! まだあったのか〜。っていうか、鼻がもげてる。コラー、お前らいったいどんな飲み方したんだ!! くわばらくわばら

こちらは「五金」というスペースで、先ほどの「原料」の隣にある。6年前はすぐ近くの別の場所にあったんだけど、こっちに引っ越してきたらしい。写真の右の人が、最近ここを切り盛りしてる阿科。何事にもノリが良くてやたら面白いやつで、実は去年には高円寺に遊びにきていたフットワークの軽いとんでもない姉御!
ちなみに「五金」っていうのは金物屋のこと。前の場所が金物屋跡地で始めたのでそんな名前になったみたい。新宿のクリーニング屋跡地で始めたCafe Lavanderiaみたいなもんか〜。
ここはみんなで料理するイベントだったりトーク系のイベントだったりをやところで飲食店でもあるスペース。前の場所も同じだったけど、厨房とでかいテーブルが店のメインにあるのがここの特徴で、このレイアウトなんかいいね〜

そして、この五金や原料があるエリアは、甭管やSchoolエリアと盲区があるエリアの中間点ぐらいにあるので、どこも歩いて行けて便利な場所にある。やっぱこの歩けるってのがすごくいいんだよね。お客さんも行ったり来たりするし、イベントのハシゴもできる。あっちで誰々が飲んでるっぽいからちょっと顔出して来る、なんてこともできる。歩けるのってコミュニティが広がる最大要因。これは重要だね〜

ってわけで、「じゃ、また飲み直すか〜」言い出した北京人たちに連れられてきたのが、魔窟「盲区」。近い!! 帰れねえ! 全部歩いてすぐなの危ねえ!!
どうやら甭管LIVEでのライブが終わった流れがこのエリアに来て、向かいの甭管BARと盲区で打ち上げが続いてる模様。う〜ん、この行ったり来たりする感じ、いよいよ高円寺にそっくりだ。

盲区Tシャツを手に入れた!

みんなカジュアルに飲んでるけど、これ深夜3時半。寝る気配ゼロ。

やはり日本に帰れる気がしない。

4時半ぐらいになってくると、こんな感じに死人が続出してくる。ただ、奥のステージではドラムを叩き出したりギターを弾き出したりするやつが出てきて、とにかくうるさくていい。
この後は前出の阿科の姉御が「よーし、肉まん食べにいくぞ〜」と騒ぎ始め、朝ごはん屋で肉まんとお茶で締め。台湾とかもそうだけど、朝まで飲んだ後に朝ごはん屋があるのがいいね。ま、松屋とか吉野家の朝の納豆定食とかも最高だけどね。

いや〜、北京あぶねえ〜。ということで、その後、青島に戻ることは断念して、慌てて北京発東京行きの飛行機を取り直して(日中間のイザコザのおかげで片道1万円ちょっとだった。最高すぎる)、命からがら日本へ戻ったのであった。
約1週間の中国。いや〜、有意義だった。また行かないとな〜。みなさん、今チャンスなのでどんどん中国に飲みに行ってしまおう〜

(北京作戦 終)

北京作戦③ 四次元空間へ!

さて北京2日目。初日にいきなり高円寺級に飲んでしまい、ものすごい二日酔い。百草丸でなんとかするものの、だるいには違いない。北京は友達が死ぬほどいるから序盤でこれは飛ばしすぎなんじゃないか〜!?
しかし、うかつにもこの日は正午に約束をしてしまった。寝られねえ〜

去年の春、横浜トリエンナーレという謎の芸術イベントに参加したんだけど、その時の芸術監督を務めてたのが盧迎華(ルーインホア)&劉鼎(リュウディン)のコンビ。その二人が北京で美術館をやってるというので、せっかくなので遊びに行ってみることに。

ってことで、早起きして空を見ると青い!!! 北京の空が青い! どうなってんだ!
コロナ前よく北京に行ってた頃、例のPM2.5とかで大気汚染がやばすぎて快晴でも空気が濁ってっ曇りみたいな空だったんだけど、この青さ! なんだこりゃ〜!!!
確かに、今や街の車もバイクもほとんどが電気自動車だし、空気はきれいだ。いや、空気がきれいになったのはいいことなんだけど、この短期間でこれはよほど激変するとは、よほどの強権を発動しないとできない力技。大したもんだと思う気もするし、若干怖い気もするな〜
そういえば子供のころ、隅田川はゴミだらけで死ぬほど汚くてドブとヘドロの臭いがすごかったけど、あれきれいになるのに一体どれだけ時間かかったんだろ。うーん、北京恐るべし。

見よ! これが北京郊外の空! こんな澄み切った空なんて北京じゃねえ〜
ちなみにここは東京で言えば西八王子ぐらいのところ。なんでこんなところまで来たかというと、その美術館がその辺にあるとのこと。芸術方面は全く疎いので、その盧&劉がどんな感じのスペースを持ってるのとか全く知らなくて、とりあえず住所聞いて来た感じ。
ま、美術館やってるとは言ってたけど、美術館ってでかい石造りみたいな建物のあんな感じのイメージだよね? まさか、そんなわけないでしょ。それに「美術館やってる」なんて聞いたことないし。ま、アートスペースとか街のギャラリーみたいな感じじゃないかな。いや、でも気持ちはわかる。世の中なんでも大風呂敷広げてでかいこと言うのは常套手段だし、そうこなくっちゃ!! 世の中何事もハッタリだよ、ハッタリ。いや、景気よくなってきたね〜

ま、こんな感じじゃないかな? 西八王子の自称美術館↓
いいね、やっぱDIYでしょ! よーし、手貸しちゃうぞ!?

(↑イメージ図)

なんて想像しつつ歩いてると、やたら広大な建物ばかりあってなかなか着かない。甲州街道みたいなでかい道を延々と歩く。なんだなんだ、高尾に着いちまうんじゃねえのか? 俺は高尾山なんか登らねえぞ。
さては美術館のヤロー、小さすぎて通り越したな? そういえば名前は「中間美術館」だって。出ました、また適当な名前。こりゃ間違いなく、家と家の間の隙間にトタン屋根でも作って大美術館名乗ろうって魂胆だな。こりゃいいや!
どこだ〜! 美術館出てこーい!!

着きました!
ギャー、でかい! 本当の美術館だった! 庶民が大口叩いてすいませんでした!!
中間ってのもあばら屋とあばら屋の隙間のトタン屋根のことじゃなくて、普通に地名だった。これじゃ本物の美術館じゃねえか! も、もしかして、アンタたち、大物だったのか!?

ぐぬぬ〜、入口はこれ。玄関だけで自分のアパートの20倍はある。野郎ども、ずらかるぞ!

とはいえ逃げるわけにはいかず、おそるおそる抜き足差し足入ってみると、出ました〜! 大御所=盧&劉コンビ! 中央は高円寺の貧乏なゴミ拾い屋さん
ここでも、顔を合わすやいなや「この日中関係ヤバいタイミングで来るって、オマエ最高すぎだろ!笑 分かってるな〜」と笑われる。やっぱ、このタイミングで来たの良かったんだ! たまたまなんだけど。

さっそく、美術館の職員さんたちが寄ってたかって館内の展示を案内してくれる。しまった、昨日飲みすぎて二日酔いがひどい。よっしゃ、こうなったらイチかバチかだ。芸術を見るぞ〜!!

これすごい。二日酔いで頭がグラングランの状態で謎の現代芸術を見ると、「なんなんだ、これは!」の驚きの連続で、完全にUFOにさらわれたお百姓さん状態。四次元世界にしか見えない! これは面白い!!
現代芸術って、要は一筋縄では行かない一発芸みたいなもんでしょ? だったらこっちも一筋縄では行かない頭で観るのが一番いい。どうだ、勝負だ芸術家! こっちは二日酔いだ!

ってことで、くまなくUFO内部を案内してもらったあと、職員の皆さん交えて記念撮影。そこで、思いつきでどんどん進める盧&劉が「来年になったらここでお前のトークのイベントでもやろう!」と言い出して、なんかそう言うことになる。いいね〜。また来るぞー

そして北京中心部に帰ってくると、待ち受けていたのがこちら、通称飛び出しナイフくん。彼が弾簧刀楽隊って名前のバンドやってた時に知り合った。弾簧刀って飛び出しナイフのこと。中国語の語感としてはすごくイカついネーミングなんだけど、日本語にすると飛び出しナイフバンドという、どうにもこうにもマヌケな語感が漂ってしまい、ついでに名前になってしまった。
全てに反抗する姿勢を示すため、拳にはFUCKとPUNKという、目を疑うようなストレートな表現の刺青を入れ、近寄る者全てを破壊する意思を明確にしている飛び出しナイフくん。仕事は村の郵便局。
そんな飛び出しくん、実は10年来の友達。北京のFLYXというバンドのメンバーとして台湾のイベントに出た時、たまたま自分も遊びに行ってて仲良くなったのがキッカケ。実は去年には高円寺にも遊びに来てるし、こういう無闇に国境を跨いで遊び歩いてる人は重要だ〜

そして続いて登場したのが王丹青。彼は以前だいぶ長く台湾にいたので台北の音楽シーンと北京のシーンの繋ぎ役としてもだいぶ活躍したやつ。台北でばかり会ってたので北京で会うと新鮮。「あっ、中国人だったんだ!」と初めて実感。
で、こいつがまたマヌケなやつで、2016年に東京でNO LIMIT東京自治区っていうイベントやった時などは高円寺で「うお〜、なんか安い酒見つけた」とか言ってストロングゼロを飲みまくり、一瞬でヘベレケになって記憶飛んで、目が覚めたら指の骨折って曲がってて、「東京こええ!」と台湾に逃げ帰ったという、どうでもいい武勇伝を持っている。

ま、そんなことでこの日もまたいろいろ北京の旧友と親交を深めていると、「明日、重要なイベントあるよ〜」という情報が耳に入る。聞けば、盲区の向かいにある昨日も行った甭管BARが近くに新しくパンクのライブハウスをオープンするという。このご時世にパンクの新しい場所ができるって、さすが北京。上海じゃありえない。で、そのオープニングのイベントだって。ひゃー、楽しそう。ただ、翌日の夜にはまた青島に戻る予定なので、ギリギリ行けない。悔しい〜
当然、北京の大バカたちからは「チケットキャンセルするしかない! もっと北京で遊ぼう」「青島行っても何もねえよ。北京でしょ、ここは」などと押しが強い。くそー、俺がいつも高円寺で言ってることをそのまま返されてる。まずい、劣勢だ! しかも、ここで冷酷に誘いを振り切って北京を去っては、次にやつらが東京に遊びに来た時に、どのツラ下げて「チケットキャンセルしろ」というセリフを吐けるのか!? しかも初対面のやつらからも「いや〜、そんな短期間じゃ北京のこと何もわからないよ〜。明日も飲もうよー」と挑発まで。…ち、ちきしょ〜、ええい、ヤケクソだ、チケットキャンセルだ!!!! ということで、チケットをゴミ箱に捨ててもう少し北京に残留することに。またやっちまった〜!! 何回目なんだ、このパターン!

その週末イベントはこちら。なんと3日間全部入場無料。景気いい! これは賑やかになりそう。

甭管のマスター。「飲むよ〜」と写真。
いよいよ東京に帰れる気がしなくなってきた。

北京作戦② 北京上陸

というわけでやって参りました北京。青島から高速鉄道で約3時間半。ひと昔前だったら5000円ぐらいあれば足りたんだけど、今は日本円の価値の急落によって8000円ぐらいした。チキショー
北京に到着して、とりあえず鼓楼東大街のあたりに直行。この一帯が、BARやライブハウス、カフェ、レコード屋や変わった雑貨屋などがあって最も高円寺に近い雰囲気。最近はちょっと下火はいえこのエリアはまだまだ面白いので、北京遊びに行く人はこの辺に宿を構えると色々便利なのでおすすめ。

いや〜、でもコロナ以来6年ぶりに来たけどそこまで変わってねえな〜
ちなみに中国は北京と上海の二大巨大都市があるけど、上海は資本主義全開の商業シティで遊びもファッションもビジネスも最先端のところで全然面白くない。一方の北京は首都なので政治都市。政治は商業ほど侵食力がないので、北京にはなんかポカっと変な隙間がたくさんあって、そこをうまく見つけてみんな変なスペースを開いてる。しかも首都で政治の直轄地みたいな厳しいところで飄々とやらかしてるところがなんかすごくいい。やっぱ北京いいな〜

まず真っ先に落ち合ったのは、今年の春に杭州で行われた「一席」というトークイベントの登壇者やスタッフたち。杭州で飲んだ時も「北京きたら必ず連絡しろよー」と言われてたこともあり、早速合流。
会って早々「いや〜、このタイミングで来るの面白すぎるな〜」と、みんなに笑われる。言わずもがな昨今の日中の緊張状態のこと。こっちは「いや〜、うちの政府がやらかしてすいませんね〜、あれバカなんで笑」というお決まりのネタ(挨拶)で始まり、対する向こうも「いやいや何をおっしゃる、うちの◼️◼️◼️(検閲)◼️◼️」で和む感じ。国家と民を分けて考える人たちと会話ってすごく楽でいい。みんな、わかってるね〜
で、「俺は高市嫌いだから」と言うと、「やっぱり!笑 でも日本では支持率7割とかあるんでしょ?」と、意外と詳しい。中国来てからいろんな人に「どんな人が支持してるの?」と聞かれるので、とりあえず「YouTube見過ぎの年寄りとか友達いない若者じゃない? 俺しらね、興味ない」って答えといた。

で、やってまいりました、「盲区」。これは北京のバンド界隈のやつらが作ったスペースで、基本的にはBAR。でもライブやら上映会やら各種イベントやったり、ZINE作ったり精力的に活動してる。最後に北京に来た2019年にはすでにこの界隈の人たちがイベントやったりラジオやったりいろいろやり始めてて、「もうすぐ店開くよ〜」とか言ってたんだけど、それからコロナになって来れなかったから、ようやく来れた!

店内はこんな感じ。いいねー、“あそこに行けばなんとかなる”感ある場所は世界共通っで重要。しかし北京のやつらは飲むな〜
中国南部の方とか台湾や香港とかはそこまで酒豪多くないんだけど、北京はみんなガンガン飲む。こいつらが飲むのか北京が飲むのかは不明。でも中国の東北部行ったらあそこも飲んだくれ大量にいたから、やはり寒いところの方が飲むのかもしれない。自分は酒飲みなので、みんな飲みまくる環境は実にありがたい!

ということで、日本から持って来たのが百草丸。これさえあればどんな飲み会もなんとかなるので、飲んだくれたちと対峙する時はこれは必須アイテム。みなさんも騙されたと思って飲んだ方がいい。!!

盲区店内はこんな感じ。入り口はカウンター席。一瞬、高円寺なんとかBARを彷彿とさせるが、よく見たらこっちの方がオシャレ。

一番奥には小ステージもあり、ライブもできる。いいな〜、完璧だ!

盲区メンバー。いや〜、久しぶりだ〜! 6年ぶりだけどどいつもこいつも変わってねえ。

今年、高円寺に突如現れて巷を騒がせた、今年の外来マヌケMVP候補の成蹊老師もドサクサにまぎれて登場。

さっきの盲区の斜め向かいにできたBAR。ここも音楽関係の繋がりの人たちが開いた店(甭管 SHUT UP BAR)で、盲区とは協力関係にあって合同イベント開催したりしてるって。この辺の歩いて行ける範囲になんだかんだあるのが、この鼓楼東大街界隈の底力。徒歩圏内って超重要。なんでかというと、徒歩圏内ってことはみんな歩いて移動するので道でばったり会う。これは街にとって最も重要なことなんだよね〜

と思ったら、いきなり蹴鞠を始める北京の連中。厳密にいうと鞠じゃなくてでかい羽根だけど、蹴鞠とだいたい同じルール。お前ら京のお公家様か〜!!
聞いたら「最近どいつもこいつもネット見たりSNSやったりして頭おかしくなってるから、実際に見知らぬ人が触れ合うのはこれしかない」とのこと。いや、最高すぎる!

やり始めると白熱して止まらなくなる。通行人が混じって来たりして面白いとのこと。いや〜、確かにこれはいい! でも、恥ずかしがって入って来ない日本と違って、犬の散歩の通行人とかがどんどん入ってくる中国の空気感も羨ましいなー

悠に7〜8時間飲んでても一向に倒れる気配のない北京チーム。完全に捕まった宇宙人状態の自分。
北京に来た初日にいきなりこれか〜。北京に住みたい笑

北京作戦① 青島編

さて、ことの発端はこちら。我が国のバカな首相のせいで日中間の大パニックが発生。しかも、別に中国と事を構える覚悟を決めての発言ではなくて、どうやらウッカリ口を滑らせてのことらしい。これで中国との大揉めが発生。バカじゃねーの?

で、迷惑を被るのがその辺をウロついている我々一般の民。もちろん中国内の一般の民も。そもそも日本と中国は、商売はもちろんのこと文化やら芸術やらですでにたくさん繋がってるし、各所で友達やら飲み友達やらが死ぬほどいて、民間ではもはや切っても切れない関係になってる。もちろん日中間だけじゃなく、韓国やら香港・台湾やらもそうだし、そもそも隣国ってそういうもんだ。国家だか政府だか知らないけど勝手に揉め始められても、そんなの知ったこっちゃねえし、迷惑以外の何者でもない。
というわけで、お互い不幸な政府を持ったもの同士仲良くしとこうってことで、とりあえず中国に行って中国人たちと飲みまくろうという作戦。飲めばわかる! さあ飲むぞ〜

で、早速単身中国へ向かう。まずは青島へ。
なぜ青島かっていうと、実はこの飛行機のチケット、ずいぶん前に取ったもの。その時は特に目的もなく、「たまには、しばらく行ってないところにでも行くか〜、青島でも行ってゆっくりビールでも飲んで帰ってくるか」ぐらいの適当さで買ったチケット。
ところが、出発目前になりあれよあれよと日中関係が緊張状態になってきて、中国政府が「日本への渡航自粛」なんて言い出す始末。さらには日本人アーティストなどの公演も軒並みキャンセルになり始める。おいおい、政府同士の喧嘩はそっちでやってくれよ。民間人を巻き込むのはやめてくれ〜。すぐ住民を巻き込もうとするから国って存在嫌いなんだよな〜。都道府県とか市町村程度のライトな縛りの存在になってほしいね、国。

ま、ともかくこうなった以上、我々酒飲みにできることはなにか? そう、中国に渡って飲むことしかない。国を超えた飲み会の回数が多ければ多いほど戦争からは遠のくはずだ! 間違いない〜!!
北京を目指したいが、ひとまずチケットは青島往復なので、とりあえず青島行ってから、北京のことは考えよう。

で、青島に到着して適当に宿を取ると、これが個室でやたら豪勢。一泊1700円だったんだけど、広い! キッチンもでかいし400Lクラスの大型冷蔵庫や洗濯機まであるし、100インチ以上のスクリーンとプロジェクターまであった。なんだこりゃ〜。えっ、一日1700円ってことは月で51000円? しかも水道光熱費も掃除も寝具交換もセット。安い! リモートワークの人、ここに住んだ方がいいよ。ビール安くてうまいし。いや〜、青島で夢のホテル暮らしもいいなー

で、笑ったのがこれ。ソファ前のローテーブルが超巨大なヴィトンのスーツケース。もちろんニセモノ。この堂々とインチキ全開で攻めてくる、中国のこの感じ好きなんだよな〜。しかも、もしこれが本物だったとしても下品なオーラ全開になるし、金持ちこんなことしねえし、喜ばねえだろ! いや〜、ルイヴィトン=富裕層みたいな貧乏人の発想、自分が育った江東区の貧民街に通じるところがあってなんか嬉しいな〜。江東区の近所のジジイとかもよく言ってたなー、「俺はアレだよ、ビトンだよ、ビトン。アレしか買わねえから」

ま、それはさておき、街に出る。
いや青島狂ってる。地下鉄の駅出たら目の前に巨大な円形生ビールサーバーの無人販売所。いくら青島ビールの街って言ったって景気良すぎるじゃねーか。愛媛のポンジュースが出る蛇口と全く同じ発想!
種類も豊富で、普通の生ビールの他はクラフトビールから、フルーツ系ビールカクテルまで色々あって、しかもそれが売れ行きによってなのか知らないけど、東京証券取引所みたいにビール価格が常に変動してる。完全にふざけてる!!

青島のローカルホットスポット=台東夜市。青島出身の友達に「観光地とか行きたくないから、地元の人たちがよく行く薄汚くて盛り上がってるところ教えて」って聞いたら何人かから即答で「台東夜市行け!」と言われたので行ってきた。メイン通りにはきれいな屋台がずらっと大量に並んでて壮観だったけど、実は面白いのは裏通り。裏路地とかでもドサクサに紛れて商売しまくってる屋台が大量にあって、このあたりがいい。生ビールの屋台もたくさんあった。

青島のビールに対する執念はただ事ではなく、繁華街でもなんでもないその辺のどうでもいい路地なんかにも例のビールサーバー無人販売所が24時間稼働してる。すげ〜、風呂上がりに工場直送の生ビールが自宅で飲めるのか!!

青島には友達は誰ひとりいないので、まだ見ぬ仲間を探す大バカ開拓を開始。この知人ゼロの状態からの新規開拓、これまでもよくやってきてるんだけど、難易度高いんだけど、これがまた面白い。

定番の作戦を紹介すると、まずはいろんな知り合いに青島で面白いところ知ってるかと聞きまくって情報を集めて、それを手掛かりに行ってみる。当然当たりハズレがあるし、なんか反りが合わないことだって多々ある。あとは店の前に貼ってあるポスターやステッカーを見て、知ってるバンドのライブ告知や聞いたことあるイベントのポスター、他の街の知ってる店のステッカーなんかがあったら、「ここは手掛かりがあるかも!」みたいな感じで入ってみる。また、一回行ってイマイチだったとしても何回か通えばなにかあるかもしれないオーラを感じたら試しにまた来てみたり、ともかく勘で勝負していくしかないんだけど、これ慣れてくるとだんだん勘が鋭くなってくるので、みなさんも臆せずに果敢に攻めてみてほしい。
いや〜、なんかこの下積みっぽい感じなんか好きなんだよね〜。知り合いの多い街なんかに行くと「あっ、松本さん! 案内しますよ」なんてあそこもここもって連れて行ってくれたりして、それはそれでありがたいんだけど、ゼロの状態からなんとかウロウロして「何オマエ、誰?」ぐらいの足蹴にされる感じから探っていくのがなんかワクワクするんだよね…。

そして、一ヶ所でも仲良くなったところがあればもう勝手に広がっていく。手がかりさえ掴めれば、あとは店主でも他の客でも、そこの人と話してたら「あそこも行ったら面白いよ!」なんて勧められたりするので、そこに片っ端から行ってみればいい。
ちなみに期間は1都市1週間が必要。1週間あればなんか手掛かりや次に繋がる人脈ができてきて、次回にまた来たときの1週間でもっととんでもないやついないかと深掘りしていく感じ。「オマエまた来たのか〜!」なんて言われるようになって徐々に仲が良くなっていくもんだ。そう、いくらバカ同士の交流とはいえ、一朝一夕では事は成らない。
あ、もちろん現地に友達がいたりする場合はすごく早い。「面白いところ連れてって〜」と頼んでいろいろ案内してもらえば、その繋がりがどんどん広がってあとは勝手に一人でも遊び歩けるようになってくる。

そんなわけでゼロからの青島。ということでまずは東京に住む青島人が紹介してくれたのが上の写真の店「強麦ビール」。その青島人からは「いい店だよ。ビールうまいし、店主さんも面白い人だ!」という情報のみで、何がどう面白いのかは不明。

ま、飲めばなんとかなる。
ということで、店主氏(上の写真)から青島情報などを教えてもらったりして有意義に作戦スタート。いや〜、完全に上京したての大学生がとりあえず街に根を張るために必死でいろんな店に入って話しかける気分。懐かしい!!

この強麦ビールもそうだったんだけど、すごくフレンドリー。日本から来たよって言っても「おー、日本から来たんだ」って感じでなんかみんなすごく歓迎モード。あれ、そんな感じなんだ。ま、最近の中国の若い人たちとかはみんな国家と人民は別物ってことを熟知してる人が多いので、そりゃそうか。

さて、青島マヌケ攻略を開始した矢先、重大ニュースが舞い込んできた。青島にはDMCという重要スポットがある。ホームセンターみたいな名前だけど、それはDCMで、青島はライブハウスのDMC。そこでのイベントに異変が起きたと青島が大騒ぎに。ちょうど週末に結構でかいライブの企画があって、日本からはギターウルフとSAの2組が出る予定だったみたいだけど、まんまと出演中止になってしまい、青島人たちもガッカリしてしょんぼりしてるという。うおー、こんなところにも影響出るのか〜。国同士のケンカはそっちだけでやってくれよ〜

出演中止で、替わりに中国の大御所の代打が決まったんだけど、そのお知らせに「不可抗力のため」と強調してるところが哀愁。どうにもできない強い力によってダメになったってことか〜

さて、いずれにせよ青島マヌケスポット攻略、まずは取っ掛かりから始まりつつあった感じなんだけど、今回は急遽目的が北京になってしまったので、ひとまずここまで。今回は新規にバカスペースを見つけるというより、この状況下で首都北京のマヌケたちがどんな様子でどんな感じなのかを肌身で感じることが重要だ! よっしゃ、早速、行こう。北京!!

広州調査団、ついに出動!

中国行きのビザがついに不要になり、日本パスポート所持者は飛行機さえ買えば何の手続きも無しでフラッと行けるようになった。いや〜、これは最高。しかも以前は滞在期間15日間までだったのが、なぜか30日間自由に遊びに行けるという謎の大風呂敷、いや、大盤振る舞い。すごい、太っ腹だ!

ということで早速中国行きを目論む。中国と言っても、いまさら万里の長城とか見に行ってもしょうがないので、ここはやはり中国アンダーグラウンド文化圏のところに遊びに行きたいところ。で、高円寺とのつながりとしては、やはり北京や広州が一番友達も多く、交流は多いエリア。じゃ、どっちかだな〜、と思うが真冬の北京は寒すぎるので5秒で却下。よし、北京は春か秋だ! というわけで、広州に即決。

ちなみに、中国の地下文化圏の状況を言うと、以前は中国各地に続々と謎のマヌケスポットが増えまくってて、いよいよ面白いことになる雰囲気全開だったんだけど、例のコロナの厳しい規制やロックダウン(都市封鎖)などで、さすがに音を上げて潰れるところが続出。そしてその後、コロナが落ち着いてみると惨憺たる状態になっていたんだけど、なぜか広州だけは辛うじて生き残っており、そんな残ったやつらがまんまと復活を遂げ始める。そして続々と謎のスペースを開いたり、他都市のやつらをけしかけまくったりと暗躍し始める。いや〜、何だか知らないけど広州のやつらやたら元気だな〜

と言うわけで、コロナ以来なので5〜6年ぶりの広州。なので、ひとまず、いま中国で最もホットな広州地下文化圏が一体どうなってるのか、様子を見に行ってみよう〜、って言うのが今回の趣旨。なので特にでかいイベントやったり参加したりって言うんじゃなく、適当にフラフラしながら「ようっ、久しぶり!」みたいな感じで飲み歩いてればいい。それで新しくできたスペースなんかを見て歩けば絶対に面白い。で、久々のやつらに近況を聞いたり、初めて会うマヌケなやつらと遭遇したりして遊んでればいい。よっしゃ、得意分野だ! まかせろ! 

もちろん日本にいながらにしてもネットやSNSで情報は入ってくるけど、それだと実際の5%ぐらいしかわからないと思うので、やはり百聞は一見にしかず、直接行って話してくるのが一番だ。あと、日本に来る人と交流するのも手だけど、それだとやはり“ちゃんとした人”が多くなってしまうので、それはそれで重要なんだけど、やはりちょっと物足りない。現地には、一文無しでとてもじゃないけど海外に出られない大バカな面白いやつとか、くだらないことに熱中しすぎて海外なんか行く気が全くない人など、現地に行かないと遭遇できないようなとんでもないマヌケたちであふれている(これは日本も同様)。これは現地ならではの楽しみ。

よーし、広州地下文化物見遊山、楽しそうだと、「いや〜、久々に行くよ〜」と会う人会う人に言ってたら、「行きたい!」と言う人が続出。次々と、酒飲んだ勢いで「じゃ、いまチケット取る」とか言って後先考えずにチケットを買うバカすぎる人が出始め、その結果合計7名の広州探検隊が集う。いや〜、面白くなってきた! 自分一人で行って色々見聞きしてくるのもいいけど、ゾロゾロとバカたちが行ってみんなで交流すると何かまた別の面白さがあっていい。ちなみに、どいつもこいつも団体行動できるような奴らじゃない(自分含む)ので、当然、中国広州現地集合現地解散。みんな初海外だったり初中国だったりする人も多く、一人や二人たどり着かなかったり行方不明になったりするかもしれないけど、まあそれはご愛嬌ってことで。ま、ガキじゃあるめえし、テメエで何とかするだろ。俺は知らねえよ(←今でも耳に残る自分の父親の口癖)。
と言うわけで、3月2日から3月8日までの一週間、広州調査団の広州探検、スタート〜〜〜〜!!!

さて、それでは、今回探検に加わる高円寺界隈の大バカたちを最後に紹介しておこう。


林由美(高円寺)

高円寺在住の謎の台湾人。昭和の歌謡曲専門のDJをやったり、昭和のレトロ玩具店で働いてたりと現代人とは思えない人。酔っ払っておもちゃを買いまくり、家の中がカオスになっている。


松原慧太郎(長野)

去年秋に行われた長野・防災訓練(という名の野外フェス)で突如頭角を表した田舎の青年。田舎人間の実力を全開に発揮し、やることなすこと何でもできるという恐るべき期待のホープ。バンドもやってる。


池田佳穂(高円寺)
クソつまらない主流アート界、商業アート界に悪態をつき続ける独立系キュレーターで、アート界の平将門と恐れられる。ただ、強さはゼロで、よく酔っ払って街を歩いて、たまにマンホールに落ちたりする。


リリセ(高円寺)
写真を撮ったり、謎の演劇やパフォーマンスアートに関わったりと、近年目覚ましい活躍を見せている。ただ、バカすぎるので、先日詐欺電話をまんまと信じて莫大な金を振り込んで無一文になるという、今どき田舎のおばあちゃんも引っかからない常套手段で騙されると言う武勇伝を持つ。


村上豪(高円寺)
バンド「パンクロッカー労働組合」のボーカルで、リサイクルショップ「PUNK」の店主。元々バンドスタイルはパンクだったが、実はその歌詞は恋愛の歌ばかり。そのため外国人たちがライブを聴いて「ウオー!」と盛り上がりまくったものの、後から歌詞を知って「騙された!」と怒ること多々あり。


ヒナノ(高円寺)

村上豪とのユニット「Hinago」のアコーディオン。また、雑貨店「おやすみクラブ」の店主。彼女の作るものはかわらしいものばかりで、その影響は大きく、パンク青年だった村上豪も気付いたらかわいい小動物のようになってしまった。


松本哉(高円寺)
リサイクルショップ素人の乱5号店店主。各国の各種変人たちとビールを飲むことが人生の目標。かつては左翼活動家だったと言う噂もあるが、その情報は不確定で、信憑性はない。ともかく今は特に大したことやってない、ただののんべえだ。


番外編・楊子瑄(台湾)
そして高円寺7人衆とは別に、台湾から広州に向かう別働隊が一人。台北・半路咖啡の店主。台北では常にロクでもない悪だくみをして世の中を混乱させる悪の張本人、いや、バカの張本人。今回も「広州行こう!」と突如言い出した発起人の一人。

中国ビザなし渡航作戦①

さて、すでに紹介した通り、中国への観光ビザを日本で取るのは一ヶ月半待ちというとんでもないことになっており、これは放棄。ま、渡航1週間前になって気づく自分が悪いんだが、これはいつものパターンなのでしょうがない。

ちなみに中国への渡航は、日本のパスポートの場合、以前は2週間以内だったら観光ビザは免除されていたので、飛行機さえ取ればそのまま行けた。ところが、コロナで各国の国境が閉じ、日中間もそのビザ免除はなくなってしまった。ま、それは仕方ないとしても、コロナが終息しつつあるいま各国がビザ免除を復活させているが、日中間だけは戻ってない。米中という二大ジャイアン国の世界覇権争いの狭間で、スネ夫国家日本はとりあえずアメリカの顔色を伺って動いてるので、まあその余波だろう。

そんなこんなで、こんなニュース↓

シンガポール、ブルネイとの間でビザ免除復活したものの、日本だけ保留。このおかげで、以前は世界の中で最も便利なパスポート第一位を獲得し続けていた日本旅券がシンガポールに抜かれ第二位に転落。チキショー

ともかく日本から中国に行くのは時間的にも不可能なので、とりあえずは近くまで行ってなんとか策を講ずるしかない。ということで、中国でありながら中国でない、中国内地への玄関口・香港へ向かう。香港は中国とは別扱いなのでビザなしでそのまま行ける。

まずは正攻法。香港の中国ビザセンターで内地行きビザを取得するという作戦。香港人が内地に行くときは別の手続きになるので、こっちのビザセンターはそれ以外の外国人だけ。それなら日本人が殺到してる日本のビザセンターと違って空いてるに違いない! という目算だったが、なかなかそう簡単でもない。運悪く土日を挟んでしまう上に申請予約も早くても数日後って感じだった。で、申請後ビザが発給されるのに3日程度はかかるとのこと。ま、翌日に出る快速申請などもあるんだけど、手数料が3万円ぐらいするみたい。高い! 1週間以上の香港逗留は厳しいな〜

しかも、香港ビザセンターのオンライン申請なんだけど、記入箇所めちゃくちゃ多い。90年代のビザ免除じゃなかった時代の申請よりはるかに面倒くさくなってる! 昔は中国行きの船の中でサラッと紙書いたらそのままビザくれたりしてたのに〜
挙げ句の果てにこのオンラインシステムがマイナンバーカード級のカスシステムで、記入しても反応しなかったり、先に行かなかったり、気分次第で次に進んだりと、やたら面倒。慣れればいけるかもしれないけど、すでに香港入りしてて時間ない時にこれに時間費やすのは嫌だな〜。飲みに行ったりしたい笑

そんな矢先、ほぼ同時期に同じく日本から中国入りを目指していた友達は、果敢にもビザセンターでの申請を敢行。すごい!

ただ、朝から行っても午後まで半日以上行列で、突如現地でのホテルの予約確認書見せろとか、いろいろ言われてテンヤワンヤだったとのこと。結果は時間ぎれギリギリでかろうじて申請でき、苦渋の快速申請でなんとかクリアできたとのこと。すごい根性だ!!

ま、自分にはその根性はないので、とりあえず諦める。

144時間、乗り換え作戦

すぐ諦めたのには訳がある。
そう、今年の春から始まった緩和策で飛行機の乗り換え(トランジット)時間が延長された。これまでは乗り換えは72時間以内でないとダメだったんだけど、倍の144時間までOKということになった。
なに! 144時間って日数にすると6日! 6日あれば普通に遊びに行けるじゃねーか! ということで、この裏ワザを使うことに。

中国語だけど、こちらがその緩和策だ↓

ただ、これもそんなに自由ではなくて、あくまで乗り換えなので一都市に限られ、そこの都市からは出てはいけない。しかも乗り換えなので、中国内地の外から中国入りし、乗り換え後は中国外に出なきゃダメで、その出国のチケットも持ってないと許可されない。さらに往復チケットで行くのも乗り換えとは言えないからアウト。
例えば東京ー北京往復はダメだけど、東京から北京へ飛んで、その後韓国ソウルへ渡ってから東京に帰るというようなコースを取らないといけない。もちろん、東京ー北京ー上海ーソウルみたいなのも国内移動が入ってるからダメ。入国後はすぐに出国しないといけない。そういう理由なので電車なんかで行くのもダメだ。意外と制約は多い。
要は、上の例でいうと「韓国へ行くために仕方なく北京で乗り換えてるだけで、中国には特に用事はねえ!」って言い張れば大丈夫ってこと。このイメージを頭に叩き込んで、作戦決行〜

ということで、香港にいる状態から武漢に行くルートを考えるのだが、武漢がまた海外直行便が少ない都市。幸い香港ー武漢便はあるんだけど、そこからがない。香港往復便はダメだし、東京も大阪もないし、ソウルや台北もない。前述の通り必ず三角形のコースで中国入りしないといけないが悩ましい。くそ〜、まさかヨーロッパとか中東とかに行かないといけないのか!? 中国に行きたいだけなのに!
北京や上海なら、その後東京に帰るというルートで行けるから楽なんだけど、武漢ってのが難しい。

うーん、どうしたものか。
あ、マカオがあった! マカオも小さいながらも一応香港と並び特別区扱いなので、それだったら行けるんじゃないか?

上のようなルート。
香港からまずマカオに渡って、そこから武漢、香港のルート。香港とマカオはすぐ隣なので、フェリーでも1時間ぐらい。クソ高いけどあっという間に着くヘリコプター路線まである。
よし、これだ! マカオから武漢経由で香港。あくまでマカオから香港に行くためのトランジットで渋々中国内地の武漢で乗り換えるという名目。
でも、香港・マカオって、ガイドブックでも一緒にされるぐらいだし、エリア的にはほとんど同じ場所にあるから、大丈夫なんだろうか。同一地区扱いになってる可能性もある。そもそも「いや〜、乗り換えで…」と言ったところで、「香港なんて目の前なんだから、船でチャチャっと行きゃあいいじゃねえか!」とか文句言われそう。
春から始まった制度だし、あまり前例も少ないだろうから、担当者の気分次第でどうにでもなりそうな気配。

ま、いいや。とりあえず行ってみよう、マカオ!

緊急作戦! 中国行ってきます

中国の友人たちから何やら不穏な謎の呼びかけ文が送られてきた。

まずはこちらを見ていただきたい。

こ、これは!

どうやら、コロナ禍の中で各地の人たちが分断されていた状況の中、久々にみんなで集結してお互い遊んだり情報交換したりしようという目論みらしい。なるほど、それは素晴らしい!

よし、そうとなったら行かざるを得ない。本当は店の仕事などが山積で遊んでる場合じゃないんだけど、「絶対面白いから来た方がいい!」と、数々の中国の友達から連絡が来るので、これもう断れない。チキショー、わかったよ。行くよ!

で、早速行こうと思って調べてみると、中国は以前の観光ビザ免除が引き続き暫時停止されており、観光ビザを取らないといけない。うわ〜、めんどくせえ〜
でも、まあしょうがない。たまには観光ビザ取るか〜、と、いろいろ申請先に連絡してみると、これがビックリ。いま、中国行きがとんでもない人気になっているようで、ビザ申請が殺到していて申請受付待ちがもう8月中旬まで埋まってるという。東京だけではなく、大阪や福岡などの領事館でも同様。これは大変だ〜、と、ビザ取得の代行業者に問い合わせてみても、こっちも同様で超満員だとのこと。
おいおい、行けねえじゃねえか〜!! ニュースやテレビでは、中国がどうのこうのと、悪いことばっかり言ってるけど、実際は超人気じゃねーか。騙された〜!! ま、仕事の人も多いんだろうか。

こりゃまいった。今回は諦めるしかないか〜
…と、簡単に諦めてしまうのが奴隷根性が染み付いた現代日本の素人の仕業。いや、諦めるのはまだ早い。ダメだからダメなんてそんな単純にはいかない中国四千年の味わいがあるはずだ。
“為せば成る、為さねば成らぬ何事も、成らぬは人の為さぬなりけり”
そう、なんとかなるに違いない。それにダメだと言われると「そこをなんとか」と言いたくなるのが人の心。

ということで、裏技を駆使してイチかバチかの中国入国作戦開始〜。なんとかなるんだよ、世の中なんて。
でも、果たしてうまく行くんだろうか。まずは中国内地への玄関口・香港に行って、そこで次の策を練ってみよう。グレーゾーンの少なくなってきている現代日本社会ではなかなか味わえない、このワクワク感とヒヤヒヤ感。いや〜、楽しくなって来た〜

進捗状況は随時お知らせするので、続報をお楽しみに〜

武漢速報! 意外と呑気だった武漢からの最新情報〜

先日、「武漢を救え! 武漢高円寺交流会」を開催し、今の武漢のことを心配する日本人の他、台湾人や香港人なども集まり、東京・高円寺から武漢とネットで繋ぎ、いろいろ最新情報を交換しつつ交流飲み会が行われた!

武漢の人たちもヒマを持て余してたところだから大喜びで、「武漢封鎖都市新年会」などという半分ふざけた名前のイベントを勝手に立ち上げ、中国内外の各地にもネットで画面を中継して交流飲み会を決行。やっぱり〜。予想していた通り、武漢人たちは完全封鎖されて映画のような状態になっている都市の中で、心細い思いを抱きつつ生活しているに違いなく、他の地域の人たちと繋がりたがっているんだろう。

結果、武漢以外にも広州や上海、東北など中国各地を中心にアジア圏で計10カ所以上の都市・地域と繋ぎ、交流会を開催。他の各都市の人たちもやはり武漢が心配な様子。

さて、武漢現地時間の21:00(日本時間22:00)、その謎の交流会は開始。まずは乾杯〜

他の各都市の人たちは、やはりまず武漢が心配な様子。「武漢のそっちの状況はどう?」などと真面目に質問する。そう、こっちもまだ、ふざけて飲んでていいものか、どれだけ深刻そうな感じなのかとかが、いまいちよくわからない。ニュースでは大変なことになっているが、実際の雰囲気まではわからないので、そこが知りたい。

ところが、当の武漢のやつらが一番呑気な感じで楽しそう。画面がつながった瞬間に「いえ〜ぃ! 乾杯〜。おおー、久しぶりー、元気?」みたいなノリで大笑いしてる! 元気かって、それこっちが聞きたいことだよ!(笑) いやー、いきなり拍子抜けする感じだけど、いつもと変わらない様子でちょっとホッとした〜!!!

各地域のみんなは「大丈夫!?」と心配するが、当の武漢(右上)が一番ダラダラして飲んだり笑ったりしてる

まずは近況を聞くが、以前にも教えてくれた通りだけど、スーパーと薬局は基本的に開いているとのこと。ただ、バスや電車、タクシーなどの市内の交通機関が一切ないので、自転車や電動自転車でないと動けないので、近くの店にしか行きにくいとのこと。ただ、幸いにも物資は基本的には足りていて、食糧から飲料水、医薬品なども含めて生きていくための物資は問題ないとのこと。「酒も大量にあるよ〜」と喜んでた。ただ、マスクはみんな慌てて買っているので、薬局でもネット上でも買うのが大変らしく、買えなかったり、売っててもすごい値上がりしてるらしい。これは一時的なことかもしれないけど、ちょっと心配ではあるね…

また、現時点では、今回連絡している彼ら武漢の人たちの友人や家族などには感染者などは出ていないとのこと。彼らのネットワークはすごい広く、武漢にも多くのライブハウスからBAR、独立書店などいろんなスペースがあり、サブカルチャーなどの地下文化圏は大きいけど、とりあえずはそのみんなも無事でいてくれてひと安心。

そして、今は旧正月を迎えたばかりで、例年通りの休暇期間。ただ、いつもはやってる店もほとんどが閉めていて、基本的にはスーパーと薬局が開いてる感じだという。店は政府から強制的に閉められているのではなく、自主判断により閉店しているとのこと。会社もまだ正月休み期間なので基本的にはほぼやっていないので、街はひっそりしてるとのこと。

完全に正月感全開の武漢。

ちなみに、今回繋いだ武漢の彼らは、以前、「我們家wo men jia」というスペースをやってた人たちが、その後継のような新スペースを作って運営している。印刷機があり、自分たちのzineやポスター、本を作ったり、バンドの練習スタジオもあるし、お客さんを泊めるスペースもある(自分も武漢に遊びにいく時はいつもここに泊めてもらう)。いろんな面白いイベントもやってるし、すごいいい場所だ。何かと規制も多い中国でも、これだけのびのびと面白いことができるのを見ていつも勇気付けられる。みんなたくましいな〜。今回の新型肺炎発生後は、彼らはそのスペースで寝泊まりして生活し、必要な時以外は外出はしないとのこと。確かに、家で一人でいてニュースずっと見てるよりはみんなといると気持ちも安心するからね。重要、重要。

さて、その武漢の連中がまた中継で繋いでる間、他の街の人たちに比べてダントツで陽気な感じでやたら楽しそう。思わず、うっかり武漢に遊びに行こうかなって気分になっちゃうぐらい。で、武漢のみんなの方は心配はないのか聞くと、「こっちの方はまだマシだね。でも漢口の方は結構深刻だよ」という。武漢の街は大まかに漢口、武昌、漢陽という三地区に分かれており、漢口は商業的な中心地の方。例のウイルスが見つかった海鮮市場があるのも漢口地区だ。彼らのスペースがあるのは武昌地区で、それもちょっと郊外の植物園の近くにある一軒家。まあ、東京で言うと立川のはずれの辺りって感じかな。人口密集地域ではないので、ノンキなマヌケな顔をしてられるんだろう(笑)。でも、油断は禁物だから気をつけてね〜

そこでちょっと、思い出したのが福島の原発事故の時。まあ、ありえないぐらいの放射能が撒き散らされ、世界が震撼した時、海外の人は日本のことを心配して「大丈夫か!? 逃げた方がいいんじゃないか!?」と連絡をくれたが、西日本の人は「東日本はちょっとヤバそうだけど、こっちは大丈夫だ」と言い、東京の人は「福島のあたりはヤバそうだけど、こっちは大丈夫だ」、福島の人は「福島市内はまだ大丈夫だけど、浜通り(海沿い)のほうはヤバい」、浜通りの人も「うちの辺りはギリギリなんとかなってるけど、もっと北(南)のほうはヤバい」などと言っていた。言ってしまえばどこもヤバいんだろうけど、自分の生活を捨てて街を去る踏ん切りをつけるタイミングっていうのは難しい。だからみんな「まだ大丈夫」と言うんだろう。そう言いつつ自分も東京に残ったのを思い出した。

一方の武漢。こっちは完全封鎖されて都市の中に閉じ込められてるので、これはもうニッチもサッチもいかない。大丈夫だろうと大丈夫じゃなかろうと、そこで暮らすしかないのだ。でも皆さん、「武漢やベー」と思い過ぎるのは良くない。武漢は1100万人以上の巨大都市。人口規模では東京よりでかい。まだまだ感染者はごく一部中のごく一部。もちろん状況は超危険な状態ではあるけど、まだまだ武漢には安全な地域がたくさんある。武漢はまだ死んでいない! 一刻も早く収束に向かうことを祈るしかない。日本にいる我々にできることは少ないけど、何かひとつでもできることがあればやっていきたい。

「明日、武漢に来るしかない!」とか言って喜ぶ、このスペースの子杰(zi jie)氏

あと、ついでにもうひとつ面白い動きを紹介しておきたい。先述の通り、今は旧正月休み(春節)なので、現地では学校や会社は休み期間中。休み明けにみんなが出勤し始めて満員電車なんてなったら目も当てられないって言うことで、ひとまずは2月2日まで休み期間を延ばしたみたいだけど、ちょっとそこまでの収束は難しそうだ。ということで、おそらくは再延長になると思うけど、ここへ来てみんなが「休業期間もっと伸ばせ」との要求の声が多く上がってるという。そしてさらに、家もそうだし、店舗や事業所を持ってる人はなおさらだけど、家賃が心配。働かない期間が増えれば増えるほど生活の心配が出てくる。そこで、「当面の家賃をタダにしろ」という要求が起きてるという!! そりゃそうだ。自分も店やってるからわかるけど、仮に当面休業なんてことになったら家賃なんてまともに払えない。「働かない」と「家賃タダ」というのは至極真っ当で最も切実な要求だ。

かつて高円寺の駅前のイベントで「働かねえぞ!」とみんなで叫んだり、「家賃をタダにしろデモ」などというふざけたデモを開催したりもしたけど、これが既に最もストレートな要求になる時が来るとは!! でも、病気にかかわらず、天災や人為的な災害も含めて、世の中がめちゃくちゃになった時に「働かない」と「家賃払わない」は、よく考えたら当たり前の話なのだ。いや〜、さすが中国、先を行ってるな〜。中国の民衆(政府ではない)のこの超ストレートな感覚、いいね〜。大震災の翌日に這ってでも出勤する日本のサラリーマンとか見てると不安になってくる。大丈夫か、日本は!?

さあ、みんなで勇気を振り絞って、働かないぞ! 家賃払わないぞ!

最後におまけ。心配してとある武漢の友達に連絡していたところ、「結構呑気にやってるぜー」とのことで、突如送られてきた映像をまず見てもらいたい。まあ、どこで誰が撮った映像か知らないけど。字幕を翻訳すると「オマエなんでそんなもん着てんだよ」「飲みに行こうぜ」「早く早く!」。最高のバカ! 完全に遊んでる!! いや〜、こんな時に遊び心を持ってるなんて本当に頭が下がるな〜 お前ら最高だ! 俺も武漢に帰りたい!

(一応彼らの名誉のために言っておくけど、遊んでるけど普段はかなり感染防止策はちゃんとやってる様子)

と、言うわけで、先日の武漢−高円寺交流会、本当にやってよかった。直接話を聞けてこっちもとても安心した。こっちが武漢を元気づけようとしてやったのに、こっちが元気をもらうという、この謎の現象。それに、物資も割と豊富というのも安心。思うに、彼らが一番恐れているのは孤立への恐怖だろう。そう、それだったら我々にもできる事はたくさんある! いや、むしろそれしかできない! ま、ともかく、持つべきものは地下文化圏でのダイレクトな直接交流と助け合い。世間知らずのトボけたボンボンがいつまでも上にいる日本も、いつどうなるかわからないっていうことで、ちゃんとアンダーグラウンド同士の繋がりは続けていきましょう〜〜〜〜〜

<予告>

先ほど郵便局に確認したところ、100%届くか保証はできないけど、武漢宛てに荷物を発送することはできるとのこと。まずは第一弾で近日中にささやかな支援物資をイチかバチかで上に登場したアホたちに発送する予定。その後、2月15日には高円寺の「なんとかBAR」にて武漢支援BARを開催して、その後に第二便の支援物資を送る予定。

いざとなったら助け合い。2月15日はぜひ高円寺へ〜。詳細はまた後日!!!