なんと新元号は「令和」とのこと。
「和」は昭和の時も使ってたし、昔から頻繁に使われてきて、意味も平和の和なのでこれはありがちな字。しかし「令」は珍しい。元号でも初めて使われる文字とのこと。
それもそのはず、別にそんなにいいイメージの文字じゃない。命令でおなじみのように「命じる」っていう意味とか、強く定めるようなニュアンスの字。どうも冷たく固いような雰囲気を醸し出している。ということで、令の字を少し研究してみたい。
まず気になるのが象形文字。漢字の面白いところはやはり文字自体に意味を持っていることであり、そもそもは絵から成り立ってきている文字だ。さあ、調べてみましょう~
と、調べてみると…
ギャー! 傘の下で人がひざまずいてる様子! 漢字の傘の部分は屋根や冠のようなもので「人を集める」という意味があるらしく、要は集められた人がひざまずいてる様子。こりゃ、景気悪いな~、どうも。それにどっちかと言うと、我々一般の平民はひざまずかされてる方だからね~
さて、では漢字の母国である中国ではどう使ってるのか。漢字はもちろん中国由来なので、中国語の用法がやはり元々の意味に一番近い。
調べてみると「命じる」。やっぱりそうだ。「〇〇に命じて〇〇をさせる」みたいに使う動詞。ただ、超固い言葉だし普段はあまり多用はされない。むしろ命令が転じて慣用句的に「思わず人にそうさせてしまう」ような意味合いで使うことの方が多い。令人滿意(人を満足させる)令人失望(人を失望させる)などなど。ただこういった場合は無理やり何かさせるというより、思わず満足(失望)させられてしまうような状態のこと。どっちにしろあまり自主性はないので命令は命令だね、やはり。
ちなみに万葉集からとったとのことで、旧暦2月を意味する「令月」は「何をするにも良い月」という意味とのことだけど、なんで命令の令がそうなったのかね~。そんなマニアックな引用されても、漢字の字面みただけではそこまでの連想はできないよな~
ついでなので中国のネット上のコメントを見てみよう。早速中国でも大きく報道されていて、みんな色々言ってる。
「令なんて固苦しい字、普通使わねーだろ」「元号に使役動詞おかしくないか? しかも和を日本の国号と考えたら“日本に命じて何かさせる”ってことになる」「中国由来をやめて日本由来にしたいなら平仮名にしたほうがいい」など。
う~ん、さすが中国は漢字に敏感。我々が使ってる日本語は古来からある日本の話し言葉に中国語、英語、ドイツ語などいろんな言葉が混ざってきた雑多な言語使ってるから、どんな漢字を使おうと特に深く考えずに流してしまいがちだが、漢字オンリーの中国ではなかなかそうもいかない。そのせいか意外と図星の反応が多くて面白い。
ちなみに、新元号が決まって「おおー、そうなったのか!」と、一瞬思うものの、よくよく考えたら実際は元号なんてほとんど使わない。役所などで書類書くときに時に西暦で書いたら「あ、そこ平成で書いてください」と直されるぐらい。そんな時、昭和のオッサンなら「いちいちうるせえなあ、どっちだっていいじゃねーか! じゃ、オメーは普段から元号使ってんのかよ」などとすぐ事を荒立てるが、今の世の中、事を荒立てるのはご法度とされている時代。
和を命じられる、これからの世の中にふさわしい元号かもしれない。