参議院議員選挙が行われて新たに政治地図が塗り替えられ、香港ではついにヤクザがデモ隊を襲撃するという事件が発生し、歴史的な1日となった7月21日。高円寺北中通り商店街でも、大きな波乱が巻き起こった。
以前、商店街の街灯がLED化され、LEDがなんのことかさっぱりわからない商店街の長老たちが、右往左往しつつも、よくわからないけどめでてえものらしいって事になり、餅をついて祝うという出来事があった(詳細はこちら)。たぶん、新しい神様の御利益でもあったって感じだったんだろう。
ところが!! 、これまではLEDが電気代が安くなるおまじないだと思っていた商店街の最長老の藪蕎麦のオヤジこと“やぶじい”が、つい最近、LEDが最新型近未来省エネ電球だということに気づいてしまったらしい!!!!
先日の7月21日に行われた恒例の商店街イベント北中夜市の時、やぶじい、どこで仕入れてきたのか100個ぐらいのLED電球を段ボールに山ほど積み上げてやってきた。こっちはこれから始まる北中夜市の準備で大忙しだっていうのに、やぶじいそんなものはお構いなしで「おうっ! てめえら、今からLEDだ!!!」と、わけのわからないことを叫びながら商店街を歩き回る。毎度のことだが、やぶじいこうなったらもう止まらない。たまたま目が合った若手たち(ここでは60歳代以下を指す)をかき集め、「お前ら聞け。今日から全部LEDにする!」と宣言。これは雲行きがあやしい。口を開けば二言目にはLEDだ。なんだなんだ。誰から聞いたんだ?
そう、商店街で夜間に常時つけている電球を変えようって話だ。しぶしぶ集められた町人たちを前に「ハシゴ持ってこーい。おまえら、全部交換だ!」との号令で脚立に登ってLED球に変えていく。当然のように自分も駆り出されたので、電球が切れているところだけ交換していると、やぶじい不満らしく「バカヤロー!! 古い型の電球は全部交換だよ!」と、まだ光ってるやつも交換しろという。「いやいや、やぶさん、まだついてるのはもったいないですよ。消えたら順にLEDに交換したらいいじゃないですか…」と言うと、「このやろう、こんなショボくれたみすぼらしい電球なんか捨てちまえ。ゴミだゴミ!」と、まだ光ってる電球をむしり取って、親の仇のようにゴミ箱にぶん投げはじめる。挙げ句の果てには「こんなもの、こうしてくれる!」と、まだ箱に入ってる新品の白熱球の山を怪力で持ち上げてザラザラーっとゴミ箱に入れて捨てようとするので、「やぶさん、やめて! もったいないよ!」と、みんなで必死に止める。こらー、誰だやぶじいにLEDのこと吹き込んだのは〜!!
そこへ「やぶちゃん、なにやってんの?」と、商店街の電気屋さん、斉藤さんが登場。
で、煌々と光るLEDを見て「こんなの明るすぎるよ!」とやぶじいに注文するが「おうっ? なんか文句あんの? 商店街が明るくて何が悪りぃんだい」と、完全に引き下がらないモード。おまけに「薄暗ぇしみったれた商店街なんて、やってらんねぇってんだ」と、いよいよ頑なに。こりゃ大変だ。確かに従来の白熱球より4倍近く明るい球に変えてるから、商店街がものすごく明るくなってくる。いや、明るすぎる。よく見たらやぶじい、よほどお気に入りらしく、自分の店の周辺は全部LED球に変えてしまっており、店の前は夜なのに撮影スタジオぐらいの明るさになってる。店内よりはるかに明るい。
ちなみに商店街の人たちはみんな自分の店の2階に住んでるので、以前からいろいろややこしい。商店街の照明が暗すぎると「こんな暗くてドロボーでも入ったらどうするんだい」と、文句を言われ、明るくしすぎると「眩しくて寝れねえじゃねえか! さっさと消せ〜ぃ!」と、怒られる。この明るさは後者の方だ。これはまずい。
この時脚立に登って手伝ってたたこ焼き屋の順さんも、「いやー、明るすぎるから2個に1個は外したほうがいいんじゃないっすかね〜」と、電球の量を減らそうとするも、「バカヤロー、だからLEDだっつってんのがわかんねえのか!」と、微妙に言葉の用法がおかしいやぶじい。ここからはまたいつもの通り。商店街のいろんな人が集まって入り乱れてきて、早く換えろ、いや戻せ、つけろ、消せと電球の取り合いで大騒ぎに。…で、延々と外したりつけたりを繰り返してるもんだから、最後には電球の根元が折れて変な事に。「ほらみろ、だから言わんこっちゃねえ!」と電気屋。「さっさとLEDにしねえからこうなるんじゃねえか」と、やぶじい。結局大騒動の大パニックになり、「やってらんねえ、やめだやめだ」と、解散。
というわけで、今の北中通り、半分明るくて半分暗いという、なんとも中途半端な状態に。次回の北中夜市までに、このLED騒動は決着しているのか!? 乞うご期待!!!!!